20151211_組織的協働の促進要素と阻害要素

 

1.組織的協働関係

 

 どのような組織であっても、個々の構成員に非人間的行為や反社会的行為を現実に強いるものである限り、その目的や価値をどのように抽象化し、美名を冠しても、人間が属すべき組織とは言えません。

 

 さらに「組織」も「社会」も「家族」も「地域」も「国家」も、本来、人間どうしが、人間として、人間らしい生き方ができるようにするための協働体であって、人間どうしが争ったり戦ったりするためものではないはずです。

 

 現実には人間の歴史は争いや戦いの歴史でしたが、それは同時に争いや戦いを無くするための歴史でした。人間の社会から争いや戦いが無くなり、社会が遍く人間的協働で満たされたときに、人間はやっとその歴史的成熟段階に達するのでしょう。

 

2.組織的協働の促進要素と阻害要素

 

 筆者自身は結局、30年以上もの永きにわたって、人事管理業務を通じて組織的労働に従事してきましたが、その立場から見ると、組織の中には組織的協働を促進する要素と、組織的協働を阻害する要素があるように見えます。

 

 それは、例えば個々の組織構成員のビヘイビア(Behavior=日常的な言動や態度、およびその習慣やその元になる思考)です。つまり、組織的協働を促進するビヘイビアと組織的協働を阻害するビヘイビアがあるように見えるのです。

 

(1)「働き者」のビヘイビアと「怠け者」のビヘイビア

 

 筆者の目から見れば、組織の中で働く人々のビヘイビアは、「働き者」型と「怠け者」型に二分できます。「働き者」型は「仕事をすることに動機付けられている」型であり、「怠け者」型は「仕事をしないことに動機付けられている」型です。

  

 言い換えれば「働き者」型は、「何も言わなくても仕事をする」型であり、「怠け者」型は、「言わないと仕事をしない」型です。できない言い訳をあれこれ言い、負担や責任を転嫁する発想や言動や習慣がこの型です。

 

(2)コミュニケーションリテラシーの高さと低さ

 

 組織にとってコミュニケーションは、人体で言えばまさに組織の活動を支える血液や血管のようなものであり、コミュニケーションが阻害されたり滞ってしまっては組織的協働が成り立たず、組織自体が成り立ちません。

 

 例えば「肯定的受容」と「積極的傾聴」はコミュニケーションを促進し、「無視」や「否定」はコミュニケーションを阻害するビヘイビアです。コミュニケーションを促進するビヘイビアが組織的協働をより良く促進するでしょう。

 

(3)相手へのイマジネーションの有無

 

 少なくとも組織協働的に仕事をする上では、「相手のある仕事」がほとんど全てであって、「自分ひとりでする仕事」はごく例外的な作業または天才的な創造であり、いかなる意味でも「相手を無視した仕事」は成り立ちません。

 

 顧客や上司や部下、組織内外の関係者が何を考え、何を感じ、何を望んでいるかをコミュニケーションとイマジネーションを通じてキャッチし、それにマッチするビヘイビアを選択出来るか出来ないかが仕事の出来不出来の分かれ目です。

 

(4)相手にとって最適なINPUTになるようにOUTPUTする仕事のしかた

 

 組織的協働とは、ひとりのメンバーのOUTPUTが、他のメンバーにとって最適なINPUTとなるような連鎖であり、丁度サッカーゲームで名プレーヤーどうしが上手にパスを繋いでゴールに達するような動きに似ています。

 

 パスを上手く出せるプレー(相手にとって最適なINPUTになるようにOUTPUT出来る仕事)が組織的協働を促進し、そうでないと組織的協働を阻害します。これも結局、相手に対するImagination(想像)とConsideration(配慮)の問題です。

 

(5)組織のベクトルに合う仕事、合わない仕事

 

 組織や企業とは一定の人間的・社会的な目的を達成し、価値を実現するための人と人との協働体なのですから、個々の構成員が、自分の仕事のベクトルの大きさと方向を、組織の目的や価値のベクトルに合わせなければ組織的協働が成り立ちません。

 

 但し、この「ベクトル合わせ」は、軍隊のような人格的強制を伴うものではなく、個々人の自由意思による自発的で合意上のものでなければ組織にとっても個人にとっても不幸であり、長続きもしないでしょう。