20160109_公務員と民間人の働き方の違い

 

 筆者はたまたま民間企業から公営企業への転職経験があるので、「公務員と民間人の(働き方)の違い」を問われることがあります。但し、公務員としての勤務は、ひとつの地方公営企業における5年程度の経験ですので、以下はその範囲での私見でしかありません。

 

1.公務員は「全体の奉仕者」として動機付けられている。

 

 ・・・ 公務員へのオリエンテーションやモチベーションの基本的な要素であろうと思います。文字通り「(国民や住民)全体の奉仕者」として献身的に公務を遂行している人も多く、半面、それを強いられることが負担や不満になっている人も多いでしょう。

 

 民間企業の職員へのオリエンテーションや動機付けの原理は何でしょうか? それは単に「(資本にとっての)利潤」でしょうか? それとも例えば松下幸之助の「モノを作るのではなくヒトを作れ」や、メルセデスベンツの「最善か無か」という企業理念でしょうか?

 

2.公務員の職務は「法令に基づいて」行われている。

  

 ・・・ これも、多くの公務員がそのようにオリエンテーションとモチベーションを受けており、特に何らかの強制力を伴う行政行為を行ううえで、「その行為はいかなる法令に基づくものか」を明確にすることは当然の原則です。

 

民間企業の職員でも、特に管理部門の職員(従業員に何らかの強制力を伴うような業務を行う職員については同様なオリエンテーションとモチベーションが行われているはずですし、法令順守(コンプライアンス)はもっと徹底されてもいいでしょう。

 

3.公務員の職務は「議会」の統制を受ける。

 

 ・・・ 議会の統制を受ける(民意の反映を求められる)ことは、必ずしも効率的な職務執行にはつながりません。毎年度の予算には議会の承認が必要ですが、予算どおりの職務執行が必ずしも常に適正妥当な職務執行であるとは限りません。

 

 その点は民間企業のほうがより自由で創意に満ちた仕事が大企業の一般職員のレベルでも可能であるかも知れません。株主総会の統制は取締役など経営層以外にはあまり及びませんし、予算の統制は経費よりも売上(損益責任)に重点が置かれているように思います。

 

4.公務員には「職務専念義務」がある。

 

 ・・・ 公務員法に明記されている「職務専念義務」は、法令解釈を別にして言えば、「兼職制限」以上に「24時間365日の職務専念義務」であるように思います。もちろん内心の自由や私生活上の行為を除いて、ですが。

 

 民間企業でも就業規則で「職務専念規定」や「兼職制限規定」があり、特に労働法上の「管理監督者」については、公務員なみの職務専念義務を課している企業もあり、役員レベルに「協業避止義務」が課されているのは「当然」かも知れません。

 

5.公務員は「予算による統制」を受ける。

 

 ・・・ 「予算による統制」自体は、組織的で合理的な統制方法であると、筆者は思います。つまり、「予算が無ければ出来ない」という経済的で合理的な統制原理が働くこと自体は決して悪いことではありません。

 

 しかし、「予算が無いからと言って何もしなくていいのか?」「予算があるからと言って何でもしていいのか?」というと必ずしもそうではなく、「予算の有無」より「何をすべきか?」という原理を優先すべき場合があるはずです。

 

6.公務員の組織には「定員」がある。

 

 ・・・ 行政組織が自己増殖したり、給与がお手盛りになったりするのを統制するためだとは思いますが、行政組織の定数(定員)は法令で定められており、給与費は予算の中でもとくに厳しい統制を受けています。

 

 民間企業でも、特に管理部門や間接部門は権限や組織を自己増殖する傾向がありますし、直接部門でも、損益を無視するかのような増員要求や昇給圧力がありますので、行政組織の定数規制はむしろ参考にすべきであるように思います。

 

7.公務員には「雇用」に対する安心感がある。

 

 ・・・ 公務員法には懲戒免職と分限免職の規定があり、法令に定められた事由以外では意に反して免職されないことが定められています。分限免職は、例えば「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」も事由のひとつです。

 

 これは民間企業の視点から見るとかなり「強力」な既定であると筆者は思いますが、当の公務員の多くはあまりその意味を実感しているようには見えませんし、分限免職自体、めったに行われないと思われているのかも知れません。

 

8.公務員にも「人事評価」が行われている。

 

 ・・・ 公務員には「年功制(年次制?)」が根強く残存しており、せっかくの「人事評価」制度が年功制の弊害を強力に是正しているようには見えません。たとえば昇給や昇任が人事評価の結果とは別に、未だに年功序列式に行われている例も見えます。

  

 また、せっかくの「人事評価制度」が、組織の活力や効率を上げるように機能しているようには見えません。例えば「勤務の成績」という言葉が単に「出勤率」の意味であり、人事評価に「分布制限率」が無いような例も、民間企業の視点から言えば「驚き」です。

 

9.公務員は自分で仕事をせず、自分で責任を取らない

 

 ・・・ 例えば、仕事を「匿名」でするか「顕名」でするか、つまり、自分を組織に没入させて仕事をするのか、それとも組織的協働を前提としつつも、自分の頭で思考して行動するか、という傾向の違いは両者の間にあるかも知れません。

  

 また、仕事の「速さ」や「効率」に対する信念の違い、仕事の「コスト」と「プロフィット」に対する意識の違いはあるかも知れません。また、予算さえ獲得してしまえば、その後はあまり効率化(コストパフォーマンス)に徹している人は多くないようにも見えます。

 

<文部科学省の「天下り人事」に思う_20170121>

 

 ・・・ 文部科学省の次官を務めた人が早稲田大学の教授に就任したのが利害関係先への天下り(あっせん)人事であったとして、同様の事例がないかどうか、今さら「調査」をするとのことですが、何とも「公務員らしい」出来事で「呆れた」話です。

 

 自分たちで作った法律や規制を自分たちで守る」ことぐらいは「当たり前」だと思うのですが、そんなこともできないことに呆れますし、それを「調査」するのに国民の血税を使うのが「当たり前」だと言わんばかりの感覚にも呆れます。

 

 社会保険庁がいいかげんな年金計算をしたのも、それを再計算したのも税金でしたが、まさに「自分の稼ぎで仕事をする」ことを知らず、まるで税金がどこからか湧いて出るかのように思っているのではないかと疑います。

 

 普段から当たり前のことをきちんとしておけば必要のない仕事に税金を使う(俸給を払う)のはやめてほしいと、心から思います。そうした俸給も労基法にいう「労務に服する」対価としての「賃金」だと言うなら、国庫に自主返納してほしいと思います。