20160814_人事が良くなれば組織が良くなる

 

… 本稿は、「人事で効率が上がるのか」という単純素朴な自問自答の記録です。

 

1.採用から退職までの人事マネジメントを機能させれば組織の効率は上がる。

 

 人事マネジメントの主な機能は、人と組織に対するオリエンテーション、モチベーション、エデュケーションです。それらはいずれも組織協働的に仕事をする上で解決や方法であり、仕事や組織の効率の向上に寄与貢献しないはずがありません。

 

 採用から退職までの人事マネジメントのプロセスを、相互に関連付けながら十分に機能させ、経営資源の中でほぼ無限の可能性を秘めたHuman Resourcesのパワーを組織の中で無駄なく発揮させることで、仕事や組織の効率は格段に向上するはずです。

 

      採用管理  → 目標管理(MBO) → 人事処遇

        ↑                        ↓

      退職管理  人(Human Resources)  成長促進

        ↑                        ↓

      報酬管理  ←   人事評価    ←  就業管理

 

① 採用管理 ・・・ どのような人を採るか(どのような人で組織を構成するか)によって、仕事や組織の効率は大きく異なります。いわゆる「採用ミス」を冒すと、組織の効率は大きく損なわれますので、採用管理のプロセスは特に重要です。

 

② 目標管理 ・・・ MBOとは、Management By Objectives, and Self Control =「目標を持って自己管理的に仕事をする」という意味です。組織の目標達成や価値実現に向けた構成員の内発的なモチベーションを引き出せば、仕事や組織の効率は大きく向上します。

 

③ 人事処遇 ・・・ 組織の構成員の中から、どのような人(=徳ある人)を選び出し、どのようなポジションに位置づけ、どのような権限と責任を付与し、発揮させるかによって、仕事や組織の効率は大きく異なります。

 

④ 成長促進 ・・・ 構成員を強く動機付ける要因のひとつは、「仕事を通じて自分自身が成長する」という実感を持たせることです。組織協働的に仕事をすることを通じて人の成長が促進するなら、仕事や組織の効率は大きく向上します。

 

⑤ 就業管理 ・・・ 仕事をする人たちのストレスが高じて自己制御が効かなくなったり、メンタル障害に陥ってしまっては効率を損ないます。また、WorkとLifeがお互いに矛盾したり対立したりしているようでは両者の質も落としてしまいます。

 

⑥ 人事評価 ・・・ 組織的協働を行う上で必要かつ有効な態度(誠実性や勤勉性)・能力(社会的能力や専門的能力)・実績(MBOで設定された目標の達成度)を評価することを通じて、仕事や組織の効率は向上します。

 

⑦ 報酬管理 ・・・ 組織や企業の組織的協働による目標の達成価値を実現により良く貢献した人==功多き人に、昇給原資や賞与原資をより多く配分することによって、目標の達成や価値の実現が促進され、仕事や組織の効率は向上します。

 

⑧ 退職管理 ・・・ 採用管理と対をなす人事マネジメントのプロセスです。どのような人が辞めていくかに注目し、辞めさせてはいけない人が辞めず、辞めてもいい人が辞める・・・というマネジメントを通じて仕事や組織の効率は向上します。

 

2.管理職が組織管理の機能を発揮すれば組織の効率は上がる。

 

 上記に加えて、日々日常の業務遂行において、職場を預かる管理職(=「人と組織を通じて仕事をする人」)が、マネジメントの機能を十全に発揮することによって、仕事や組織の効率は大きく向上します。

 

 いわゆる「管理職」とは、企業組織上の一定のポジションにおいて、「人と組織に対するマネジメントの機能を発揮しながら成果を出し続ける人」であると定義でき、「人と組織に対するマネジメント」とは以下のように定義できると、筆者は考えます。

 

<「人と組織に対するマネジメントの機能>「人事の七つ道具_組織管理の七つ道具」より

 

① Decision(判断・決断・選択)すること ・・・ 人と組織にとって何が正しいか、どうあるべきか、何をすべきか、限られた経営資源を何に投入するか、ということを適時的確に判断し、決断し、選択することを通じて、仕事や組織の効率は向上します。

 

② Orientation(方向付け)すること ・・・ 組織や企業のリーダーやマネジメント層が、①で判断・決断・選択したことを、人と組織に対して的確に指し示し、方向付けることを通じて、仕事や組織の効率は向上します。

 

③ Motivation(動機付け)すること ・・・ 組織のリーダーやマネジメント層が、②で指し示し、方向付けたことに向けて、人と組織を(外圧的・強制的にではなく)内発的に動機付けることを通じて、仕事や組織の効率は向上します。

 

④ Education(成長を促進)すること ・・・ 仕事を通じて自分自身を成長させること、組織協働的に仕事をすることを通じて社会的・人間的にも成長することに、構成員を内発的に動機づけること通じて、人と組織と仕事の成長が促進されます

 

⑤ Communication(意思疎通)すること ・・・ マネジメントの機能を発揮するうえで、コミュニケーションの機能は不可欠です。人と組織のコミュニケーションのレベルを上げることで仕事や組織の効率が向上します。

 

⑥ PDCA(Plan-Do-Check-Action)すること ・・・ P(計画する)-D(実行する)-C(評価する)-A(改善する)という仕事のマネジメントサイクルを、人と組織のマネジメントサイクルとして定着させれば、仕事や組織の効率は向上します。

 

⑦ Evaluation(評価)すること ・・・ ⑥のP-D-C-Aの中にもありますが、評価とその適正なフィードバックはマネジメントの重要な機能のひとつです。適正な評価とそのフィードバックを通じて、仕事や組織の効率は向上します。

 

⑧ Organization(組織化)すること ・・・ 組織的協働の効率化とは、実は組織的協働における減殺効果(サボタージュ効果)の最小化です。人と仕事、人と人、人と組織を最適に組み合わせ、組織の効率を最大にすることです。

 

⑨ Succession(継承)すること ・・・ 企業は社会の公器です。ひとりのオーナーや経営者のための存在ではありません。組織を個人に依存させないこと、組織を次代のリーダーに引き継ぐことで組織は活性化します。

 

 元経団連会長の土光敏夫氏は、「君らは*倍働け、俺は*倍働く」と言い、「褒めもせず、叱りもしない管理職は度し難い」と言ったそうですが、管理職が上記の機能を発揮すべきであるという点において、至言であると思います。

 

3.構成員全員がメンバーシップを発揮すれば組織の効率は上がる。

 

 組織の効率を上げるのは「リーダーシップよりメンバーシップ」です。つまり、組織を構成する一部の人たちが「リーダーシップ」を発揮するよりも、組織を構成する殆どの人たちが「メンバーシップ」をきちんと発揮することのほうが、組織の効率は確実に上がります。

 

 ここでいう「メンバーシップ」とは、「組織協働的に仕事をする上で、当たり前のことして組織構成員に習慣化されていなければならないはずの基本的なビヘイビア(言動や態度や思考)」のことであり、例えば次のようなことです。

 

① 仕事を進めるうえでより良くコミュニケーションするということ

② 仕事の相手や対象に対するイマジネーションを働かせるということ

③ 自分の手間を惜しまずコ・オペレーションするということ

④ 誠実・勤勉思慮・配慮に富むこと

⑤ 仕事を通じて職業人・社会人として成長するということ

⑥ 目標をもって仕事をするということ

⑦ 計画的に仕事を進めるということ

⑧ 組織的に仕事をする(人と組織から理解と協力を引き出す)ということ