20161015_八観六験_人格と品格

 

 中国の古典である「呂氏春秋」に記されている「八観六験」は、人間の人格や品格の見きわめ方であるのと同時に、人間の人格や品格の高め方や磨き方を言い当てていると思いますので簡単に紹介します。(筆者意訳)

 

「八観」

 

1.通則観其所礼(通じれば其の礼する所を観る)

 … いくらものごとに通じた人でも、他の人に対する敬意や礼儀を失ってはならない。

 

2.貴則観其所進(貴ければ其の進む所を観る)

 … いくら高貴な人でも、が高くても何(誰)を好み、近付けるかによって品格が知れる。

 

3.富則観其所養(富めば其の養うところを観る)

 … 富むことより、その富を何にどう用い、散じるかが大事。

 

4.聴則観其所行(聴けば其の行う所を観る)

 … 知ったかぶりの耳学問(一般論・べき論)は通用しない。自らの言行一致が大事。

 

5.止則観其所好(止めればその好むところを観る)

 … オンとオフ(公と私)の峻別も大事だが、オフ(私)の過ごし方に教養や品格が問われる。

 

6.習則観其所言(習えばその言う所を観る)

 … 何気ないひと言に教養や品格が現れる。

 

7、窮則観其所不受(窮すれば其の受けざる所を観る)

 … いくら困窮しても、自らに恃(たの)み、他人をあてにしない。

 

8.賤則観其所不為(賤なれば其の為さざる所を観る)

 … 低い地位や弱い立場に置かれても、してはならないことがある。

 

「六験」

 

1.喜之以験其守(之を喜ばしめて以てその守を験す)

 … 得意絶頂のときでも自我を失うことなく守るべきことを守っているか。

 

2.楽之以験其僻之を楽しましめて以てその僻を験す)

 … 大喜びしていても悪い癖が現れていないか。

 

3.怒之以験其節(之を怒らしめて以てその節を験す)

 … 怒ったときに理性や自制力を失なっていないか。

 

4.懼之以験其恃之を懼おそれしめてその恃を験す)

 … 恐怖にさらされているときでも自分の信念を堅持できるか。

 

5.哀之以験其人之を哀しましめて以てその人を験す)

 … 哀しみに接したときに人間らしさを示せるか。(筆者意訳)

 

6.苦之以験其志之を苦しましめて以てその志を験す)

 … いくら苦しくても志を曲げないか。

 

<追記事項>それ、恕か

 

 中国の古典のは(とは言っても、筆者の場合はいずれも二次的な解説書からの耳学問でしかありませんが)、人事のものの考え方において学ぶべきことが多く、もはやそれ以上に新たに語るべき何ものも無いような気がすることもあります。

 

 孔子がその高弟のひとりに「人間として一番大切なことは何か、それが無くてはもはや人間では無くなってしまうほど大切なものは何か」と問われて「それ、恕(じょ)か」、即ち、「人のこころ(悲しみ苦しみ)が分かること」だと答えたというのはそのひとつです。

 

 かつて筆者が勤めていた会社では、「経理計数的には数千人の余剰がある」という役員の言葉を皮切りにリストラが開始され、人事部の若手がまるで青年将校のように振舞いはじめましたが、そんなときでも失ってはならないのは孔子のいう「恕」であったはずです。