20161105_職人型と組織型~「働く人たち」の分類学~

 

1.職業人としての指向性から見た職業人の二分類

 

 改めて言うまでもないことかも知れませんが、職業人の指向性は、大きく、職人型の指向と組織型の指向に二分類されるように思います。(人事テキスト的に言えば、専門職指向と管理職指向ということになりますが。)

 

 筆者が言いたいのは、職業人としての、もっと個々人の指向(生き方、処し方)のレベルで、「職人指向」と「組織指向」があるのだろうということであり、互いに優劣や主従の区別なく、企業組織を構成する職業人として共存し、協働して行けるはずだということです。

 

2.もうひとつの分類=職業人としての成長過程にある人々

 

 ただし、上記の二分類は、一定の成長段階に達した職業人を前提としているので、新卒で採用されてせいぜい数年から十年程度の人々は、職業人としての成長過程にある人々としてもうひとつ別に分類されるべきでしょう。

 

 このようにして企業組織を構成する職業人は、職業人としての成長過程にある人々と、それを経て職人型の指向を持つ人々と、また組織型の指向を持つ人々の、大きく三分類できるものとして考えれば、企業の組織や人事の問題を捉えやすいだろうと思います。

 

3.さらに分類すれば・・・

 

 さらに現実に即して見れば、企業組織は、職業人としての成長や確立そのものを指向せず、「職人型」でも「組織型」でもなく、文字どおり「労務(指揮命令)に服して賃金を得る」ことを旨とする「従属型」とでも言うべき人々を分類できるかも知れません。

 

 また、形式的・名目的には「職人型」または「組織型」に分類されるかに見えて、社会一般的に見れば専門職としても管理職としての実質を成さず、その企業組織の中でのみ成り立つ(実は中でさえ成り立たない)「依存型」の人々を分類できるかも知れません。

 

<追記事項>6割は「居住型」?

 

 企業とは、一定の社会的・人間的な目的を達成し、価値を実現するために、専門的職能を持つ人々が協働し合う組織体である…とドラッカーならきっと定義するでしょうが、現実には企業は必ずしもそうした人々のみで構成されるわけではありません。

 

 筆者には、企業組織の構成員の6割は、「従属型」または「依存型」、あるいは総じて「居住型」とでも言うべきか、「より良い(より良く)仕事をすること」よりも、企業組織の中で「安心・安全・快適に暮らす」ことを優先しているように見えます。

 

<追記事項>「2-6-2」の原則?

 

 「2-6-2の原理」という言葉も、決して「ボトム2割の排除」を意味せず、「組織とはそういうものだ」と言っているはずです。筆者が経験した「数千人規模のリストラ」も、結局はその「数千人」の構成比率そのものが「2-6-2」であったことは事実です。

 

 企業組織を構成する人々の(人間的要素の)6割は企業組織に「従属」「依存」「居住」しており、企業組織の中で「安心・安全・快適に暮らす」ことを優先している、と考えるほうが現実や実態に近く、それを否定し排除しても企業組織も人事管理も成り立ちません。

 

<追記事項>「ボトム10」は「企業に中」にいるのではなく、「自分の中」にある。

 

 ある多国籍企業は、「トップ10-ボトム10」という言葉で企業組織を構成する人々を「分析的に」とらえ、「ボトム10」に分類される「ローパーフォーマー」を企業組織から切り離すことによって、企業組織そのものの「健全性」を維持しようとしました。

 

 わが国の企業の中にもこれに倣って、「ボトム10」探しに走る光景も見られましたが、実は「ボトム10」は、そのような人間諸個人が具体的に実在するのではなく、企業組織を構成する人々自身の要素として実在するように、筆者には思えました。