20170429_組織の原理

 

1.ドラッカーの言う「組織」とはどのような「組織」か?

 

 何度も引用しますが、ドラッカーの言う「組織」の定義は下記のとおりです。

 

<「組織」とは>(出典:「P・Fドラッカー経営論集」(ダイヤモンド社))>

 ① 共通の目的と価値へのコミットメントを必要とする。

 ② 組織とその構成員が必要と機会に応じて成長し、適応していかなければならない。

 ③ あらゆる種類の仕事をこなす異なる技能と知識をもつ人たちから成る。

 ④ 構成員は、自ら成し遂げるべきことを他の構成員に受け入れてもらう。

 ⑤ 成果はつねに外部にあり、測定・評価・改善されなければならない。

 

2.では、企業や職場という「組織」の現況はどうか?

 

 企業も職場も「組織」のひとつですが、その現況は上記の定義とはいささか異なります。

 

<企業や職場という「組織」の現況>(筆者)

 ① 組織の目的や価値にコミットメントしない人たちが組織を構成している?

 ② 組織とその構成員が必ずしも成長と適応に動機づけられていない?

 ③ 特段の技能も知識も持たず、組織に従属する人たちがいる?

 ④ 成し遂げるべきことが組織と個人の間、個人と個人の間で共有化されない?

 ⑤ 組織の業績が悪化すると内向きの力が働き始める。

 

3.企業や職場は「組織」か~組織を組成する原理の違い~

 

 ドラッカーが定義するような「組織」は、現実には、「協働性」の原理で組成される弁護士法人のような例を想定するほうがよく、「労務に服して賃金を得る」人たちのような「従属性」の原理で組成される企業や職場にはそぐわないのかも知れません。

 

 しかし、現実が「そうである」ということと、「それで良い」ということとは別で、組織組成の原理が「従属性」にとどまるならまだしも、「隷属性」に陥るならそれはまさに「人間と組織の疎外関係」と言わざるを得ないでしょう。

 

4.「働くこと」を通じて「人間性」を実現する。

 

 企業や職場で「働く」人たちの「成長促進」を課題として考える場合に、成長のごく初期段階ではまさに「労務に服して賃金を得る」レベルにおいては、「より良く労務に服する」能力(?)が求められることがあるとしても「それで良い」わけではないでしょう。

 

 同様に、働く人たちの「動機付け」についても、「より多くの賃金を得る」ことに動機付けられることは決して全てではなく、「働くこと」を通じてより人間的・社会的な目的の達成や価値の実現を実感することに動機付けられることが本質であるはずです。

 

5.では現実に企業や職場のマネジメントは?

 

 現実の企業や職場は、上記1のような成長段階や動機付けと、上記2のような成長段階や動機付けとの混合(ミックス)であり、マネジメントの役割は、そうした混合(ミックス)を肯定的に前提としながらも、全体的には上記2の方向に導くことでしょう。

 

 採用から退職までの人事マネジメント、特に、育成(働く人たちの成長の促進)や動機付け(MBO目標による自己管理)や組織管理(人と組織を通じて成果を出す)において、組織のふたつの組成原理に沿った混合型マネジメントが必要だと思います。