20171021_プロジェクトの人事マネジメント

 

 プロジェクトチームの人事マネジメントは、通常の組織の人事マネジメントと基本的に大きく異なるところはないのですが、筆者の経験を基に、いくつかの特徴的なポイントについて気付き事項を記します。

 

1.「育成」の原理より「選別」の原理が働きやすい。

 

 プロジェクトチームは、仕事をする上で、既にそれぞれ一定の成長段階に達した人たちから構成されるのが通常であり、「新卒者を採用して長期的に育成する」という概念がなく、ある程度「育成の責任と権限」を考えなくても済みます。

 

 例えばあるメンバーの仕事の習慣に偏りがあった場合に、それを長期間かけて是正することは期待できないということであり、「育成」観点をある程度差し置いてより直截的な指示や指導が必要だということです。

 

 言い換えればある程度「人より組織」優先の人事マネジメントができるということであって、「メンバーの入れ替え」も随時可能な状態にしておく必要があります。筆者が担当した10名足らずのプロジェクトメンバーのうち2名は、2年足らずで交替しました。

 

2.「目的」は共有化はしやすく、「習慣」は共通化しにくい。

 

 「何のためのプロジェクトか」や「何を達成しなければならないか」という基本的な目的意識の共有化はしやすいが、「そのために何をしなければならないか」や「それをどのように実現するか」という点においてはなかなか共通化しにくいものです。

 

 構成員がそれぞれ元の職場で長い期間をかけて形成してきた「仕事のしかた」があり、その独自性や偏りをそのままプロジェクトに持ち込んでしまうと、プロジェクトメンバー間で不協和音が起きる場合があり、悩みの種にもなり得ます。

 

 例えば、時間や納期を厳守する習慣、文書を作成し発行する習慣、上司への報告・連絡・相談の習慣、仕事を正確・迅速・丁寧に進める習慣、情報共有化の習慣など、プロジェクトとしての必要最低限の基本的な「仕事のしかた」についてチューニングが必要です。

 

3.「親和」よりも「自尊」、「成長」よりも「達成」の欲求に動機付けられやすい。

 

 「長期的な育成」を前提としないプロジェクトでは、「目的の達成」は動機付け要因となりやすく、「成長の欲求」は動機付け要因とはなりにくいものです。また、「親和の欲求」よりも「自尊の欲求」が勝るようにも見えます。

 

 プロジェクトメンバーどうしの感情的なもつれ現象も当然ながら生じますが、誤解を恐れず言えば「所詮1~2年のプロジェクト期間のお付き合い」だと割り切ってしまえば、お互いに修復不可能な追い込みもしなくて済むでしょう。

 

 共通の目標状態を明確に描き、共有化できるのがプロジェクトの強みなのですから、「そのためには」という「逆算的進捗管理」を徹底し、プロジェクト全体の情報共有化を徹底すること等で「達成の意欲」による動機付けを強く引き出せるはずです。