20180123_職場の老害(高齢化と両立支援)

 

1.老齢化に伴う身体的能力と精神的能力の変容

 

 老齢化によって身体的能力が低下するのはよく知られたことであり、自己認識も比較的しやすく、周囲からも比較的分かり易いので、職場の人たちの理解や支援も比較的得やすく、事故の危険に留意さえすれば深刻なトラブルにはつながり難いでしょう。

 

 また例えば「計算」や「記憶」などの知能的な能力が低下する一方で、知識と経験に基づく「知恵」や、「温厚」や「調和」などのパーソナリティー上の特性が成熟するというのが一般的な見方でしょう(「認知と感情のエイジング」)。 

 

2.高齢者の適性検査

 

 筆者が若い人事担当者だったころ、「高齢者の継続雇用条件」について「新人に実施するような実務能力検定試験(数理能力や論理能力の適性試験)を実施してはどうか?」と考えたことがあります。(結局実施せず)

 

 例えば単純だが不規則的な転記を繰り返し行うような適性検査をすれば、その人の「老齢化」はかなり客観的に測定できるのではないかと今でも考えていますし、面接でのやりとりを「老齢化」の観点で評価するのも有効だと思っています。

 

3.組織や職場を困らせる高齢者たち

 

 上記のような自己認識や自己成熟があれば職場の理解や支援も(むしろ支持や信頼も)得やすいでしょうが、現実には、本人の自己認識が低い場合や、社会的パーソナリティーの退行が見られる場合があり、組織や職場の悩み事や困り事の一因にもなり得ます。

 

<「組織や職場を困らせる高齢者たち」の事例_筆者の観察から>

 

 ① 相手や周囲の意見を聞き入れず自分の言いたいことを優先。(聞かない)

 ② 過去の功績や地位に執着する。(こだわる)

 ③ 自分以外の能力や適性を認めない。(認めない)

 ④ 新しい考え方や方法を受け入れない。(頑迷)

 ⑤ 周囲の状況や相手の立場を顧慮しない。(無配慮)

 ⑥ 自分流を優先し決められた手順やルールを無視する。(自分勝手)

 ⑦ 待てない。気に入らないとすぐ怒る。(感情的)

 ➇ 同じことを繰り返し言う。むだ話が長い。説教がましい。(くどい)

 ⑨ 都合の悪いことは人のせい、年のせいにする。(ずるい)

 ⑩ 自分では動かず評論家のようなもっともらしい一般論を言う。(動かない)

 

4.高齢化と就労の両立支援

 

 高齢化と少子化が進む中で、今後の人事労務管理のメインテーマのひとつは「両立支援」だろうと思います。例えば「病気療養と就労の両立支援」「メンタル不調と就労の両立支援」などは、旧態依然の人事労務管理の思想や方法では対応ができません。

 

 同じように「高齢化と就労の両立支援」についても、高齢者が「困った人たち」になりうるという問題を「(できれば予防的に)何とかする(=マネジメントする)」ことが今以上に必要になるでしょう。

 

5.両立支援を促進するコミュニケーション

 

 筆者が尊敬するO医師は、発達障害を抱える人たちと職業との両立関係について「最も重要なことはコミュニケーションであるが、それは本人のコミュニケーション能力ではなく職場のコミュニケーション能力である。」と看破されました。

 

 高齢化に伴ない、「本人の自己認識の低下」や「社会的パーソナリティーの退行」が見られる場合でも、上記のことは共通であり、本人と職場の両立を支援し、促進するためには、本人よりも職場のコミュニケーション能力を向上させるほうが現実的です。