20190409_職場を困らせる高齢者たち

 <追記_20190409>

 人生は人格の成長・修練・確立の過程だと信じたいが、身近に接する高齢者からはむしろそれを疑わせることのほうが多いような気がします。老齢化とともに身体的能力を失なうことは止むを得ないが、人格的要素の成長を失なうことは耐え難い。

 

1.老齢化に伴う身体的能力と精神的能力の変容

 

 老齢化によって身体的能力が低下するのはよく知られたことであり、自己認識も比較的しやすく、周囲からも比較的分かり易いので、職場の人たちの理解や支援も比較的得やすく、事故の危険に留意さえすれば深刻なトラブルにはつながり難いでしょう。

 

 また例えば「計算」や「記憶」などの知能的な能力が低下する一方で、知識と経験に基づく「知恵」や、「温厚」や「調和」などのパーソナリティー上の特性が成熟するというのが一般的な見方でしょう(「認知と感情のエイジング」)。 

 

2.高齢者の適性検査

 

 筆者が若い人事担当者だったころ、「高齢者の継続雇用条件」について「新人に実施するような実務能力検定試験(数理能力や論理能力の適性試験)を実施してはどうか?」と考えたことがあります。(結局実施せず)

 

 例えば単純だが不規則的な転記を繰り返し行うような適性検査をすれば、その人の「老齢化」はかなり客観的に測定できるのではないかと今でも考えていますし、面接でのやりとりを「老齢化」の観点で評価するのも有効だと思っています。

 

3.職場を困らせる高齢者たち

 

 上記のような自己認識や自己成熟があれば職場の理解や支援も(むしろ支持や信頼も)得やすいでしょうが、現実には、本人の自己認識が低い場合や、社会的パーソナリティーの退行が見られる場合があり、組織や職場の悩み事や困り事の一因にもなり得ます。

 

<追記20190409「職場を困らせる高齢者たち」の事例_筆者の観察から>

 

 ① 相手や周囲の意見を聞き入れない(聞かない)。

  … 六十にして耳順(したが)う(論語)でありたい。

 ② 言われたこと・決まったこと・ルールを守らない(守らない)。

  … 言われた通りできるようになるのが子供、できなくなるのが老人。

 ③ 自分のやり方や考え方を変えない(改めない)。

  … 相手や周囲に何度同じ迷惑をかけても自分の行動や習慣を変えない。

 ④ 同じことを繰り返す。聞かれてもないことを言う(くどい)。

  … 相手の質問に答えず、知っていることをまくしたてる。

 ⑤ 都合の悪いことは相手と年のせいにする(ずるい)。

  … 言い訳をせず・人のせいにせずが美徳ではなかったのか。

 

 いずれも自ら「来た道」「辿る道」ですが、「言われたことが出来る」から「言われなくても出来る」というのが成長過程ならば、「言われたことが出来なくなる」のが衰退過程とも言えるでしょう。

 

4.高齢化と就労の両立支援

 

 高齢化と少子化が進む中で、今後の人事労務管理のメインテーマのひとつは「両立支援」だろうと思います。例えば「病気療養と就労の両立支援」「メンタル不調と就労の両立支援」などは、旧態依然の人事労務管理の思想や方法では対応ができません。

 

 同じように「高齢化と就労の両立支援」についても、高齢者が「困った人たち」になりうるという問題を「(できれば予防的に)何とかする(=マネジメントする)」ことが今以上に必要になるでしょう。

 

5.両立支援を促進する3C(Communication,Consideration,Co-operation)

 

 筆者が尊敬するO医師は、発達障害を抱える人たちと職業との両立関係について「最も重要なことはコミュニケーションであるが、それは本人のコミュニケーション能力ではなく職場のコミュニケーション能力である。」と看破されました。

 

 高齢化に伴ない、「本人の自己認識の低下」や「社会的パーソナリティーの退行」が見られる場合でも、上記のことは共通であり、本人と職場の両立を支援し、促進するためには、本人よりも職場のコミュニケーション能力を向上させるほうが現実的です。

 

 そして極めて「月並み」ですが、双方向のCommunicationをベースに、お互いの状況に対するConsiderationを高め、お互いのCo-operationの領域を広めていくことが、否定でも排除でもない、協働と両立の組織作りにつながるでしょう。