20180716_「伝わる」コミュニケーション

 

1.仕事がうまく行くか行かないかはコミュニケーション次第

 

 「仕事がうまく行くか行かないか」は、多くの場合「関係者とのコミュニケーションが上手く行くか行かないか」にかかっています。逆に言えば「仕事が上手く行かない原因の多くはコミュニケーションが上手く行かないこと」です。

 

 そして、「コミュニケーションが上手く行く」ためのポイントの第一は「聴く(肯定的受容と積極的傾聴)」であり、第二は「伝える(相手の脳裏に絵を描くようにあの手この手で伝える)」ことです。

 

2.上手く「伝わる」ためのコミュニケーションの要素(七つ道具)

 

① 一義性

 

 簡単に言うと「ひとつの言葉にはひとつの意味しか持たせない」ことです。日常生活では(友人間や家族間では)多義性や曖昧性のある言葉のほうがむしろ多いと思いますが、仕事上のコミュニケーションにおいては「一義性」を重んじるべきです。

 

 また、筆者のもとに時々「何のことかわからない」メールが届きますが、よく読むと「何を」「誰が」「いつ」「どこで」「なぜ」「どうやって」「どのくらい」という基本要素が不用意に省略されていて、「一義性」を欠いていることに気付かされます。

 

 「数値化や定量化」は「一義性」を高めます。「数値化や定量化」になじまない場合は「具体化や例示化」が必要です。また「一義的に定義された概念や用語を使うこと」「同じ言葉は同じ意味で使う(同じ意味なら同じ言葉を使う)」ことも重要です。

 

② 論理性

 

 「一義性」と並んで「伝える」コミュニケーションのもうひとつのポイントは「論理性」です。例えばそれは「1+1=2」という数理的な合理性であり、「AならばBである」という論理的な整合性です。

 

 それは「知識」や「学習」として得られる場合もあり、「常識」や「良識」とされる場合もあります。それらをふまえず「自分勝手な屁理屈やこじつけ」を持ち込もうとしても少なくとも実務の世界では通じません。

 

 筆者のもとに時々「訳の分からない」メールが届きますが、よく読むと上記の「論理性」に欠ける(「論理性」およびその前提となる「知識」や「学習」や「経験」や「常識」や「良識」に欠ける)場合が多いように思います。

 

③ 一貫性

 

 筆者はときどき、仕事の上でも「何について話をしているのか、何が問題なのか分からない」会話に巻き込まれることがあります。お互いに論点や論旨を意識的に明確化し、共有化しながら対話をすすめるべきでしょう。

 

 また「何について話しているか・書いているか」を常に「指し示し(Indicate)ながら話すこと・書くこと」も重要で、「次に~について話します」という話し方や、見ただけで内容が推測できるようなテーマや見出しの書き方が必要です。

 

 また、前記①の「一義性」は、言い換えれば「一貫性」です。「同じ言葉を同じ意味で使う」という「一貫性」であり、「論理(なぜそう言えるのか)」や「論点(何について言うのか)」や「論旨(何が問題なのか)」の「一貫性」です。

 

④ 視認性

 

 情報の多くは非言語的な要素、特に視覚や印象から伝わります。その意味で話し手の表情や態度はコミュニケーションの促進要因にも阻害要因にもなります。「和顔愛語」は相手側の「バリア」を解きほぐし、「伝わりやすさ」を高めます。

 

 また、「箇条書き」や「段落分け」も「視認性」を高めます。文書やメールだけでなく、話し言葉においても「箇条書きのように話す」「段落分けしながら話す」「視覚化しながら(描きながら)話す」ことも「伝わりやすさ」を高めます。

 

 その他、可能な限り「図表化」をすることも「伝わりやすさ」を高めます。イメージ図や一覧表は読み手の理解を助けます。また相手の視点で「結論を先に、理由を3つ」という文書上の配置も「伝わりやすさ」を高めます。

 

⑤ 合理性

 

 相手にとって一義的で、論理的で、論点と論旨が明確で一貫したものであっても、それが相手にとって合理性と納得性の高いものでなければ、相手には伝わらず、通じず、相手の理解も協力も得られません。

 

 合理性のひとつは「目的合理性(合目的性)」です。お互いの目的や価値を尊重し合い、共有し合い、それを達成・実現するために有効であるか、という点が「効果的で効率的なコミュニケーションを行う、ということです。

 

 相手の状況、考え、感じ、目的、価値、要望など、総じて言えば「相手側の諸価値」への尊重とそれらと組織協働的な目的や価値との整合性(目的合理性・価値合理性)」を高めることが「伝わりやすさ(理解と合意と協力の得やすさ)」を高めます。

 

⑥対話性

 

 「質問と回答が対応しない」「論旨や論点が合わない」「聞かれてもないことを延々としゃべる」ような会議がありまありますが、「対話的」なコミュニケーションは、相手の発言の意味や趣旨、相手の興味や関心に対応しなければ成り立ちません。

 

 また、一方的な伝達に終わってしまっては、相手の理解も同意も協力も得られません。「どう思うか?」「どう感じるか?」など、相手の意見や感想を引き出しながら「対話的に話す」ことも「伝わりやすさ」を高めます。

 

 「対話的」であるということは、「相手の理解や合意を得ながら話を進めること」であり、言い換えれば「同じ意味なら相手の言葉を使って話すこと」「自分が言いたいことが相手の口から出てくるように話すこと」です。

 

⑦ 共感性

 

 上記はいずれも「伝わる」コミュニケーションに必要な要素ですが、「マネジメントスタイルのP型とM型」で言えば、やはり「P型(パフォーマンス型)」に偏り、「M型(メンテナンス型)」の要素が少ないと言えます。

 

 つまり話し手(書き手)にとって最も重要な要素のひとつは、相手が「どう思うか?」「どう感じるか?」ということへの「共感性」であり、同時に「相手にどう受け取られるか?」という自分自身への「感受性」です。

 

 人は「論理性」や「合理性」だけで「動く(理解・合意・協力する)」わけではありません。相手の目的や価値、事情や都合、考えや感情、そうした相手側の諸価値への尊重と共感と配慮が、話し手の態度や言葉の端々に顕れることが重要です。