20180720_健康時間と支払時間の二元管理

 

1.「働き方改革(時間外労働の上限規制)」の医師への適用について

 

 医師にも他の職種と同様に「働き方改革(超過勤務時間の上限規制)」を適用すべきかという議論がいまだに続いていますが、筆者は明確に「適用すべきだ」と考えます。「健康管理をしっかりすれば時間管理は不要」という議論は論外です。

 

 医師の「応召義務」を盾にとったり、「医師不足(実は偏在)」を言い訳にする議論も、筆者には「反対のためにする議論」としか映りません。「どんな例外的な事由があっても月100時間を超過勤務の罰則付き上限にする」ことにも賛成です。

 

2.実務的な「勤務時間」の把握方法について

 

 勤務時間の「管理」のためには勤務時間の「把握」が必要であるこことは当然で、その「把握」の方法が、少なくとも病院においては医師と他の職種では事情が異なるので、工夫が必要です。

 

 ① タイムレコーダーによる時間把握が単純明快で良いが多くの病院の多くの医師にはその習慣がありません。もともと「自分たちは時間労働者ではない(時間管理の対象者ではない)」という意識が根強いからでしょう。

 

 ② 電カル端末のオン-オフ記録や、ICカード等による入退場記録だけで勤務時間の客観的把握ができるとは思えません。「在院時間の全てが勤務時間とは言えない」ことこそが医師の勤務実態です。

 

 ③ 行政指導には必ずしも適合しませんが、医師の勤務時間の把握は「タイムレコーダーによる刻時」+「医師による自己申告」の二本立てとするのが最も実務性・合理性・信頼性・妥当性・納得性が高いはずです。

 

3.支払対象時間と健康管理時間の二元管理が必要

 

 ① 医師の勤務時間の把握に手を尽くしても、使用者がその100%把握することは非現実的で、しかも万一、過重労働に起因する労災事故の責任を問われる勤務時間=「健康(管理)時間」の範囲は、使用者が把握する勤務時間を超えるでしょう。

 

 ② 一方、医師の勤務時間の100%が、割増賃金を支払うべき時間(=「支払(対象)時間」かどうかは、医師自身に訊けば分かります。つまり、医師の勤務時間を100%把握することも、その100%に支払うことも現実的ではありません。

 

 ③ つまり、健康時間>勤務時間>支払時間という関係は、医師によくあてはまり、これを踏まえて使用者は、タイムレコーダー等による勤務時間の把握をベースに、本人の自己申告による健康時間および支払時間の把握を、二元的に行うべきです。