hrms-jp  人事労務マネジメント研究会
  • ホーム
  • 組織・人事マネジメントのAtoZ
  • 仕事をする上で大切なことAtoZ
  • 人事の悩みごと
  • 働き方改革懇談会
  • 人事労務実務セミナー
  • 人事労務実務のQ&A

マズロー五段階説の読み替え ☆

 

1.マズローと言えば…

 

 マズローと言えば「欲求五段階説」で、人事労務管理の議論の多くで紹介・引用されて来ており、勿論、本稿もその例外ではないのないのですが、筆者は少し違う観点で「欲求五段階説」を自分なりに読み解いています。

 

<「マズローの欲求五段階説」のイメージ>

 

 ⑤ 自己実現の欲求

 ④ 自尊の欲求

 ③ 親和の欲求

 ② 安全の欲求

 ① 生存の欲求

 

2.「自己」はむしろ「相互」ではないのか?

 

 社会的(類的)存在である人間にとって、その「生存」でさえ自己単独では成り立たず、「相互」以外には成り立たないと思います。まして「安全・親和・尊厳・実現」は「自己」でなく「相互」以外には成り立つはずがないと思います。

 

 また、「親和」より「尊厳」が上位の欲求ではなく、「相互の尊厳を前提として相互の親和がある」と思います。つまり、「生存」「安全」の上に「親和と尊厳」の欲求があるのだと思います。

 

 さらに、「実現」とは、単に「自己実現」ではなく、「人間相互の実現」「人間的・社会的価値の実現」を言い、「人間的・社会的価値を実現すること(およびそのために成長すること)」こそが人間にとって最高位の欲求なのだと…。

 

 そうすると、一般的に言われる「マズローの欲求五段階説」は、次のように読み替えられると思います。

 

 第四段階の欲求:相互実現(人間的・社会的諸価値の実現)

         およびそれに向けた成長への欲求

 第三段階の欲求:相互尊厳および相互親和の欲求

 第二段階の欲求:相互安全の欲求

 第一段階の欲求:相互生存の欲求

 

3.組織の「人事労務管理」の視点からの「欲求五段階説」の読み取り方

 

(1)相互の生存や安全さえ維持できない組織は存続に値しない

 

 極端な例でいえば「過労自殺」を生じてしまう組織や企業や職場は、もはや解体的な出直し(それこそ真の「リストラクション restruction」)以外には選択肢が無い、と少なくとも筆者は断じます。

 

(2)相互の親和と尊厳は組織や職場の存立要件

 

  そもそも「組織」とは、何らかの人間的・社会的な目的の達成や価値の実現のために、さまざまな適性や能力を持つ人たちが協働する「場」であり、お互いの理解と協力なしには成り立たない「場」です。

 

 さらにわれわれが「組織」ではなく「職場」と言う場合には、必ずしも経営合理性や目的合理性を徹底した「仕組み」でなく、そこで「共に生き、とも働く」という、もっと人間的・社会的な「場」の意味が込められているはずです。

 

 そうした「場」が人間相互の「親和」と「尊厳」無しに成り立つはずがありません。「親和」や「尊厳」という価値の上にしか、組織的協働が成り立たず(理解も協力も得られず)持続的な「成果」や「効率」も得られないはずです。

 

(3)相互の目的の達成や価値実現、それに向けた相互成長こそ最大の動機付け

 

 ドラッカーは「組織」を次のように定義しています。「共通の目的と価値」とは必ずしも経済的な価値だけではなく、例えば「平和」や「幸福」や「自由」という人間的・社会的な諸価値です。

 

 組織とは…

 ① 共通の目的と価値へのコミットメントを必要とし、

 ② 組織とその成員が必要と機会に応じて適応し、成長し、

 ③ あらゆる仕事をこなす異なる技能と知識をもつ人たちから成り、

 ④ 自ら成し遂げるべきことを他の成員に受け入れてももらい、

 ⑤ 成果は常に外部にあって測定・評価・改善されなければならない

 (「P.F.ドラッカー経営論集」(ダイヤモンド社)より)

 

 人事労務管理(マネジメント)とは、組織や企業や職場に集う人間相互の生存や安全はもとより、相互の親和と尊厳のうえに、相互の目的や価値に向けた成長と協働をいかに多く豊かに引き出すかという考え方であり処し方です。 

 

4.追記20201118_「自己実現」を「搾取の道具」にしないために…

 

 マズローのいう「自己実現」とは、60歳以上の健全な人間の状態だそうです。生存や安全さえ脅やかされ、親和や尊厳さえ危うい人間の状態に、自己実現を強いることは、虚偽と悪徳に満ちた搾取以外の何ものでもありません。

 

 「人事労務マネジメント」は「搾取の道具」ではないのか…ものごとの二側面性(両刃の剣)から言えばそうなりうることはむしろ当然で、ではどのような価値の「軸」がそこにもう一本なければならないかという問題だと思います。

 

 ある病院の創業者の「理念」は「すべては患者様のために」でした。実はその「価値」のもとに、長時間の不払労働が行われてきました。今では「患者満足&職員満足」と言い換えていただいてるようですが…。 

 

 

  

 

  • 言葉がいちばんの嘘つき
  • 一緒に働くということ
  • 困った人は困っている人
  • 働く人たちの未熟性
  • 職場コミュニティーは幻想か?
  • 全体的人間関係
  • 分かり合える職場
  • 前面の理、側面の情
  • ノーレスポンスの闇
  • 多忙は多くを亡(うしな)う
  • 仕事は能力よりやり方次第
  • なぜ人事評価は「難しい」か?
  • 自己管理と相互支援
  • 組織であるがゆえの悩み
  • PDCAは1日1回廻す
  • 揺るがない目標
  • 働き方そのものの改革
  • 思いて学ばざれば
  • 一方を聞いて沙汰するな
  • 成長には苦悩と苦闘が伴う
  • 言動と態度の合理的選択
  • 今さらながらのコーチング
  • 人と仕事の好き嫌い
  • 会議のムダは組織のムダ
  • 組織に依存しない働き方改革
  • 組織が人体に学ぶこと
  • 協調性と協働性
  • リーダーシップより大切な
  • プロジェクト型組織
  • 個人と組織の最適関係
  • 相手の立場と視点で仕事する
  • 自分の手間を惜しまず
  • 言い訳せず、人のせいにせず
  • ものの言い方に人格が現れる
  • なぜ会話がかみ合わないのか
  • 仕事の早さは七難隠す
  • 仕事は作業ではない
  • 毀誉褒貶は人の世の常
  • ファクトとロジックとその先
  • 意思決定は優先順位の決定
  • 悪く思わず、悪く言わず
  • 働く人たちの心を守る
  • 非常時のリーダー
  • 育てることは信じて待つこと
  • 其れ恕か_相互リスペクト
  • 人事も歴史に学ぶ
  • 人を見る眼、育てる眼
  • 人間機械論なんて
  • 過去を言うように未来を言う
  • 評価よりも承認と感謝
  • 争わず、戦わず、働くこと
  • 人事という仕事
  • 人を動機付けることは難しい
  • より良く働きより良く生きる
  • 変わらなければ意味がない
  • 成長の三段階悦
  • 誠実で勤勉であることの尊さ
  • 仕事をする上で一番大切な事
  • アウトプットよりアウトカム
  • たった3つの習慣化で出来る
  • マズロー五段階説の読み替え
  • 違いは間違いではない
  • 全ては肯定に値する
  • 交流が進化につながる
  • 気付くことは教えらえるか?
  • 自己肯定と他者肯定
  • 何もしないという仕事もある
  • 管理職が言ってはいけない…
  • 上司が部下の意欲を損なう
  • 必要なのは指導より支援
  • 下事よりも下情に通じる
  • パワハラ_自己尊厳の壁
  • パワハラ_正義は人を虐げる
  • パワハラ_自己肯定の凄まじさ
  • パワハラする側の心理
  • パワハラする側の心理
  • パワハラと注意指導の境界線
  • 二次主義・商業主義を排す
  • コロナを言い訳にするな
  • 働きすぎ改革と休み方改革
  • 同一労働同一賃金なんて?
  • ゴーンの後にゴーンを言うな
  • 電通事件に思う
  • 遊びをせんとや生まれけむ
  • 人間の天性_既に知っている

hrms-jp  人事労務マネジメント研究会

 一般企業や医療機関等での人事実務経験と特定社労士としての専門性に基づき、主に医療・福祉・介護分野の事業主や人事管理者の皆さんを支援します。

代表 河北 隆 

〒270-1357

千葉県印西市牧の木戸1-7-4

mail    hrms@grace.ocn.ne.jp

tel       080-1361-1511

<略歴>

九州大学法学部卒、NEC日本電気(株)、外資系エンジニアリング会社、国保旭中央病院(千葉県)等の人事・管理部門を経て現職。

<資格>

特定社会保険労務士

衛生工学衛生管理者

情報処理技術者

医療労務コンサルタント

概要 | プライバシーポリシー | サイトマップ
All rights reserved by hrms-jp
ログイン ログアウト | 編集
  • ホーム
  • 組織・人事マネジメントのAtoZ
    • こういう採用をしてはいけない
    • こういう面接をしてはいけない
    • 採用選考が全てではない
    • 採用力を高めるには
    • 採用ミスを防ぐには
    • 採用ミスに気付いたら
    • 人と組織の成長を促進する
    • 何が人と組織を成長させるか
    • 人と組織が成長するとは
    • 成長を促進するマネジメント
    • それでも人が育たない?
    • 日常的な部下指導
    • 人と組織を動機付ける
    • 動機付けの人事マネジメント
    • MBOで動機付ける
    • 仕事に動機付けられない?
    • 目標管理制度の有効性
    • 目標管理制度の形骸化
    • 何のための人事評価か?
    • 人事評価は何を評価する?
    • フェアな人事評価とは?
    • 人事評価を反映させる…
    • 人事評価への不信と不満
    • 人事評価制度の有効性
    • 人事評価制度の形骸化
    • 何をもって人を処遇する?
    • 能力主義から役割主義へ
    • 報酬設計
    • 同一労働同一賃金の実務
    • 人件費を管理可能に
    • モラールマネジメント
    • メンタルヘルスマネジメント
    • 時間外勤務の規制
    • パワハラを防ぐ
    • 組織の設計と人の処遇
    • 選択と集中
    • 組織の方向付け
    • 組織の動機付け
    • 組織のコミュニケーション
    • 組織のPDCA
    • 組織の成長
    • 組織化と承継
    • 退職のマネジメント
    • 解雇と退職の悩み
  • 仕事をする上で大切なことAtoZ
    • 仕事の能力_Ability
    • 仕事の適性_Behavior
    • 組織的協働_Cooperation
    • より良い明日_Development
    • 自己育成_Education
    • 誠実と勤勉_Faithful
    • 和顔愛語_Gently Speaking
    • 人間関係_Human Relation
    • 想像力_Imagination
    • 巧遅より拙速_Just on Time
    • 丁寧で親切な仕事_Kindness
    • 仕事のイロハ_Literacy
    • 自己管理_Management
    • リーダーとは_Noblesse Oblege
    • 目標を持って_Objectives
    • 備えあれば_Proactive
    • 品質・コスト・納期_QCD
    • 報告・連絡・相談_Report to
    • 仕事は「解決」_Solution
    • 思慮深さ_Thoughtfulness
    • 一義性を重んず_Unique
    • 仕事の価値_Value
    • 心の健康_Work Life Balance
    • 仕事したくない_X-theory
    • 仕事したい_Y-theory
    • 筆者の思い_Z-theory
    • 上司から部下への願い
    •  コミュニケーション
    •  イマジネーション
    •  コ・オペレーション
    •  モチベーション
    •  PDCAとQCD
  • 人事の悩みごと
    • 言葉がいちばんの嘘つき
    • 一緒に働くということ
    • 困った人は困っている人
    • 働く人たちの未熟性
    • 職場コミュニティーは幻想か?
    • 全体的人間関係
    • 分かり合える職場
    • 前面の理、側面の情
    • ノーレスポンスの闇
    • 多忙は多くを亡(うしな)う
    • 仕事は能力よりやり方次第
    • なぜ人事評価は「難しい」か?
    • 自己管理と相互支援
    • 組織であるがゆえの悩み
    • PDCAは1日1回廻す
    • 揺るがない目標
    • 働き方そのものの改革
    • 思いて学ばざれば
    • 一方を聞いて沙汰するな
    • 成長には苦悩と苦闘が伴う
    • 言動と態度の合理的選択
    • 今さらながらのコーチング
    • 人と仕事の好き嫌い
    • 会議のムダは組織のムダ
    • 組織に依存しない働き方改革
    • 組織が人体に学ぶこと
    • 協調性と協働性
    • リーダーシップより大切な
    • プロジェクト型組織
    • 個人と組織の最適関係
    • 相手の立場と視点で仕事する
    • 自分の手間を惜しまず
    • 言い訳せず、人のせいにせず
    • ものの言い方に人格が現れる
    • なぜ会話がかみ合わないのか
    • 仕事の早さは七難隠す
    • 仕事は作業ではない
    • 毀誉褒貶は人の世の常
    • ファクトとロジックとその先
    • 意思決定は優先順位の決定
    • 悪く思わず、悪く言わず
    • 働く人たちの心を守る
    • 非常時のリーダー
    • 育てることは信じて待つこと
    • 其れ恕か_相互リスペクト
    • 人事も歴史に学ぶ
    • 人を見る眼、育てる眼
    • 人間機械論なんて
    • 過去を言うように未来を言う
    • 評価よりも承認と感謝
    • 争わず、戦わず、働くこと
    • 人事という仕事
    • 人を動機付けることは難しい
    • より良く働きより良く生きる
    • 変わらなければ意味がない
    • 成長の三段階悦
    • 誠実で勤勉であることの尊さ
    • 仕事をする上で一番大切な事
    • アウトプットよりアウトカム
    • たった3つの習慣化で出来る
    • マズロー五段階説の読み替え
    • 違いは間違いではない
    • 全ては肯定に値する
    • 交流が進化につながる
    • 気付くことは教えらえるか?
    • 自己肯定と他者肯定
    • 何もしないという仕事もある
    • 管理職が言ってはいけない…
    • 上司が部下の意欲を損なう
    • 必要なのは指導より支援
    • 下事よりも下情に通じる
    • パワハラ_自己尊厳の壁
    • パワハラ_正義は人を虐げる
    • パワハラ_自己肯定の凄まじさ
    • パワハラする側の心理
    • パワハラする側の心理
    • パワハラと注意指導の境界線
    • 二次主義・商業主義を排す
    • コロナを言い訳にするな
    • 働きすぎ改革と休み方改革
    • 同一労働同一賃金なんて?
    • ゴーンの後にゴーンを言うな
    • 電通事件に思う
    • 遊びをせんとや生まれけむ
    • 人間の天性_既に知っている
  • 働き方改革懇談会
    • 両立支援と改正育児介護休業法
    • 離職防止について
    • 職場の中の困った人たち
    • 時間外規制だけじゃない
    • 発達障害的な部下を持ったら
    • 最賃労働と同一賃金
    • 今さら聞けない病院経営
    • 医療人としての生き方…
    • 病院の問題職員と解雇問題
    • 医療機関の外国人雇用
    • 病院の経営企画
    • コロナ下の今こそ働き方改革
    • 働き手不足時代の確保と定着
    • コロナ下での職員の定着
    • 働き方にかかわる発達障害
    • 目標管理と人事評価
    • コロナ禍に打ち克つ病院経営
    • 医師の働き方改革の実践
    • 医療従事者のメンタルヘルス
    • 同一労働同一賃金への実務
    • 病院の同一労働同一賃金
    • 医師の働き方改革
    • 人事組織と病院経営の観点
  • 人事労務実務セミナー
  • 人事労務実務のQ&A
    • 育児休業取得と不利益取扱い
    • 雇用区分の変更と年休繰り越し
    • 退職間際の年休取得
    • 所定始業時刻前の時間外勤務
    • 変形労働時間制と時間外勤務
    • 労基署調査と必要帳簿類
    • 待機時間(手待時間)の賃金
    • 医師の宿日直勤務
    • 医師の年俸制の実務的留意点
    • 定額時間外給制の実務的留意点
    • 半日休暇取得日の時間外勤務
    • パワハラによる精神疾患
    • 就業規則の記述法
閉じる