20210506_かみ合わない対話

 

「対話」が大事だということは当然ですが、かみ合わない会話に苦しむことが多い。では、かみ合わない対話はなぜかみ合わないのか…というのがこのコラムのテーマです。

 

 「AはBですか?」と質問しているのに「CはDです。」と答えても会話にはなりません。「AとBについて答えて下さい」と言っているのに「Aは~です。」とだけ答えてもダメです。「ひとつの問いにはひとつの答え」が基本であるはずです。

 

 「ひとつのことを聞いて多くことを知る」のは良いかも知れませんが、「ひとつのことを聞かれて聞かれてもないことを喋る」のは困ります。わからないことや知らないことには謙虚でなければならないでしょう。

 

 そんな当たり前のことが、実は、社会人・職業人どうしの会話でも多いものです。相手の言い分を聴かず、分からずに、黙り込んだり、自分本位の弁舌を延々・滔々と垂れ流すから、対話がかみ合わず、続かず、途絶えてしまうのです。

 

<かみ合わない対話の例>

 

例_相手の発言を聴かずにモノを言う。

 … 相手が「何を知りたいか?(何が分からず、知らずに困っているか?)」をろくに聴

 かずに答え始め、相手にとっての目的や価値からどんどん遊離する。

 

例_相手の資料を読まずにモノを言う。

 … 資料に書いてあることをわざわざ読み上げるだけの話者と、資料に書いてあることを

 ろくに読まずに意見を言う論者。

 

例_相手が意図を分からずにモノを言う。

 … 相手には困り事や悩み事がある、分からずに困り、知りたいとう意図や目的や求める

 価値がある。それを軽視・無視して答えてはならない。

 

例_相手の問いに答えずにモノを言う。

 … 質問と回答は1対1に対応させなければ、せっかくの質問も雄弁な回答も無駄にな

 る。意見と回答は一旦別立てにるのが良い。

 

例_相手の発言を用いずにモノを言う。

 … 自分が言いたいことが相手の口から出てくるように対話するのがベターコミュニケー

 ションだと思う。相手が言ってくれたことは引用・援用してモノを言うのが良い。

 

例_相手の理解を確かめずにモノを言う。

 … 自分がモノをいうときは、相手の眼を見て、相手の理解や共感を確かめながら言うべ

 きです。自分の1回の発言は2分以内にして、その都度相手の理解や共感を確かめたい。

 

例_相手の発言を待たずにモノを言う。

 … 相手も言葉をあれこれ選びながらモノを言ってくれているのだから、「何を言ってい

 るか」ではなく「何を言いたいか」に心耳をすますべきでしょう。

 

例_ファクトやロジックを無視してモノを言う。

 … どういう事実関係(ファクト)に基づいてモノを言っているかわからない、なぜそう

 いう結論になるのかわけ(ロジック)がわからない。発言の意図や目的が分からない。

 

例_相手への思慮や配慮なくモノを言う。

 … ただし、ファクトとロジックだけで全てが通じ、伝わるわけではない。相手には快不

 快、好き嫌い、その他さまざまな状況や感情があるのだから…。

 

例_相手を見下してモノを言う。 

 … 相互に「リスペクト」がなければいかなる人間関係も、コミュニケーションも、成り

 立ちません。

 

例_相手のナラティブを無視してモノを言う。

 … ナラティブ、というのは相手にとっての「歴史」であり「物語」であり「世界」で

 す。「ファクトとロジック」だけで相手のナラティブは満たされてはいません。