20210518_組織に依存しない働き方

 

 筆者は主として医療機関における人事労務マネジメントを支援する立場であり、「組織的な協働」を「是」と考えますが、「人と組織の最適関係の形成(疎外関係からの脱却)」の観点から、「人が組織に依存しすぎる」ことを「否」と考えます。

 

 以下はいわゆる「大企業の人事管理職」を経て、今現在は個人事務所でいくつかの医療機関の人事労務マネジメントの支援を行っていますが、以下はそんな筆者自身の「等身大」の「組織に依存しない働き方」論(あくまでひとつの「ご参考」です。)

 

1.先ずは自分自身の「知的資本の原始的蓄積」につとめることが前提条件。

 

 医師や弁護士でさえ「組織に依存せずに働く」ことはなかなか難しいのですから、そうした専門的な知識も技術も修練の蓄積もなく、いきなり組織から独立した(または組織と対等の)職業人として独り立ちすることは、ほぼ不可能であると思います。

 

 筆者自身は大学を出てすぐに国内の大手電機メーカーに「就職」し。京浜地区の従業員7千人規模の事業場の勤労部に初任配属されたのがそのスタートでしたが、人事専門職としての独立を指向したのはその20年近くも後、いわゆる「管理職」になってからでした。

 

 ひとつの企業にしか通用しない知識や経験や人脈でなく、ひとりの職業人として独立し、多くの企業と対等に取り引きできる程度の知識や経験や人脈を形成すること、大企業や大組織の胎内に居ながら、大企業や大組織では出来ないビジネスをイメージしていました。

 

2.組織人指向か職業人指向か?

 

 筆者自身は「大企業の管理職」となってその先、大企業・大組織のトップマネジメントを指向せず、むしろ大企業・大組織には(では)出来ない(「負けない」ではなく「出来ない」ような)ビジネス(自らの「職業」)を指向した次第です。

 

 一般的にはもちろん、「組織人」指向も「職業人」指向も優劣があるわけでもなく、両立しないものでもなく、それはそれぞれの人の適性や指向に応じて選択すれば良いことだとは思います。

 

 しかし「組織人」を指向するならその属する企業や組織でトップマネジメントを担うのでなければ、そうでなければ自ら(または数人の同志と)起業してそのオーナーシップを執るのでなければ結局は自らの人生の選択を「組織に依存」させることになるでしょう。

 

3.大企業・大組織のマネをしてはいけない。

 

 ビジネスのタイプにもよりますが、何万人もの顧客を相手に「マスビジネス」を展開しようとするのは、いくらITを駆使したとしても、よほどの組織力か誘引力を持たないかぎり現実のビジネスとしては「無理」です。

 

 インターネットで発信する人は、今や世界には何十億人もいるのですから、その中から抜きん出た注目を得て、さらにそこから実利のあるビジネスを取ることは、確率から言えばおそらく宝くじの上位に当選するより困難です。

 

 そうではなく、先ずは自分自身の「知的資本の原始的蓄積」をもとに、大企業や大組織には出来ない(「負けない」ではなく「出来ない」)ビジネスとして研ぎ澄ませ、磨き上げて、対象市場を何倍にも狭く絞ってそこに向けて何倍にも深く突き刺すことだと思います。

 

<追記事項_20210601 組織マネジメントは組織への依存を前提としないのか?>

 

 筆者は組織人事マネジメントの立場から敢えて「組織に依存しない働き方」を推奨します。「組織没入」や「組織のためには私情(願望や感情や事情)を去れ」という価値観がありうるとしても、また、「則天去私」が至高の価値観であることを認めでもなお…

 

 矛盾した言い方ですが、「組織に依存しない生き方や働き方をしている人と組織的なパートナーシップを取り結びたい」と思います。ただしそれは「組織に依存してようやく生計をたてている人たちの安全や安心を犠牲にして良い」ということでは決してありません。

 

<追記事項_20210602 組織への依存的関係から主体的関係への個人の成長>

 

 … 個人と組織の関係を議論するときには、個人の組織との関係における何段階かの成長段階を想定したうえで議論すべきだろうと思います。

 

 第一段階 … 遂行レベル

        個人が組織の一員となって基本的な業務の進め方を習得する段階。

        個別具体的な指示を受けて業務を正確・迅速・丁寧に遂行する。

 第二段階 … 判断レベル

        業務の意義や目的に沿って適時適確な判断を求められる段階。

        概括的な指示のもとに判断力を発揮しながら業務を遂行する。

 第三段階 … 指導レベル

        判断の適確さに基づいて周囲から指導力を求められる段階。

        方針的な指示に基づいて周囲への指導力を発揮しながら業務を遂行する。

 第四段階 … 組織管理レベル/高度専門レベル

        組織管理者として機能を発揮する、または

        高度専門職として事業に貢献する。

 第五段階 … オーナーシップ/パートナーシップのレベル

        組織管理者としてオーナーシップを発揮する、または

        高度専門職としてオーナーと対等のパートナーシップを取り結ぶ。

 

… 以上のようにして、個人は組織との関係において成長し、組織との関係を、依存的な関係から主体的な関係に成長させていくのだろうと思います。

 

<追記事項_20210603 組織は公器>

 

… 組織は公器です。私物ではない。なぜなら組織とは人と人との関わり合いだからです。組織のリーダーは、「公の人」でなければならず、「私の人」であってはならない(ありえない)と、筆者は思います。