「巧緻より拙速を重んず」と言いますが、「色の白いは七難隠す」のと同じく、「仕事の早さ」は、それだけで、次のように、単に「難を隠す」だけでなく、実利的な「功を奏す」ことがあると、筆者は経験上、思います。
第一)品質の低さを隠す。(逆に品質を高める。)
…早めに人目にさらすことで、心ある人たちのアドバイスを受けやすくなるので、結果的に品質を高めることがある。自分の誤りにも早く気付く。
第二)調査の不足を隠す。(逆に調査を深める。)
…早めに人目にさらすことで、心ある人たちから有益な情報提供を得ることができる。抱え込んでいてはそれ以上のものは得られず自分の無知にも気付けない。
第三)力量の大小を隠す。(早さでは負けない。)
…個人事業や小組織が大組織に勝つためには機転の利く、小回りの良さ、身軽さ、相手に応じた、当意即妙さ…つまり、「早さ」が最大の武器です。
第四)仕事の憂いを隠す。(積み残しをしない。)
…5分で出来ることを1ヵ月も待たせてはならない。5分で出来ることはその瞬間、少なくともその日のうちに片付けてしまわないと相手の信用も無くす。
第五)備えの無さを隠す。(備えれば憂いなし。)
…大工さんや釣師さんは、その度に、その日のうち、暇を見つけては道具の手入れをしているはず。どんな仕事も同じ。始まる前に準備を整えること。
第六)先手は先取に通ず。(早いだけで取れる。)
…同じサービスなら早い方が受注できる。同じ料金なら早い方が受注できる。「あなたのところが一番早かったから」という理由が多い。
第七)先手は信用に通ず。(優先順位をあげる。)
…「早い」ことは「優先順が高い」と相手に思わせ、「遅い」ことは「優先順位が低い」と相手に思わせてしまう。
… いつものように早い人がいる一方、いつものように遅い人がいる。要はスピード(能力)の問題ではなくタイミング(習慣)の問題。休日にバックログを片付ければ、早めにタイミングを合わせ直すことができる。
<重要な追記事項「速い(早い)」ことのデメリットと自己反省>
1)自分本位・独りよがり・相手を無視する「速さ(早さ)」であってはならない。
2)正確さや丁寧さ、思慮深さを欠く「速さ(早さ)」であってはならない。
3)「速い(早い)」ことが必ずしも「良い結果」を生むとはかぎらない。