20190828_「年休5日取得義務化」の誤解と誤用

 

1.「年休5日取得」は、誤)労働者への義務付けでなく正)使用者への義務付け

 

 「年休5日取得の義務化」は、労働者への義務付けでなく、使用者への義務付けです。正確に言うと「年次有給休暇が10日以上付与された労働者が、付与日から1年以内に5日間取得するための必要な措置を、使用者に義務付けた」ものです。

 

 年次有給休暇の取得は、労働者の自由意思によることが大原則で、使用者には「業務運営上必要な場合の時季変更権」が留保されていたのですが、今回の法改正で、就業規則に「年休5日取得実現のために必要な場合の時季指定権」を定めることが認められたのです。

 

 一部に「労働者が年休の5日取得を上司に命じられ、強いられる」といわんばかりの運用が見られるのは非常に残念であり、「誰でも年休を最低5日間は取得できるような体制(人と仕事のあり方)を整えること」こそが本質的な対応であることはいうまでもありません。

 

2.年次有給休暇の取得日数と離職率は相関する。

 

 次の図は、厚労省の統計資料から、業種別の年次有給休暇取得日数と離職率のデータを組み合わせて両者の相関を見たものです。(例えば「医療・福祉」では「年休平均10日取得・離職率10%未満」が有効なKPIとなりうることが分かります。)

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20190828_休暇と離職の相関.pdf
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3.年休は「協力的に取得する」ことが必要(協働と協休)

 

 … そうは言っても現実には「年休5日取得」さえ難しい職場は少なくないと思います。例えば病院の中でも看護職場は「24時間365日応需の交替制職場」であることが多く、「年休取得」がかえって新たな不満の原因にさえなります。

 

 そうした職場(年休が取り難い職場)では、年休取得を「上から押し付ける」のでなく、年休取得を「計画的に」「協力的に」「自律的に」行う以外に「解」はない、と筆者は考え、提案と支援を行っています。

 

 具体的には年間を通じた「勤務予定表」を職場ごとに作成し、そこに「年休取得予定」を織り込むことです。職場の管理職が職員の希望や都合をふまえて「信頼性・妥当性・納得性」のある「勤務予定表」を作成できればベストですが…。