20190704_育成によって人の何が変わるか?

 

1.「育成」と言うより「成長の促進と支援」

 

 家庭でも学校でもない企業や病院で、社会人であり専門的職業人でもある職員を相手に、「育成」という言葉を使うのはいかにも「おこがましい」ので、筆者はできるだけ「成長の促進と支援」という言葉を使っています。

 

 せめて人事組織マネジメントの上で、少なくとも人の成長を阻害せず、自己成長に向けた内発的な動機付け喚起し、促進し、できるかぎりの支援をしたい、機会の提供をしたいというのが筆者の思いです。

 

2.「変わる」のでなければ意味が無い。(「分かる」だけでは意味が無い。)

 

 これは一般的に言われることですが、いくら研修で「分かる」ことができても、それを職場に持って帰って実際に「できる」かどうかが問題ですし、本人や職場がそのことで「変わる」のでなければほとんど何の意味もありません。

 

 看護師向けの人事労務マネジメントのセミナーをしていると「分かる」能力がすこぶる高いのにはいつも感心するのですが、では実際に職場で「できる」のか、それで本人や職場が「変わる」ことに繋がっているのかはいつも疑問です。

 

 ですから筆者は、セミナーは必ず同じ対象者に期間を開けて2回ずつ実施しており、第1回目で「分かる」ことができた事項を、職場で「できる」ようになったかどうか、それで本人や職場が「変わる」ことに繋がってかどうかを第2回目で確認しています。

 

 「分かる」ことが「できる」ようになるためには、現実にはさまざまの制約や問題があり、実はその問題や制約が何ものであるかを知り、何とかしてそれを克服していくことこそ

が「できる」ようになるための唯一の道です。

 

3.では何が「変わる」のか?

 

 ではそうした努力によって人や職場の何が「変わる」のかといえば、最も表層的な第一領域には「言動や態度およびその習慣が変わる」のであって、常日頃のもの言いや行い、態度の選択、その習慣が「変わる」のです。

 

 やや深層的な第二領域には、そうした「言動や態度」のもとにある、「ものの感じ方・捉え方・考え方およびその習慣」が「変わる」のであって、今までと違った感じ方、捉え方・考え方ができるようになること、それが習慣化することが「変わる」ことです。

 

 そこまで行けば十分ですしそこから先は、個人の人格的要素の根幹にかかわることなので差し控えるべきですが、敢えて言えば第二領域に「感情への対処のしかた」があるのに対応して第三領域には「感情の生じ方」が「変わる」要素としてあるかも知れません。

 

 ただし「感情への認知」は必要であるとしても「感情への制御」でなく「感情への対処」に留めるべきであり、無理な感情制御は「感情労働」によるストレスが生じやすいことに注意が必要です。

 

 さらに深層の、生来の気質や資質、幼児期に形成されたパーソナリティーの原型部分はっそれを「分かる」ことに留めるできで、「変える」ことを差し控えるべきだと、少なくとも人事労務管理の立場からはそのように思います。