20200824_非常時のリーダー

 

1.新型コロナ禍での医療機関のリーダーシップ

 

 新型コロナ禍は、あらゆる事業活動にとって、非常に深刻な非常時のひとつであり、そういう時にこそ、組織マネジメントを担う者による確かなリーダーシップが発揮されてしかるべきだと思います。

 

 筆者の顧問先の、特に新型コロナに感染した疑いのある患者を受け入れている病院での状況を見聞するかぎりでは、理事長や病院長が下記のようなリーダーシップを発揮しておられるようです。

 

<確かな情報の収集と共有>

 

… とにかく事実関係を遅滞なく、正確に把握することが第一です。組織を人体と同じく、情報とそのルートを、血液と血管のようにして、です。正確な事実を把握し、関係者間で共有化し、これに基づく判断を行うことです。

 

<確かなデシジョンと周到なオリエンテーション>

 

… 何が真実であり、何が正しく、何のために、何をどう行うべきか…は全て「責任と権限に基づく判断と選択」の問題です。そしてそれを関係者に、できるだけわかりやすい言葉で関係者に「指し示す」必要があります。

 

<明確な目標と日々のPDCA>

 

… マネジメントは、明確な目標状態(Taraget)を掲げ、それに向けて日々のPDCAを廻すことだとも言えます。特に非常時であればなおさら、日々刻々のPDCAを関係者全員で廻すことです。

 

<働く人たちのモチベーションとケア>

 

… こうした非常時にその中で実際に働いている人たちのモチベーションを維持することにこそ多くの経営資源を割くべきです。とくに「使命感」や「達成感」や「報われ感」の「測定と制御」を常におこなうべきです。

 

2.非常時のリーダーシップの特徴

 

… 以上のように見て見ると、非常時と言えども、平常時と本質的に異なるリーダーシップが必要とされるわけでもありません。あえてその特徴を言うなら、以下のような特徴が指摘できるかも知れません。

 

<迅速さと正確さ>

 

… 迅速・正確・丁寧は、あらゆる仕事の基本中の基本ですが、非常時のリーダーシップやマネジメントにおいても異なりません。迅速さと正確さは場合によっては相矛盾しますが、それを同時に達成することこそが非常時には必要です。

 

<強さとわかりやすさ>

 

… 一般的抽象的あるべき論は、ある意味で「無用」です。リーダーとして「自分はこう思う。」「自分はこうする」と強く・短く・わかりやすく発信すべきです。そして組織のひとりひとりから「自分は~します。」というコミットメントを多く引き出すべきです。

 

<先見性(先覚性)>

 

 だれもが未経験の非常時であれば、何らかの(学識的知見に基づく)「先見性」や「先覚性」が最も期待されるリーダーシップの要素のひとつです。決して専制的でも強権的でもある必要がありません。

 

<宥恕のリーダーシップ>

 

… 非常時であっても一人の人間として決して失ってはならないことは「それ恕(じょ)か」と孔子が高弟に答えて言ったといわれることばのとおりです。人やそのこころへの理解や共感や支援です。