Q3_どうすれば「目標管理制度」の形骸化を防げるか?

 

A1)目標管理制度の形骸化現象とはどういうものか?/どうすれば良いか?

 

 目標管理制度という名の制度がある(毎年1回、「目標管理表」を書かされる)だけで、企業や組織の業績の向上にも、人や組織の成長の促進にもつながっていないような現象を「目標管理制度の形骸化」と言います。

 

 問題は制度そのものより制度の運用にあるはずです。具体的にはどういう現象であり、それを予防したり、そこから脱して目標管理制度本来の趣旨や意義や効用を回復するためにどうすれば良いか、というのが本稿のテーマです。

 

例1)設定目標が日常業務とかい離している。日常業務とあまり関係のない目標が設定されている。したがって、日常業務において設定目標がいつのまにか忘れ去られている。

 

⇒ 「目標設定」は「日常業務」において行なうこと。「日常業務」を行なう上で、「もっとこうしたい(もっとこうありたい)」と思うところが即ち「目標(状態)」であるはず。

 

例2)組織目標と個人目標が連鎖していない。組織レベルの目標が個人レベルの目標にブレイクダウンされていない。同一組織内でお互いに他の構成員の目標に無関心。

 

⇒ 先ずは「組織目標」を示すべき。「そのためにはだれが何を」「そのためにはだれが何を」と順次ブレイクダウンしていけば「個人(レベルの)目標」になるはず。

 

例3)目標設定のプロセスが機能していない。目標のブレイクダウンや共有化のコミュニケーションが行われていない。目標設定が適正かどうかの評価とフィードバックが行われていない。

 

⇒ 「目標設定」は最も重要なコミュニケーションプロセスのひとつ。上司と部下の間で、グループ内で、グループ間で、設定目標の適正化と共有化のコミュニケーションを。

 

例4)目標達成のプロセスが機能していない。目標達成のためのP-D-C-Aサイクルが機能していない。誰も目標達成にコミットメントしていない。

 

⇒ 日々の日常業務が常に「目標を意識して」行われているか。P(こうしよう)-D(やってみる)-C(ふりかえる)-A(くふうする)という基本的な仕事のサイクルを回す。

 

例5)達成度評価とフィードバックのプロセスが機能していない。そもそも設定目標が抽象的で達成度評価ができない。達成度評価とフィードバックのコミュニケーションが不足。

 

⇒  単に「~に努力する(取り組む)」というだけでは「達成度評価が可能な目標」にはならない。「期首のどういう状態が期末にどういう状態になったか」というコミュニケーションが必要。

 

A2)そもそも目標管理制度の適用対象者の選定は適切か?(全員一律に目標管理制度を適用するのは無理がある。)

 

 筆者がある企業で行った「目標管理制度」の説明会で「目標の欄に何て書けば良いんですか?」という質問がありました。「それはあなたの目標を…」と言いかけましたが、その人は「私は何を目標にすれば良いんですか?」と聞きたかったのでしょうか?

 

 確かに、ただ流れ作業のように次から次へとこなすのが精一杯のような仕事をする(と思っている)人たちに、「目標管理制度」を無理やり導入しようとしても、単に労働強化に陥ってしまうだけかも知れません。

 

 また、新卒の人たちに性急に成果を求めるのは酷であり、せめて新卒採用後の2年間程度は、「目標管理制度(MBOシート)」ではなく「観察育成制度(自己申告・観察育成制度)」で「育成」中心のマネジメントをすべきでしょう。

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MBOシート.xlsx
Microsoft Excel 17.9 KB
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自己申告表と観察育成表.xlsx
Microsoft Excel 16.0 KB

 つまり、「目標管理制度(MBOシート)」の適用対象者を選別する(適用除外者を指定する)べきであり、実務的には、例えば文字通りの単純作業者や、新卒採用2年未満の者などは適用除外とすべきでしょう。

 

A3)「目標設定の状態表現」が徹底できているか?

 

 目標設定とは、「現在のどのような状態」を、目標とする「将来のどのような状態」にするのか、またそのために、いつまでに何をするかを自ら決めることです。これ(現状と目標の状態表現)が目標設定および目標記述の基本です。

 

 「現在の状態(期首の現状)は?」  ⇒  「将来の状態(将来の目標)は?」

         「そのためには誰がいつまでに何をどうする?」

 

 目標管理制度の形骸化を防ぐためには、目標設定の適正化が第一であり、そのためには、企業や組織の目標を個人レベルの目標にまでブレイクダウンすることと、各レベルにおいて上記のような目標設定の状態表現を徹底することが必要です。