4_2 何を評価することがフェアか?

 

(1)評価の原理は「貢献度」および「協働性」

 

 「組織(企業)」とは、何らかの目的を達成し、価値を実現しようとする人々の協働体なのですから、その構成員の評価原理をひと言で言うなら、「貢献度(Contribution)」、即ち、組織や企業の目的の達成や価値の実現にどれだけ貢献したか、ということです。

 

 また、組織や企業は、共通の目的の達成や価値の実現のための協働体なのですから、もうひとつの評価原理は、「協働性(Cooperation)」、即ち、組織的な協働性をどれだけ自ら発揮し、また、引き出したか、ということです。

 

(2)評価=「態度」×「能力」×「実績」

 

 上記の「協働性」と「貢献度」を、どのように個々の構成員に対する具体的な着眼点に展開するかについては組織(企業)によってさまざまであり、例えば「行動と成果」とすることも良く、「態度・能力・実績」としても良いでしょう。

 

①組織的な協働を促進する職務遂行上の「態度」

 

 その人の職務遂行上の態度を着眼点にすれば(どういう態度が組織的な協働を促進し、どういう態度が組織的な協働を阻害するかを着眼点にすれば)その人の「組織的な協働性の高さ」は自明となります。

 

 <組織的な協働を促進する態度と組織的な協働を阻害する態度>

  □ 誠実性や勤勉性            ⇔ 不誠実または怠慢

  □ 積極性(能動的・独立的・肯定的に)  ⇔ 消極的・否定的

  □ 主体性(自分で判断しながら)     ⇔ 依存的

  □ 責任感(言い訳や他責化をせず)    ⇔ 無責任

  □ 協調性(相互に理解協力しながら)   ⇔ 無理解・無関心・非協力

  □ 倫理性(社会公共的な利益を優先)   ⇔ 非倫理的・反社会的

 

②組織的な協働において発揮される「能力」

 

 職種毎のプロフェッショナル能力は当然必要ですが、組織的な協働を通じて(人と組織から理解と協力を引出しながら)それを発揮するためにはコミュニケーション能力およびそれに基づく対人関係能力が必要です。

 

 また、組織(企業)におけるポジションのレベルに応じて、コミュニケーション能力および対人関係能力に基づくリーダーシップやマネジメントの機能が求められます。

 □ 職種毎のプロフェッショナル能力(遂行‐判断‐指導‐管理のレベルに応じて)

  □ コミュニケーション能力および対人関係能力

    □ 聴く力(積極的に傾聴し、肯定的に受容する力)

    □ 理解する力(相手の言いたいことを理解する力)

    □ 表現する力(言う力、書く力、描く力)

    □ 伝える力(相手の疑問や興味に訴求する力)

    □ 対話する力(相手の発言を促し、議論を進める力)

    □ 気付く力(相手の感情に気づき、受容する力)

    □ 配慮する力(相手の立場や利便を尊重する力)

    □ 説得する力(相手の納得を得る力)

    □ 合意形成する力(論点を明確にし合意に導く力)

  □ 良好な人間関係を築く力

    □ 理解・支持・協力を引出す力

  □ リーダーシップおよびマネジメント機能(Ⅶ.「組織管理」参照)

    □ Decision(判断・決断・選択)

    □ Orientation(方向付け)

    □ Motivation(動機付け)

    □ Education(成長の促進)

    □ Communication(意思疎通)

    □ PDCA(Plan-Do-Check-Action)とEvaluation(評価)

    □ Organization(組織化)とSuccession(継承) 

 

③組織的な目的の達成や価値の実現への貢献度=「実績」

 

 「目標管理制度」がドラッカーの提唱した「MBO=Management by objectives and self control (目標をもって自己管理的に仕事をする)」という趣旨にそって設計・運用されるなら(前出)「目標達成度評価」が「実績」評価として最適です。

 

  難易度高・達成度大 … 評価S

  難易度高・達成度中 … 評価A

  難易度中・達成度大 … 評価A

  難易度中・達成度中 … 評価B

  難易度高・達成度小 … 評価B

  難易度低・達成度大 … 評価B

  難易度中・達成度小 … 評価C

  難易度中・達成度中 … 評価C

  難易度低・達成度小 … 評価D

 

  達成度評価

  S(期待を大きく上回る)

  A(やや上回る)

  B(ほぼ期待通り)

  C(やや下回る)

  D(大きく下回る)

 

 人事評価シートの実用例については下記をご覧下さい。

ダウンロード
人事評価シート.xls
Microsoft Excel 33.5 KB

<追記事項>組織の「評価」も個人の「評価」も根本は同じ

 

 「組織」も「個人」も、ともに「評価(Evaluation)」の対象になります。すなわち「組織」の評価とは、「その目的や目標や価値が一定期間内にどのように(またはどの程度)達成されたか(または実現されたか)」ということです。

 

 それとともに、当該「組織」を構成する「個人」の評価とは、「組織の目的や目標や価値の達成(または実現)にどのように(またはどの程度)貢献したか」ということです。人事評価の要素を何におくかにかかわらず、人事評価の根本は、「組織への貢献度」です。