1.「仕事(組織的協働)」は「人と組織」を成長させずにはおかない。
企業における人の成長は単に「知識や技量が高度化すること」に留まらず、組織的協働を通じて「人と組織の関係が高度化すること」であり、「人の協働性が高度化すること」です。筆者は「人の成長」に関して次のような三つの成長段階を想定しています。
①具体的な指示に基づいて職務を遂行する(遂行またはエントリーレベル)
②包括的な指示と自らの判断のもとに職務を遂行する(判断またはメンバーレベル)
③職務上の判断と指導が主な職務となる(指導またはリーダーレベル)
2.「組織の成長段階」とは?
人の成長と同時に組織もまた成長するはずです。それは組織的協働を通じて「人の社会性と共同性が高度化すること」であり、「組織の協働性が高度化すること」です。筆者は「組織の成長」に関して次のような三つの成長段階を想定しています。
①組織内の意思疎通が不十分であり、偶然性や個人性に支配されている
②情報や意思の共有化が進み、準則性や協働性が進みつつある
③組織内での相互啓発や相乗効果が発揮され、自ら成長する。
3.「人と組織」の何かが「変わる」のでなければ「成長」とは言えない。
人は、仕事をする上で、①具体的な指示に基づいて職務を遂行する段階、②包括的な指示と自らの判断のもとに職務を遂行する段階、③職務上の判断と指導が主な職務となる段階に変容し、組織との関係も、①従属的②主体的③主導的に変容します。
同時に組織も、①組織内の意思疎通も不十分な段階、②情報や意思の共有化が進み準則性や協働性が進む段階、③協働関係が確立し相互啓発や相乗効果が発揮され自ら成長する段階へと変容します。
<追記事項>「自己成長」の前提は「自己認識」の徹底なのかも知れない。
例えば「職場の中の困った人たち」の問題は、むしろ「採用」の問題であるように思いますが、一旦採用してしまったからには雇用責任は企業にありますから、「職場の中の困った人たち」への対応もひとつの「育成(=成長の促進)」のテーマかも知れません。
ただし、それこそ家庭教育や学校教育を差し置いて企業が今更おこがましく「育成」をするというのではなく、企業や職場がそうした人たちに対して行うべきことは、おそらく「自己認識」の促進とそれに基づく「自己変容」でしょう。
<追記事項>「育成(成長)」というよりは「適応」と言うほうが良いのかも知れない。
「育成(成長)」と言うと「進化(前向きの変化)」のことばかりのようですが、それを「適応」と言い換えれば、場合によっては(部分的には)「退化(後向きの変化)」ということも含めて良いような気がします。(現に生物は器官の退化によって進化してきた。)
例えば「職場の中の困った人たち」への対応がもしひとつのテーマであるなら、上記の②に言う「自己認識」に基づく「自己変容」の中には、例えば強すぎる「自己主張」を一定程度「退化」させることも「適応」という意味での「解」なのかも知れません。
<追記事項>上司が行なうべきは「指導」より「支援」なのかも知れない。
「上司」という言葉や「育成責任」という言葉を聞くと、「上司は部下を管理監督し、指導育成するのが仕事だ」と言いたくなる(思いたくなる)かも知れませんが、現実にはそんなことが部下から期待されているわけでも現場で奏功しているわけでもありません。
実は、部下が上司に期待していることは(上司が部下に期待していることも)、「自分の仕事がしやすくなるようにしてほしい」ということであり、上司は行うべき判断を行い、負うべき責任を負うことで部下が仕事をしやすいようにするのが仕事なのです。
<目次>
1.人と組織が成長するとはどういうことか?(変わらなければ意味がない。)
2.何が人と組織を成長させるか?(仕事が人と組織の成長を促進する。)
3.人と組織の成長を促進するマネジメントとは?(組織的協働性を高める。)
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