Q2_「同一労働同一賃金」への実務的対応

 

A1)「同一労働同一賃金」ではなく、「非正規雇用の処遇改善」と捉える。

 

 「同一労働同一賃金」という言葉は一種の「キャッチフレーズ」であって、筆者などは最初にこの言葉を耳にしたときに、「労働の同価値性をどうやって測るのか?」と思い、後にその内実は「非正規雇用の処遇改善」だと知ってようやく納得しました。

 

 つまり、「有期雇用と無期雇用との間に不合理な処遇格差がないか?」および「パートタイム雇用とフルタイム雇用との間に不合理な処遇格差がないか?」さらに「間接雇用と直接雇用との間に不合理な処遇格差がないか?」がチェックポイントです。

 

A2)具体的な対応のひとつは「有期雇用」の「無期雇用」への転換。

 

 「雇用形態」を区分するための基準のひとつは、「有期雇用」か「無期雇用」かであり、労働契約法の改正により有期雇用が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申し込みによって無期雇用に転換しなければならないルールが導入されました。

 

 改正労働契約法の施行日は平成25年4月1日付けであり、上記「5年」の起算日は施行日以降の契約有効日なので、最短で平成30年4月1日から「労働者の申し込みによる無期雇用への転換」が始まります。

 

A3)「本来的な無期雇用」と「転換後の無期雇用」との間の処遇の均等化

 

  これに伴う実務上の最大の「悩みどころ」は、「本来的な無期雇用」と「転換後の無期雇用」との間の処遇の均等化をどのようにするか(不合理な格差を無くすか)ということで、これについては政府の「同一労働同一賃金ガイドライン」が基準となります。

 

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf

平成28年12月20日付 厚生労働省

<以下は、上記の骨子を筆者がチェックリスト形式に編集したものです。>

 

□ 基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職業経験・能力を蓄積している有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、蓄積している職業経験・能力に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 

□ 基本給について、労働者の業績・成果に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の業績・成果を出している有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、業績・成果に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、業績・成果に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 

□ 基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の勤続年数である有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、勤続年数に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、勤続年数に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 

□ 昇給について、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同様に勤続により職業能力が向上した有期雇用労働者又はパートタイム労働者に、勤続による職業能力の向上に応じた部分につき、同一の昇給を行わなければならない。また、勤続による職業能力の向上に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた昇給を行わなければならない。

 

□ 賞与について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、貢献に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 

□ 役職手当について、役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の役職・責任に就く有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、同一の支給をしなければならない。また、役職の内容、責任に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

 

<以下略>