Q3_人件費を管理可能にするためには?

 

A1)民間企業にも組織の「定員」制が必要…

 

 ① 行政組織や公営企業では「定員制(組織の定員が法令や規則で定められている)」が常識であるのに、民間企業ではそうではありません。しかし、「人件費」を管理可能にするためには、先ずは「人員数」を管理可能にすることが必要です。

 

 ② 民間企業でも予算編成の前提として人員計画を作成するでしょうが、人員計画の拘束力を一段高めて、部門ごとの「定員」を規則で定めるのが良いでしょう。但し、経営の柔軟性を損なわないように「毎年度見直す」程度の柔軟性は必要です。

 

 ③ 定員を見直す際の条件はProfit部門とCost部門とでは異なります。Profit部門では「一人あたりのProfitを低下させないこと」が条件であり、Cost部門では「Profit部門のProfitに対するCost部門のCostの率を高めないこと」が条件です。

 

 ④ そして「組織にはあるべき『定員』に対して、『欠員』も生じうるし、『剰員』も生じうる」という認識に立って(各部門が『欠員』状況にあるか『剰員』状況にあるかを明示しながら)「人員管理(人員の過不足調整)」を行うことが必要です。

 

 ⑤ 人員の過不足調整を行うのは「採用管理」と「退職管理」の役割です。「採用管理」においてはの経年的・安定的な採用計画の策定と実行、「退職管理」においては経年的・統計的な退職傾向の把握と予測が必要です。

 

A2)管理職と専門職のポジションは個別に定義を…

 

 ① 企業で働く人たちの「成長」や「役割」を基準にすれば、その処遇の階層構造は、例えば以下のように描くことができます。(詳しくは「人事の七つ道具」-「5.処遇と報酬」-「処遇制度の設計基準」の稿をご参照下さい。)

 

 管理職層  3級・2級・1級      専門職層 3級・2級・1級

          

            遂行職層  3級・2級・1級

 

 ② このうち、管理職層と専門職層については「組織上の必要性」に徹し、ポジションの数を必要最小限に設定するとともに、個々のポジションについては「発揮すべき機能や果たすべき責任」および「適任者の技能・経験・知識要件」を先ず定義すべきです。

 

 つまり、「実在の候補者」に基づいてポジションを設定し、その要件を定義するのではなく、「組織上の必要性」に基づいてポジションを設定し、その要件を定義し、その要件を満たすことができる候補者を任用する(満たすことができない人は任用しない)のです。

 

 ③ そうすれば管理・専門職層の増大による組織効率の低下も、人件費率の増加も、抑制できるはずです。(遂行職層については上記A1による「定員」管理で足りるでしょう。遂行職層から管理・専門職層への登用は選抜試験を「調整弁」にすれば良いでしょう。)

 

A3)人事評価に連動する定期昇給、業績評価に基づく賞与支給を行うべき。

 

 ① 「人事評価の分布制限」を想定しないのは「不思議」です。人事評価の要素を「人の態度・能力・実績」であるとしても、それがもたらす企業のProfitの増は常に有限であり、その配分原理は「有限資源の貢献度に応じた配分」であるはずです。

 

 ② また、せっかくの人事評価の結果を基本給の定期昇給にも反映させない例が多いのも筆者には「不思議」です。 基本給の定期昇給に人事評価の結果を反映させなければ、いったい何を反映させるのでしょうか?

 

 ③ 賞与が企業の利益の配分という性格を有すると言うのであれば、少なくともその相当部分を業績連動型(つまり、賞与の支給額(例えば毎月の給与額に乗じる賞与の算定率を企業の業績×個人の貢献度に連動させる)のは当然ではないでしょうか。