組織管理の七つ道具

  

 上司1名が部下一人ひとりに対して人事マネジメントの機能を発揮する場合と、組織や企業のトップや管理職が組織や企業の全体を統括する場合とでは、マネジメントに求められる質が異なるはずですので、そうした観点から論考を進めます。

 

<「1対1」の人事マネジメントと「1対N」の人事マネジメントの違い>

 

 ① 直接性と間接性

 … 「1対1」の場合は管理職たる自分が直接的に対象者をマネジメントをすればいいのですが、「1対N」の場合は、概ね「N」が20人程度以上になると、いわゆる「中間管理職」を介して「管理する人を管理する」ことが必要になります。

 

 ② 具体性と概念性

 … そうすると、その人・その人、その場・その場のマネジメントだけではなく、それらの経験的な積み重ねの上で、マネジメント上の考え方や方法論がある程度確立され、それが組織的な信頼を得ていなければなりません。

 

 ③ 個別性と包括性

 … また、人事マネジメントは自然科学のような「誰にでも通用する唯一絶対の解」ではなく、その人その人ごとの「現実的な解」を個別に積み重ねていく以外にはないのですが、組織マネジメントの場合にはそれらの解を広く包括する解が必要です。

 

 ④ 社会性と倫理性

 … マネジメントの対象たる「N」の範囲が拡大すると、自分のひとつひとつの判断や選択や日常的なちょっとしたビヘイビア(言動や態度や発想や習慣)が企業全体・組織全体に影響を与えることとなり、やがては全人格的な関わりを持つことになります。

 

<目次 20170226更新

 

Decision(判断・決断・選択)

 … 何を組織の目的や価値と定めるか、またそれに基づいてどう判断・決断・選択するか。またそれがいかに信頼され、支持され、責任をもって実行されるかということ。これらのことが企業や組織の存立に決定的な影響を与える。

 

Orientation(指示)

 … Decision したことを組織の目標や価値や当為(行うべきこと)として明確に指し示し、組織内外に周知徹底すること。目標や価値や当為の「指し示し」は、明確性と通用性を求められるので適切な「概念化」が必要となる。

 

Motivation(動機付け)

 … Decisionし、Orientationしたことの実行や達成に向けて、組織構成員全員を内発的に動機付けること。企業や組織で働く人たちの「動機付け要因」は個々にさまざまでありこれを一定の目的や価値に向けて大きく束ねる必要がある。

 

Communication(コミュニケーション)

 … Decisionに伴う意思統一、Orientationに伴う意思疎通、Motivationに伴う意思形成に必要なコミュニケーションを行うこと。企業全体・組織全体のコミュニケーションのリテラシーやレベルを底上げする必要がある。

 

PDCA, Evaluation(PDCAと業務評価)

 … P(Plan)-D(Do)-C(Check)-A(Action)のサイクリックなマネジメントを通じて人と組織から成果と効率と成長を引き出すこと。PDCAマネジメントサイクルが、企業や組織のあらゆる業務の中に習慣化・定着化されている必要がある。

 

Education(人と組織の成長)

 … 組織的協働を通じて人と組織の成長を同時に促進し「人が仕事を育て、仕事が人を育てる組織づくり」を進めること。企業や組織で働くあらゆる人たちが「自己実現に向けた自己成長に動機付けられている」必要がある。

 

Organization, Succession(組織の継承)

 … 人と仕事の最適な組み合わせを通じて組織的協働のレベルを向上し、次世代のリーダーに引き継ぐこと。人が(自分が)入れ替わっても継続されるのが組織の本質。次世代のリーダーの選抜は既に行われ、継承は常に行われている必要がある。