hrms-jp  人事労務マネジメント研究会
  • ホーム
  • 令和7年税制改正をふまえた税務申告と年末調整
  • 人事マネジメントのAtoZ
  • 基本的な仕事のしかたのAtoZ
  • 人事の悩みごと(コラム)
  • 働き方改革懇談会
  • 人事労務マネジメント様式集

6_1.モラールマネジメント ☆

 

 (1)モラールとモチベーションの高低

 

 組織協働的に働く人々のマネジメント=労務管理の中で、最も重要なテーマのひとつは、モラールやモチベーションのマネジメント、すなわち、「働く意欲(やる気)」をどのようにして高く維持するかという問題です。

 

 モラールやモチベーションの高い状態とは、「組織(企業)の構成員が仕事そのものに動機付けられている」状態です。構成員がより高い目的や豊かな価値を、互いの成長と協働を通じて達成し、実現しようとしている状態です。

 

 以下には、仕事や組織、人間関係や心身の状況等について、モラールやモチベーションが高い状態と低い状態を比較対照しながら記述してみましたので、これに基づいて部下や職場の状況の振り返ってみて下さい。

 

① 仕事そのものへの動機付けについて

 高)仕事に動機付けられている。多少の負担や責任の発生を厭わず。

 低)仕事をしないことに動機付けられている。従属的で負担や責任を回避。

② 仕事の量や質

 高)仕事の量や質が自分の能力とマッチしている。

 低)仕事の量や質が自分の能力とマッチしていない。

③ 仕事への興味や価値観

 高)仕事に興味があり、意義や価値を感じる。

 低)仕事に興味が無く、意義や価値を感じない。

④ 仕事の成果ややりがい

 高)やりがいや達成感を感じ、フェアに評価されていると思う。

 低)やりがいも達成感も無く、満足な評価も得らえない。

⑤ 仕事への主体性

 高)仕事上の裁量権があり、時間配分も自己管理できる。

 低)仕事上の裁量の余地が無く、時間配分も自己管理できない。

⑥ 仕事上の適性や能力

 高)仕事上の適性も能力もあると感じ、能力向上に努めたいと思う。

 低)仕事上の適性も能力も感じないし、能力を高めたいとも思わない。

⑦ 組織や企業へのコミットメント

 高)組織(企業)の事業の目的達成や価値実現に主体的にコミットする。

 低)組織(企業)の事業の目的達成や価値実現に無関心。

⑧ 職場の人間関係

 高)上司・同僚・部下や関係先と良好な人間関係・信頼関係を築ける。

 低)上司・同僚・部下や関係先と良好な人間関係・信頼関係を築けない。

⑨ 職場環境や処遇条件

 高)職場環境や処遇条件に不満は無く、自分の努力や工夫で何とかなる。

 低)職場環境や処遇条件に不満があり、自分で何とかしようとも思わない。

⑩ その他、心身の状態など

 高)心身の状態は良好で、将来の不安も無い。

 低)何となく不調で意欲も起きず、将来への明るい展望も持てない。

 

上記を「サーベイシート」形式にしたのものをご参考に供します。

ダウンロード
モラールサーベイシート.xlsx
Microsoft Excel 12.9 KB
ダウンロード

(2)モラールとモチベーションの向上のために

 

① 上司自身のモラールとモチベーションが高くなければ話にならない

 

 上司たる管理職自身が、組織や企業の事業や、その目的や価値に対して、また、人間関係や職場環境等に関して、上記①から⑩の各項目に「高」が付く状態でない限り、部下にそれを求めるのは無理です。

 

② モラールとモチべ―ションを高めるコミュニケーション

 

 上司自身がモラールやモチベーションを高く保ち、コミュニケーション促進要因を多く(コミュニケーション阻害要因を少なく)すればするほど(参考7_5 Communication)部下のモラールやモチベ―ションは向上するはずです。

 

③ モラールの増進要因を多く、減衰要因を少なく

 

 ①②と重複しますが、組織や企業の中にモラールを増進させる要因が多ければ多いほどモラールは高まり、逆にモラールを減衰させる要因が多ければ多いほどモラールが低下するのは当然です。(増進要因と減衰要因を以下に例示列挙します。)

 

_1 トップやリーダーの言動や態度

 

  トップやリーダーの言動や態度(その前提となる考え方や価値観、またそれらに基づく習慣)が何ごとに対しても(例えばメンバーの仕事や努力や意思に対して)概してポジティブ(肯定的)かネガティブ(否定的)かによって組織や企業のモラールが左右されます。

 

 _2 メンバーと仕事との関係

 

 メンバーの仕事そのものへの動機付け、仕事の量や質が適切さ、興味や価値、やりがいや達成感や高評価感、仕事上の裁量権、仕事への適性感や有能感、向上意識、組織や企業の目的や価値へのコミットメントがモラールの増進要素です。

 

_3 職場の人間関係など

 

 職場の双方向のコミュニケーションとそれに基づく人間関係が良好で、相互に信頼関係が築けていること、職場環境や処遇条件に不満が少なく自分たちで何とかしようとしていること、心身の状態が良好で将来への期待感があることなどがモラールを増進させます。 

 

<参考>「仕事に対する意欲と今の職場で実現できている制度・施策との関係」

 

「従業員の意識と人材マネジメントの課題に関する調査」(2008年 労働政策研究・研修機構)より抜粋

http://www.jil.go.jp/institute/research/2008/051.html

 

男女ともに仕事の意欲の向上に寄与していると感じる項目(上位10項目)

 ① 仕事上、上司からフォローが得られること (男性<女性)

 ② 賃金を引き上げること (男性>女性)

 ③ 仕事の成果をより重視して処遇すること (男性>女性)

 ④ 作業環境を改善すること (男性<女性)

 ⑤ 仕事上の裁量をより高めること (男性<女性)

 ⑥ 計画的な能力開発を実施すること (男性<女性)

 ⑦ 個人の希望を重視して配置すること (男性>女性)

 ⑧ 自己申告や社内FA制度を活用すること (男性<女性)

 ⑨ 福利厚生を充実すること (男性>女性)

 ⑩ 仕事と家庭生活の調和を図る施策を充実すること (男性<女性)

 

男性が仕事の意欲の向上に寄与していると感じる項目(上位5項目)

 ① 賃金を引き上げること

 ② 仕事上、上司からフォローが得られること

 ③ 仕事の成果をより重視して処遇すること

 ④ 計画的な能力開発を実施すること

 ⑤ 個人の希望を重視して配置すること/仕事上の裁量をより高めること

 

女性が仕事の意欲の向上に寄与していると感じる項目(上位5項目)

 ① 仕事上、上司からフォローが得られること

 ② 仕事上の裁量をより高めること

 ③ 仕事と家庭生活の調和を図る施策を充実すること

 ④ 作業環境を改善すること

 ⑤ 自己申告や社内FA制度を活用すること

 

 

  • 採用ミスを防ぐには
  • 何が人と組織を成長させるか
  • 人と組織を動機付ける
  • 目標管理制度の形骸化
  • 人事評価制度の形骸化
  • 何をもって人を処遇する?
  • モラールマネジメント
  • メンタルヘルスマネジメント
  • パワハラを防ぐ
  • 退職のマネジメント

hrms-jp  人事労務マネジメント研究nou会

代表・特定社会保険労務士

河北 隆

〒270-1357

千葉県印西市牧の木戸1-7-4

mail    hrms@grace.ocn.ne.jp

一般企業や医療機関等での人事実務経験と特定社労士としての専門性に基づき、主に医療・福祉・介護分野の人事労務マネジメントを支援しています。

<資格>

特定社会保険労務士

衛生工学衛生管理者

情報処理技術者

医療労務コンサルタント

産業心理カウンセラー

概要 | プライバシーポリシー | サイトマップ
All rights reserved by hrms-jp
ログイン ログアウト | 編集
  • ホーム
  • 令和7年税制改正をふまえた税務申告と年末調整
  • 人事マネジメントのAtoZ
    • 採用ミスを防ぐには
    • 何が人と組織を成長させるか
    • 人と組織を動機付ける
    • 目標管理制度の形骸化
    • 人事評価制度の形骸化
    • 何をもって人を処遇する?
    • モラールマネジメント
    • メンタルヘルスマネジメント
    • パワハラを防ぐ
    • 退職のマネジメント
  • 基本的な仕事のしかたのAtoZ
    • 協調と協働_Cooperation
    • 意思疎通_Communication
    • 誠実と勤勉_Faithful
    • 丁寧で親切な仕事_Kindness
    • 仕事のイロハ_Literacy
    • 仕事への動機付け_Motivation
    • 速さは強さ_Quick Action
    • 敬意を持って_Respect
    • 思慮深さ_Thoughtfulness
    • 仕事したくない人_X-theory
  • 人事の悩みごと(コラム)
    • ノーレ スポンスな人たちと…
    • どっちつかず状態に耐える力
    • 相手の視点から発想できるか
    • ノーレスポンスは闇か光か?
    • マズロー欲求段階説の読替え
    • 同じコップの中でなぜ争うか
    • 寄り添うなんて余計なお世話
    • なぜ書くことが億劫なのか?
    • 省事(仕事を省く)のすすめ
    • 人はなぜ休日に「休む」のか
    • 商業主義と二次主義を排する
    • 猿に聴いて貰えるように言う
    • 悪く思わない、悪く言わない
    • 当たり前を相手に強要しない
    • コラボと言われても無理です
    • 詭弁や強弁に負けないように
    • 組織のコミュニケーション力
    • 人を動機付けることは難しい
    • 相手のほうに習慣を作り込む
    • 採用しないほうがいい人たち
    • どんな人でも三年付き合えば
    • リスペクトトレーニングって
    • ファクトとロジックとその先
    • 価値観の違いは優先度の違い
    • ちょっと困った部下への対応
    • 気付くことは教えられるか?
    • クイックレスポンスは仕事力
    • 人は何のために「働く」のか
    • 人はどこまで自分本位なのか
    • 能力と適性と意欲に応じて…
    • 我以外みな我が師と言えるか
    • 管理職が言うべきでないこと
    • 論語に学ぶ人事マネジメント
    • 組織の中は無駄と矛盾ばかり
    • 利他的な行動が選択できる人
    • マネジメントするということ
    • リーダーシップとは何なのか
    • 現在は今までの選択の結果だ
    • 人を幸福にできない社会制度
    • 日々小信を忽せにすべからず
    • アウトプットよりアウトカム
    • パワハラと注意指導の境界線
    • 時には母ごころで聴いてみる
    • 選別の論理か、育成の論理か
    • 退職や解雇が「解」なのか?
    • 毀誉褒貶は人の世の常ならむ
    • 人は「材」や「財」ではない
    • 思い悩んで書いて苦しむこと
    • 違いは決して間違いではない
    • 人はなぜ戦うのが好きなのか
    • 忙しがる人は多くを亡くす…
    • 他者肯定なしに自己肯定なし
    • 育てることは信じて待つこと
    • 働く人たちの未熟性と成長度
    • 人は変わるか、変えられるか
    • 人事が人を見る眼、育てる眼
    • 人事評価はそんなに難しいか
    • 職場を救うたった3つの習慣
    • 職場コミュニティーは幻想か
    • 前面に意を、両翼に理と情を
    • 誠実を尽くせば必ず解決する
    • ものの言い方に人格が現れる
    • 一方を聞いて沙汰すべからず
    • 自己決定と相互支援の原理…
    • 組織が人体に学ぶことは多い
    • 組織はプロジェクト型が良い
    • 困った人達は困っている人達
    • PDCAは1日1回廻すこと
    • 仕事は能力よりも習慣と方法
    • 思いて学ばず、学びて思わず
    • 働き方そのものの働き方改革
    • 言動と態度の合理的な選択を
    • 今さらながらのコーチング論
    • 人と仕事には好き嫌いがある
    • パワハラをする人とされる人
    • 働く人たちのこころを守ろう
    • 言い訳せず、人のせいにせず
    • 仕事をする上で一番大切な事
    • 誠実で勤勉であることの尊さ
    • 仕事を作業にしてはいけない
    • 協調性と協働性の微妙な違い
    • 優先順位は価値観のあらわれ
    • 仕事をする人の成長三段階説
    • 部下には指導より支援が必要
    • 時空一体に見れば解が見える
    • 人事という仕事は何だったか
    • より良く働きより良く生きる
    • 人間は天性として知っている
  • 働き方改革懇談会
    • メンタルヘルスと休復職
    • 最近のパワハラ事例に思うこと
    • 人格適応論を用いたアプローチ
    • 給与制度と給料表
    • コンフリクトマネジメント
    • 事例に学ぶ外国人雇用
    • パワハラから労災認定まで
    • 新人研修と管理職研修
    • ベア評価料と賃金制度(2)
    • ベア評価料と賃金制度(1)
  • 人事労務マネジメント様式集
閉じる