3_6 目標管理制度の形骸化

 

設問)目標管理制度が形骸化するのはなぜか、また、どうすれば良いか? 

 

A1)目標管理制度の形骸化現象とはどういうものか?/どうすれば良いか?

 

 目標管理制度という名の制度がある(毎年1回、「目標管理表」を書かされる)だけで、企業や組織の業績の向上にも、人や組織の成長の促進にもつながっていないような現象を「目標管理制度の形骸化」と言います。

 

 問題は制度そのものより制度の運用にあるはずです。具体的にはどういう現象であり、それを予防したり、そこから脱して目標管理制度本来の趣旨や意義や効用を回復するためにどうすれば良いか、というのが本稿のテーマです。

 

例1)組織のトップリーダーが方針や目標を示さない。自らの(組織及びトップリーダーとしての)業務上の目的や意義、価値や目標を指し示し、メンバーに伝えていない。

 

⇒ 先ずは、組織のトップリーダーがその組織の目的や意義や価値を語り、目標を指し示す

べきです。組織として。トップリーダーとして、いつまでに、何を、どういう状態にする(したい)のかを、指標化して各層のリーダーやメンバーに示すべきです。

 

例2)組織目標の展開プロセスが機能していない。トップダウンはあるが単純な一方通行で、そのブレイクダウンも無い。

 

⇒ トップリーダーが指し示した組織目標は、各層のリーダーやメンバーが「その実現・達成のために私(私たち)はいつまでに何をどうします。」というかたちで実務に沿ってブレイクダウンされなければなりません。

 

例3)設定目標が日常業務とかい離している。日常業務とあまり関係のない目標が設定されている。したがって、日常業務において設定目標がいつのまにか忘れ去られている。

 

⇒ 目標設定のプロセスにおいてはボトムアップも必要ですが、現場都合や本人都合を、組織目標より優先させてはなりません。また、個々のメンバーの目標設定は、日常業務を通じて「もっとこうしたい(こうありたい)」と思うところに絞るべきです。

 

例4設定目標のプロセスにおいて組織的なコミュニケーションもフィードバックも無い。同一組織内でお互いに他のメンバーの設定目標に無関係または無関心。

 

⇒ 目標設定のプロセスこそ組織的な上下左右のコミュニケーションの絶好の機会です。組織目標を上下間でブレークダウンし、左右間で共有し・関連付け、連動させることにおいても、その検証においても、上下左右の密なコミュニケーションが必須です。

 

例5)目標達成へのコミットメントも日常的な実行プロセスもない。目標達成へのコミットメントも弱く、目標達成のための日常的なPDCAサイクルも機能していない。

 

⇒ 目標の達成や実現に向けて日常業務が遂行されていなければ、目標は単なる「~できれば良いなあ…」という願望で終わってしまいます。日常的に、P(こうしよう)-D(やってみる)-C(ふりかえる)-A(くふうする)のサイクルを回すことが必要です。

 

例6)達成度・実現度評価とフィードバックのプロセスが機能していない。達成度・実現度評価とフィードバックの日常的なコミュニケーションが不足。

 

⇒  期首のどういう状態を期末のどういう状態にするか(その「状態」は測定と評価が可能なように具体化・指標化されなければならず)そのためにいつまでに何をして、現在どうなっているか、という日々のコミュニケーションとフィードバックが必要です。

 

A2)そもそも目標管理制度の適用対象者の選定は適切か?(全員一律に目標管理制度を適用するのは無理がある。)

 

 筆者がある企業で行った「目標管理制度」の説明会で「目標の欄に何て書けば良いんですか?」という質問がありました。「それはあなたの目標を…」と言いかけましたが、その人は「私は何を目標にすれば良いんですか?」と聞きたかったのでしょうか?

 

 確かに、ただ流れ作業のように次から次へとこなすのが精一杯のような仕事をする(と思っている)人たちに、「目標管理制度」を無理やり導入しようとしても、単に労働強化に陥ってしまうだけかも知れません。

 

 また、新卒の人たちに性急に成果を求めるのは酷であり、せめて新卒採用後の2年間程度は、「目標管理制度(MBOシート)」ではなく「観察育成制度(自己申告・観察育成制度)」で「育成」中心のマネジメントをすべきでしょう。