20231227 追記
「名プレーヤーが必ずしも名コーチや名監督にはなれない」のは当然で、その間には「人を通じて、人に働きかけて、人を動機づけ、人から成長や成果を出すことができるかどうか」という明らかな較差があるからだと思います。
20230902 追記
それはリーダーになるための「処世訓」でもなく、リーダーの理想像でもなく、リーダーとして現に信任を得ている人たちが現に発揮している機能であり、行動選択上の特徴であり、その意味でその人の資質のことだろうと思います。
だとしたらそのひとつは「利他的な行動を選択できる」ということであり、言い換えれば「チームや組織のために進んで(喜んで)いちばん損ができる」ということだろうと思います。
そして「結果に責任を持つ」ことだろうと思います。「アウトプット(やったこと)」より「アウトカム(その結果)」です。担当者なら「頑張りましたが出来ませんでした」で通るかも知れませんがリーダーはそれでは通らないと思います。
かく言う筆者自身が立派な「リーダー」であったわけではありません。ただ人事管理を行う立場で、企業等のトップリーダーに直接接する機会が多かったし、そこから学ぶことが多かったと思うだけです。
そうした視点から言えば「最後は『人』だ」と思います。トップリーダーに問われるのは、結局はその人の「人格」であり「人徳」だと思います。しかしそれは筆者の勝手な「見果てぬ願望」でしかないかも知れません。
<以下原文>
「リーダーシップ」に関する記事が氾濫していますが、組織協働的に仕事を進めるうえで大切なことは、リーダーシップよりメンバーシップだと、筆者は思います。リーダーシップとは、メンバーシップをより良く引き出す努力と工夫です。
1.ドラッカーによる「組織」の定義
ドラッカーによる「組織」の定義は、下記のとおりです(「P.F.ドラッカー経営論集」ダイヤモンド社)。そこには「技能と知識を持ち寄って組織の目的と価値の実現にコミットする」メンバーが想定されています。
<「組織」とは・・・>
① 共通の目的と価値への(メンバーの)コミットメントを必要とし、
② 組織とそのメンバーが成長し適応していかなければならず、
③ あらゆる種類の仕事をこなす異なる技能と知識をもつメンバーから成り、
④ メンバーは、自ら成し遂げるべきことを他のメンバーに受け入れてもらい、
⑤ 組織の成果はつねに外部にあり、測定・評価・改善されなければならない。
上記のレベルに達しない、企業において「労務(指揮命令)に服して賃金を得る人々」は、「組織を構成する人々」と言うよりは「組織に従属する人々」と言うほうが良いでしょう。
2.先ずはメンバーシップを
一般には「リーダーシップ論」が盛んですが、筆者は「メンバーシップ論」を優先すべきだと思います。「メンバーシップ」を前提にせずに「リーダーシップ」は成り立たず「リーダーシップとはメンバーシップを引き出すこと」です。
<末尾掲載の「メンバーシップサーベイシート」参照>
筆者が掲げるマネジメントやリーダーシップの諸力も、実は、「メンバーシップが未確立な部下」に対する、「せめてこうあってほしいという上司の切なる願い」のレベルでしかありません。
<末尾掲載の「マネジメント行動アセスメントシート」参照>
それはドラッカーが言う組織のメンバーの最低条件であり、従属レベルから構成レベルへの育成過程にあるメンバーへの期待要件であり、そこで成り立つリーダーシップがあるとすれば、それは専ら「育成」の機能を主としたものです。
リーダーの主な機能は「メンバーシップの確立のためにメンバーの成長を促進すること」であり、その先に、デシジョン-オリエンテーション-モチベーションを始めとする組織マネジメントの諸機能がリーダーに期待されるのでしょう。
3.リーダーシップとはDecisionとResponsibility
組織や企業のトップやリーダーが行うべきことの第一は、その組織や企業のメンバーを、メンバーシップを発揮できるように(ドラッカーの言う「組織」のメンバーとなるように)、方向付け、動機付け、その成長を促進することです。
そしてその先にトップやリーダーが発揮すべき機能は「決断Decisionと責任Responsibility」でしょう。田中角栄氏は、「決断と実行」をモットーとし、同時に、並みいる官僚を前に「全ての責任は自分が取る」と断言しました。
土光敏夫氏は、「褒めもせず、叱りもしない管理職は度し難い」と言い、同時に「決めもせず、責任もとらないリーダーはその名に値しない」と言いたかったはずです。メンバーシップの確立とそれに基づくリーダーシップの発揮…
4.自己管理が最善の管理
筆者は「人事管理」を職業としながらも、外圧的・他律的な人事管理より、内発的・自律的な人事管理を指向しており、究極的には、「人事管理」などという概念自体が成り立たない「自己管理」を最善な状態として想定しています。
「マネジメント」は基本的に「セルフマネジメント」を最善とし、「リーダーシップ」より「メンバーシップ」を、さらには自律的な諸個人相互の「パートナーシップ」を組織と人間(人間と人間)の最適関係として指向します。
<追記>
5.リーダーシップとは結局…
そうすると「リーダーシップ」とは、もはや「リーダーシップ」の必要が無くなるほどにメンバーの「メンバーシップ」を引き出すこと。言い換えると、メンバーが(自分自身およびチームの)メンバーであると同時にリーダーであることだと思います。