20151210_リーダーシップよリ大切なこと

 

1.ドラッカーによる「組織」の定義

 

 ドラッカーによる「組織」の定義は、下記のとおりです(「P.F.ドラッカー経営論集」(ダイヤモンド社))。そこには単に「組織に従属する」のでなく、「技能と知識を持ち寄って組織の目的と価値の実現にコミットする」諸個人が「メンバー」として想定されています。

 

<「組織」とは・・・>

① 共通の目的と価値への(メンバーの)コミットメントを必要とし、

② 組織とそのメンバーが、必要と機会に応じ、成長し適応していかなければならず、

③ あらゆる種類の仕事をこなす異なる技能と知識をもつメンバーたちから成り、

④ メンバーは、自ら成し遂げるべきことを他のメンバーに受け入れてもらい、

⑤ 組織の成果はつねに外部にあり、測定・評価・改善されなければならない。

 

 上記のレベルに達しない、例えば家庭における子供や、学校における生徒や、企業における新卒新人、さらに言えば、「労務(指揮命令)に服して賃金を得る人々」は、実は、「組織を構成する人々」と言うよりは「組織に従属する人々」と言うほうが良いでしょう。

 

2.先ずはメンバーシップを獲得すること

 

 筆者が掲げた①コミュニケーション、②イマジネーション、③コ・オペレーション、④モチベーション、⑤PDCAとQCDの諸力は、実は、「メンバーシップが未確立な部下」に対する、「せめてこうあってほしいという上司の切なる願い」のレベルでしかありません。

 

 それはドラッカーが言うレベルの組織のメンバーの必要最低条件であり、従属レベルから構成レベルへの育成過程にあるメンバーへの期待要件であり、そこで成り立つリーダーシップがあるとすれば、それは専ら「育成」の機能を主としたものです。

 

 そのレベルでは、リーダーの主な機能は「メンバーシップの確立のためにメンバーの成長を促進すること」であり、おそらくその先に、デシジョン-オリエンテーション-モチベーションを始めとする組織マネジメントの諸機能がリーダーに期待されるのでしょう。

 

3.リーダーシップとはDecisionとResponsibility

 

 組織や企業のトップやリーダーが行うべきことの第一は、その組織や企業のメンバーを、メンバーシップを発揮できるように(ドラッカーの言うレベルの「組織」のメンバーとなるように)、方向付け、動機付け、その成長を促進することです。

 

 そしてその先にトップやリーダーが発揮すべき機能は「決断Decisionと責任Responsibility」でしょう。田中角栄氏(元総理大臣)は、「決断と実行」をモットーとし、同時に、並みいる官僚を前に「全ての責任は自分が取る」と断言しました。

 

 土光敏夫氏(元経団連会長)は、「褒めもせず、叱りもしない管理職は度し難い」と言いましたが、同同時に「決めもせず、責任もとらないリーダーはその名に値しない」と言いたかったはずです。メンバーシップの確立と、それに基づくリーダーシップの発揮が、リーダーの役目でしょう。

 

<追記事項>自己管理が最善の管理 

 

 筆者は「人事管理」を職業としながらも、外圧的・他律的な人事管理より、内発的・自律的な人事管理を指向しており、究極的には、「人事管理」などという概念自体が成り立たないような「自己管理」を人間や組織にとって最善な状態として想定しています。

 

 そういう意味で「マネジメント」は基本的に「セルフマネジメント」を善しとし、「リーダーシップ」より「メンバーシップ」を、さらには自律的な諸個人相互の「パートナーシップ」を組織と人間(人間と人間)の最適関係として指向します。