「仕事を進める上で大切なこと」は、「イマジネーション」であると、筆者は考えます。それは、「気付き」や「心配り」や「想像力」と言っても良い、仕事の「相手」と「完成」に向けたイマジネーションの力です。
2_1 仕事の「相手」に向けたImagination
どんな仕事にも、「相手」がいます。「書類のコピーをとる」という仕事についてでさえ、「相手」が何のために、いつまでに、どのようなコピーが欲しいのかをイメージできるのとできないのとでは仕事の価値が格段に違います。
仕事の上での日常的な報告においても、その相手へのイマジネーション(気付き・配慮・想像力)が働くかどうかで効果は格段に違ってきます。早口で一方的にまくし立てるようなやり方ではコミュニケーション自体が成り立ちません。
報告の上手・下手は、まさに相手が知っていること、知りたいこと、相手に伝えたいことがどのように相手に伝わり、理解されるかということ、総じて相手へのイマジネーションが足りているか・いないかの違いなのです。
2_2 仕事の「完成」に向けたImagination
どんな仕事にも、「こうしたい」というイメージがあるはずです。「書類のコピーをとる」という仕事でさえ、その目的に即した完成のイメージを思い描くことができ、その完成に向けて、個々の作業を統合的に進めることができる…
もう少し複雑な、人との協働を必要とするような仕事においても、このことは同じで、例えば「家を建てる」という仕事や、「商品を売る」という仕事についても、それぞれの目的に即した「完成」のイメージがあるはずです。
どんな仕事でも、それを進める上で先ず必要なことは、やみくもに個々の作業に着手することではなく、あらかじめその仕事の「完成」のイメージを自ら思い描き、言葉や図表や文書で表現して見せることです。
2_3 仕事の「プロセス」に向けたImagination
「ローマは一日にして成らず」という言葉の通りですが、どんな仕事もその大小にかかわらず「その場しのぎの付け焼刃」や「学生時代のような一夜漬け」では、少なくともプロフェッショナルの仕事としては成り立ちません。
仕事の完成のイメージが描けたら、「そのためには何をどうすべきか」さらに「そのためには~」さらに「そのためには~」と逆算して、いつまでに何をすべきかを洗い出してみて下さい。また、そのために普段からの備えをして下さい。
また、どんな仕事もその難易にかかわらず、何らかの困難や制約や障害を伴うはずです。「備えあれば憂いなし」の言葉の通り、仕事のプロセスで生じうることをあれこれ想定し、予め手を打っておくことが必要です。
<追記事項> 気付きと配慮
何度も引用しますが、筆者がある病院で新人看護師を対象とするオリエンテーションを行った際に、「仕事をする上で何が一番大切だと思いますか?」という筆者の問いかけに、最初に返ってきた返事が「相手への思いやり」でした。
「相手の痛みや苦しみや悲しみを自分のことのようにして感受し、相手のために自分たちができる最善のことをする」という意味だと思います。それを更に一般化して「気付きと配慮」と言い換えれば、どんな職業にも共通するはずです。