Objectives_目標を持って仕事する

1.MBO目標管理の本来的意味

 

 MBOとは、Management By Objectives and Self Controlの略で、わが国では「目標管理」と訳されているためか、単なる「ノルマ主義」と混同した解釈・運用が行われているようですが、MBOは、「ノルマ主義」とは全く異なります。

 

 両者の最も本質的な違いは、「目標」の性格についてであり、MBOの「目標」は、組織の目的や価値に対する構成員の自由意思に基づく「コミットメント」を意味しますが、「ノルマ主義」の「目標」は、組織が構成員に「強制する」ものです。

 

2.Objectivesとは

 

 MBOと「ノルマ主義」の混同は、Management By Objectives and Self Controlという言葉のうち、Objectivesが単に「目標」と和訳されてしまい、「目標は定量的でなければならない」という考え方で数値目標万能主義的に運用されていることが原因です。

 

 提唱者であるドラッカーが言ったMBOの本来の趣旨に沿って言えば、Objectivesとは、個々人にとって「こうしたい」とか、「こうありたい」という「動機付けの対象」であり、せめて「目標の状態」と和訳すべきであっただろうと思います。

  

 また、「目標の状態」というのは、必ずしも「仕事の状態」(仕事の完成段階)だけを言うのではなく、自分の仕事を完成させようとする過程で自分自身を成長させるという意味での「自分の状態」(自分の成長段階)を言います。

 

 第一段階:具体的に指示された仕事を正確・迅速・丁寧に遂行するレベル。

 第二段階:包括的・一般的指示に基づいて、自ら判断しながら仕事をするレベル。

 第三段階:周囲から判断や指導を求められながら仕事をするレベル。

 第四段階:組織マネジメントまたは高度の専門性を通じて事業に貢献するレベル。

 

 以上のように、Objectivesとは、個々人にとって「こうしたい」という仕事の目標状態(完成段階)であり、また、「こうありたい」という自分の成長状態(成長段階)でもあると言えます。決して「押しつけられたノルマ」を言うものではありません。

 

 繰り返しますが、MBOとは、Management By Objectives and Self Controlの略であって、単に「目標管理」と訳されるのは不適切であり、「目標を持って自主的に仕事をすること」=「目標による自己管理」と訳されるべきだったでしょう。

 

3.組織的協働とMBO

 

 ところで、MBOにおける「目標状態」は、仕事の完成についても、個人の成長についても、個々人が個々単独に行って達成されるものではなく(きわめて例外的であり)、一般的には組織的な協働を通じて達成されるものであるはずです。

 

 MBOの提唱者であるドラッカーは、「組織」について次のような定義を行っており、この定義には、MBOが、「目標を持って仕事をする」ことであるのと同時に、「組織的に協働しながら仕事をする」ことであるという意味が含まれています。

 

【ドラッカーによる「組織」の定義】

 ①共通の目的と価値へのコミットメントを必要とし、

 ②組織とその構成員が、必要と機会に応じ、成長し適応していかなければならず、

 ③あらゆる種類の仕事をこなす異なる技能と知識をもつ人たちから成り、

 ④構成員は、自ら成し遂げるべきことを他の構成員に知って、受け入れてもらい

 ⑤成果はつねに外部にあり、測定・評価・改善されなければならない。

 

 これをMBOに即して言い換えれば次のとおりです。

 ①MBOは、組織や企業の目的や価値への、構成員によるコミットメントである。

 ②MBOは、組織や企業の構成員の、成長と適応のしくみである。

 ③MBOは、組織や企業の構成員の、技能と知識の成長を促すしくみである。

 ④MBOは、組織や企業の構成員が、お互いの目標を認知し受容するしくみである。

 ⑤MBOは、組織や企業が外部に向けて成果を出し続けるためのしくみである。