5_2.処遇制度の設計モデル(能力主義から役割主義へ)

 

 下記は組織や企業の中での「役割」を基準とする処遇制度のモデルです。読者諸氏にとっての既成の(現行の)制度の成り立ちと比較検討してみて下さい。あるべき制度やより良い運用の姿が見えてくるはずです。

 

 本モデルでは、組織や企業の構成員の役割を、先ずは大きく、組織管理を主な役割とする管理職層と、高度な専門性の発揮を主な役割とする専門職層と、自ら職務の遂行を行うことを主な役割とする遂行職層の3職層に分けることとします。

 

 その上で、管理職層については管理対象となる組織の大きさに応じて3階層、専門職層についてはその発揮する専門性の高さや事業性の大きさに応じて3階層、遂行職層については、指導・判断・遂行の態様に応じて3階層に細分化することにします。

 

<等級・職位と役割のモデル>

 

管理職層および専門職層

 

 Ⅵ 事業部長級…事業部レベルの組織マネジメントまたはこれに相当する専門性を発揮

 Ⅴ 部長級   …部レベルの組織マネジメントまたはこれに相当する専門性を発揮

 Ⅳ 課長級   …課レベルの組織マネジメントまたはこれに相当する専門性を発揮

 

遂行職層

 

 Ⅲ 係長     …指導的な判断と業務遂行

 Ⅱ 主任     …自律的な判断と業務遂行

 Ⅰ 主事     …個別具体的な指示に基づく正確・迅速・丁寧な業務遂行

 

 さらに本モデルでは、処遇制度の基準である「果たすべき役割(発揮すべき機能)」の大きさ・重要さ・困難さの期待水準を総合的に表す指標として、上記のとおり、各職層を通じて、ⅠからⅥまでの、6段階の等級(または役割グレード)を設定しました。

 

①管理職層は機能や役割本位の処遇

 

 組織を効率的に運営する(意思決定とその実行を機動的に行う)ためには組織構造はピラミッド型(または同心円型)にせざるを得ず、組織設計において、管理職層のポジション数を限定して各々に明確な権限と責任を付与すべきです。

 

 その意味で管理職層はまさに組織や企業における組織管理機能という役割本位の処遇をすべきであり、個々のポジションも、組織や企業のガバナンス上の必要に応じて設定すべきであり、人の処遇に困ってポジションを増設すべきではありません。

 

②専門職層は専門性と事業性で処遇

 

 そうすると組織や企業の年次構成等によっては、ポジションの不足から、いわゆる「専任職」というポジションを生じ易くしますが、真に組織管理職層と同等以上の役割が期待できない限り、そうしたポジションを作るべきではありません。

 

 本モデルでいう「専門職」は、管理職層が組織管理機能を通じて果たす成果責任(目的の達成や価値の実現)を、自らの高度な専門性(稀少性、困難性、事業性)を通じて果たすということが標準的な役割です。

 

③遂行職層は能力本位・成長段階で処遇

 

 上記に対して、遂行職層においては、部下の存在を前提としなければ、ポジション数の制約を受けず、役割に相応しい能力を有する人をより上位の職位に処遇する能力本位の処遇(能力があれば処遇する)が可能です。

 

 遂行職層においては、日常的な組織的協働において、職務遂行能力を遂行レベル(正確・迅速・丁寧な職務遂行)⇒判断レベル(自立的な判断に基づく職務遂行)⇒指導レベル(指導性を発揮しながら職務遂行)において発揮することが期待されます。