Noblesse Oblige_リーダーシップ

1.リーダーとは気の毒なほど「損(そん)な人」かつ「辛(つら)い人」

 

 土光敏夫氏(著名な企業経営者で元経団連会長)は「リーダーとはつらい人だ」と喝破しました。また、ヨーロッパに、ノブレス・オブリージュ(仏: noblesse oblige)(「高貴な地位には義務が伴う」)という言葉があります。

 

 当たり前ですが自分だけは楽をして(方針も示さず、決断もせず、役割も果たさず)部下に判断も丸投げするような「リーダー」はその名に全く値しません。本来「喜んで(進んで)損ができる」人でなければリーダーは務まりません。

 

2.リーダーシップ(対人的マネジメント)の機能

 

 仕事に対するマネジメントについては既述のとおり(Managementの稿)ですが、以下には、リーダーの資質論はさておいて、人と組織に対するマネジメント=リーダーシップの主な機能について筆者の考えを述べます。

 

①デシジョン Decision

 

 自分自身の現在の有り様は、他の誰のせいでもない、当の自分自身が過去に行った数多くの選択の結果です。人も組織も同じく、現在の有り様は、日々日常の自マネジメントと自己選択の結果であるはずです。

 

 人と組織の現状と将来を見据え、限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)の最適配分と最大活用を考え、日々生起する諸問題に最適な解を選びとり続けることがマネジメントにおけるデショジョンDecisionの機能です。

 

 ②オリエンテーション Orientation

 

 そもそも組織とは一定の目的を達成し、価値を実現するために、人と人が協働関係を取り結ぶことです。オリエンテーションOrientationとは、その組織が達成すべき目的や実現すべき価値がどのようなものであるかを人と組織に指し示すことです。

 

 また、組織が達成すべき目的や、実現すべき価値に照らして、何が正しいこと(間違ったこと)であり、何をすべきである(すべきでない)かを人と組織に指し示すことが、オリエンテーションOrientationの機能です。

 

③モチベーション Motivation

 

 目的や価値を指し示しさえすれば人や組織がそれに向けて自動的に「働く」というわけではありません。その目的や価値が、組織を構成する個々の人にとっても、強い動機付け(モチベーション)の要因でなければなりません。

 

 人はそれぞれに「働く」動機付け要因を持っていますが、その中で最も高次の要因が自己実現に向けた成長の欲求です。その目指すところが組織の目的や価値と重なり合えば合うほど、人はその組織で「働く」ことにより強く動機付けられます。

 

④エデュケーション Education

 

 既に述べた通り(Educationの稿)、学校とは違って、企業では「仕事を通じた成長」が主体であり、エデュケーション Educationの機能とは、仕事を通じて人と組織の「自己実現に向けた成長の欲求を引き出す(成長を促進する)」ことです。

 

⑤コミュニケーションCommunication

 

 以上いずれのリーダーシップ(マネジメント)の機能にも共通する機能はコミュニケーションの機能です。それは人が人に働きかけ、方向付けたり、動機付けたり、成長を促進したりする、高度なコミュニケーション機能です。

 

 リーダーとは、その組織の中でいちばん(気の毒なほど)「損な人」で「辛い人」であるべきです。その組織でいちばん損な思い、辛い目にあいながら上記の機能を発揮する人です。決して「楽な人」「得な人」ではなく、「何もしない人」でも「何でもする人」でもありません。