1.「徳には官、功には禄」を…
どんな事業でも、人間どうしが共通の価値の実現のためにする協働体であることには変わりなく、リーダーには、人と組織に向けて「判断と選択」「方向付け」「動機付け」をするための「人格性(社会的信頼性)」が必要です。
人と組織のためにより良い「判断と選択」を行い、より良い「方向付け」を行い、より良い「動機づけ」を行い、より良い「成長促進」を行う…ためには、人と組織から理解や共感や支持や協力…を引き出す「人格性=徳」が必要です。
営利事業でも、単に金銭的・経済的な価値だけでなく、それを含めた人間的・社会的な価値を実現するための協働体であることに変わりなく、そのための「貢献度」に応じて「人をより厚く処遇する」ことも組織運営上の原理です。
2.先ず組織における「人の処遇体系」を描くこと
組織の中で人をどのように処遇するかを考える際に、例えば(あくまで「例えば」ですが。次のような「職位等級フレーム」を描くことが必要です。(テキストブック「病院の働き方改革」付録様式_6)
この上で、人事評価に応じて、「徳には官、功には禄」の観点から、それに相応しい職位の昇任や、等級の昇格や、給与の昇給や、賞与の配分…を行うことが「評価を処遇に反映させる」ということです。
3.「短期的応報的観点での評価・処遇」と「長期的育成的観点での評価・処遇」について
「徳には官、功には禄」と共通するのですが、人を評価・処遇するときには「短期的な功労や貢献」に対する評価に基づく報酬面での処遇と、「長期的な成長や貢献」に対する評価に基づく職位面での処遇の最適組合せが必要です。
具体的には、人事評価の要素で「行動(より良い仕事ぶり)と成果(より良い仕事の成果)」を選択した場合に、単年度の「成果評価」を「昇給や賞与」に反映させ、経年度の「行動評価」を「職位や等級」に反映させることです。
<例>
当年度の、主として「成果評価」を昇給と賞与に反映させる
評価Sなら、標準昇給号数+2号、賞与配分係数1.2とする。
評価Aなら、標準昇給号数+1号、賞与配分係数1.1とする。
評価Bなら、標準昇給号数+0号、賞与配分係数1.0とする。
評価Cなら、標準昇給号数ー1号、賞与配分係数0.9とする。
評価Dなら、標準昇給号数ー2号、賞与配分係数0.8とする。
主として「行動評価」を職位・等級に反映させる。
直近2年度の評価がA-A以上なら上位職位・等級への昇任・昇格候補。
評価B以下なら、現職位・等級に滞留。
…
<注>
① 「評価も有限な経営資源のひとつ」ですので「分布制限」が必要です。
例えば…
SとA … 20%
B … 60%
CとD … 20%
② 下位職位・等級での昇任・昇格は「人の育成」の観点で「定員」を設けず、上位職位・等級への昇任・し昇格は「組織の管理」の観点で「定員」を設けることが肝要です。