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… このページには、実際に医療・介護・福祉機関等から使用者の立場で当方にご相談・お問い合わせいただいた内容を掲載します。単に「法令や判例はこうなっています」式の回答にとどまらず、「では実務的にどうすれば良いか?」に踏み込んで回答します。
hrms-jp 人事労務マネジメント研究会
特定社会保険労務士 河北 隆 事務所
皆様からのご質問・ご相談をお待ちしております。(無料です。秘密厳守します。)下記フォームをご利用下さい。
Q_国の指針は下記のとおりですが…
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000137181.pdf
「9.昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。」がとても「気になる」表現です。「だったら休業する人と休業しない人を同等に昇進・昇格させないといけないのか?」とも読めるのですが、ほんとうにそこまで求められるのでしょうか?
A_国の方針も判例も「育児休業等の取得日を出勤日と同一に評価する」ことまでは決して求めていません。したがって「休業者と非休業者を同一に評価して昇給・昇進・昇格させる」ことまでは求めていません。
ただし、育児休業制度等の趣旨や目的を没却させるような昇給・昇進・昇格上の不利益な取り扱い(極端な例では降給や職位資格の降格など。また例えば一律的な昇給・昇進・昇進・ 昇格制度や運用のもとでの「狙い撃ち」的な不利益)を禁じていると解すべきです。
ご不安があるようでしたら、先ずは貴院の昇給・昇進・昇格制度について、その考え方や内容を再度整理し、その中で育児休業等による不就業期間の合理的な取り扱いを検討して定めて下さい。
Q_定年後に雇用区分を変更して再雇用する場合や、無期雇用と有期雇用の間で雇用区分を変更する場合や、フルタイムとパートタイムの間で雇用区分を変更する場合等では、年次有給休暇の付与要件となる勤続期間は通算しなければならないでしょうか?
勤続年数の通算については東京労働局のQ&Aのとおりだとは思いますが、
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/nenjiyukyu/q5.html
同じ勤続期間でも雇用区分によって付与日数が異なる場合はどうなりますか?
A_雇用区分(雇用契約の区分のこと。通常、無期雇用か有期雇用か、フルタイムかパートタイムかで大きく四区分される。)に変動があっても、実質的に雇用関係が継続されている場合は、勤続期間を通算すべきです。
旧雇用区分においては旧雇用区分の付与要件が適用され、新雇用区分においては新雇用区分の付与要件が適用される。ただその付与用要件における勤続期間が両者間で通算されるとお考え下さい。
Q_退職間際の職員から退職日までの年次有給休暇をまとめて請求されても、拒否も変更もできないとのことですが、毎年3月になると退職予定者の有給取得が多く、そのために看護部では勤務シフトが組めずに困っています…。
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/roudouiinkaijimukyoku/qa/qa21.html
A_「退職間際の職員から退職日までの年次有給休暇をまとめて請求されても、拒否も変更もできない」のはご理解のとおりです。しかしながら個人ごとに「退職日を先送りする」という便法や「残日数を買い取る」という便法も、あまりお勧めできません。
ここはやはり原則に戻って、年次有給休暇は毎年度あまり繰り越しが多くならないように「年度内に計画的に取得する」ことと、個人によって偏りがないように「職場ごとに協力的に取得する」ことが必要です。
シフト表にあらかめ本人の希望に合わせて年休取得日を組み込む、退職予定者を早期に把握し(できれば毎年度初頭に退職希望調査を行う)特に退職年度は計画的に消化するように職場としても協力することが必要です。
Q_業務上必要な「待機時間」や「着替時間」は、原則として「労働時間(時間外勤務時間)」に含まれるという原則は理解できるのですが、例えばだらだらと着替えしたり、おしゃべりしながら待機する時間まで本来の労働時間として扱うべきなのでしょうか?
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/05/37.html
A_まず「時間外勤務は業務上の必要に応じ、個別具体的な時間外勤務命令に基づいて行う」ものである」という大原則を職場の管理職にも一般職員にも周知徹底して下さい。その上で法令や判例に基づいて、時間外勤務時間として計上すべき時間を計上して下さい。
実際には職場の上司が、こと細かに部下の、とくに所定始業時刻『前』の着替えや準備行為の実態を把握することは非現実的でしょうから、実際には部下の自己申請に委ね、上司が法令と判例に照らしてその合理性を判断する以外にないと思います。
Q_厚労省のリーフレットのとおりだとは思うのですが、もっと簡略化できませんか?
A_「1日8時間かつ1週40時間」が法定労働時間ですが、その例外のひとつが「1か月単位の変形労働時間制」であり、1か月間で1週平均で40時間以内となるように「所定労働時間」を定めれば、日や週によって法定労働時間を超えても法違反としない制度です。
さて、貴院では就業規則や給与規程で「時間外勤務手当」の対象となる「時間外勤務時間」をどのように定義しておられますでしょうか…(ア)「法定労働時間を超える実働時間」でしょうか、それとも(イ)「所定労働時間を超える実働時間」でしょうか?
もし、上記(ア)なら、引用されたリーフレットのとおりです。もし、上記(イ)なら、所定労働時間が正しく設定されている限り、単に「所定労働時間を超える実働時間を時間外勤務時間として法定の割増率による時間外勤務手当を支給する」とすれば簡便です。
ただし、それでは、せっかくの変形労働時間制の「メリット(その日の所定労働時間が法定労働時間を超えても割増賃金の対象にならない)」が生かせません。なお、(ア)の場合でも(イ)の場合でも、法定深夜や法定休日の割増賃金の支給は必須です。
Q_就業規則、給与規程、36協定の他は、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿…あとは、個別の労働契約書でしょうか?
https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/library/okinawa-roudoukyoku/04rouki/houteichoubo.pdf
A_その通りですが、以下にいくつか留意事項を記します。
1)正規職員以外の(有期雇用やパートタイムの)職員に適用される就業規則
や給与規程、または条項はもれなく規定され、実際にそのとおりに適用され
ていますか?
2)36協定には時間外勤務の必要となる場合が、具体的に規定されています
か?(例えば単に「多忙時」とするだけでは労基署には受け付けられませ
ん。
3)賃金台帳には、賃金の額だけではなく、その賃金を支払う根拠となった勤
務時間が記録されていますか?
Q_「休憩時間」と「待機時間(手待時間)」の区別や、業務上必要な「待機時間(手待時間」が「労働時間」であるとされることは理解しています。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken02/jikan.html
また、それが時間外の場合には割増賃金を支払わなければならず、その際の基礎となる賃金は「通常の賃金」であることも理解しています。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-5a.pdf
しかし、通常の労働に比較して「実働密度」が極端に低い時間外労働にまで「通常の賃金」を基礎とした割増賃金を支払わなければならないことについては納得ができません。
A_「労働時間」とは、ご理解の通り、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことですから、「実働密度」には関係がありません。(もっとも「実働密度」が「ゼロ」ならそもそも「労働時間」とは言えませんが…。)
また、例えば、「実働密度」が、通常の労働の「8分の1程度」であると言えるなら(これは筆者の実務経験上の目安ですが)「宿日直」の許可を受けることもできるでしょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000530052.pdf
そうすれば、当該時間は労基法上の「労働時間」に関する規定の適用を免れますし、適正な額の「宿日直手当」を支給すれば、「通常の賃金」や「割増賃金」の支払義務を免れます。
いずれにしても、使用者として、労働者の時間外・深夜・休日の勤務の実態(労働密度)をよく把握し、それに応じた(法的にも経営合理的にも)適正な対応をして下さい。
Q_医師の宿日直勤務について、実際にどのようにすれば当局の許可が得られるのでしょうか?
A_やや旧い資料ですが、先ずは、政府で行われた「第9回 医師の働き方改革に関する検討会(2018年9月3日)」の資料4をご参照下さい。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349220.pdf
宿日直については上記資料の9ページ以降、特に17ページにご注目下さい。
上記を前提に実際に医師の宿日直勤務について労働基準監督署の許可を得る上での留意事項を記します。
(1)無許可の「宿日直制」をそのままにしないこと
労基署の許可を得ずに、病院独自のルールとしての「宿日直制」を設け、法定の割増賃金を支給せずに、病院独自の「宿日直手当」を支給している例がありますが、法定の割増賃金を支給するか、法定の宿日直許可を得るか、いずれかに直ぐに改めて下さい。
そのまま放置することは、職員の不信や不満、監督署への申告、監督署の調査や指導・勧告、集団的労使問題、個別的労務問題、争訟、未払賃金(法定時間外・深夜・休日割増賃金)遡及的な支払い…等々の多大なリスクがあります。
(2)所定時間外時間帯の勤務の実態を具体的に記録すること
実際に各病院内で、個々の勤務医が、時間外・深夜・休日時間帯にどのように「勤務」しているかを一定期間にわたって調査・記録して下さい。(書面調査や聞き取り等だけでなく、実際に立ち入り・泊まり込み調査等を行って下さい。)
前掲資料P17再掲
その上で、「実働密度」が、概ね「8分の1未満」となるような時間帯を、診療科ごとに特定して、所定様式によって宿日直勤務の許可申請を行うようにして下さい。
(3)就業環境の整備等を行うこと
上記「許可申請書」にも記載が必要ですが、休憩や就寝をするための環境や設備を整えて下さい。また、勤務実態が第三者に分かるように、日誌の記録を徹底して下さい。それに基づいて、急患等による実働に法定割増賃金が支給できるようにして下さい。
【参考】:宿日直許可申請の際の必要添付資料
具体的には各労基署にご相談ください。
(例)
・宿日直勤務時に巡回等を行う場所および宿日直室の場所が分かる図面
・宿日直室の広さや設備(仮眠用ベッドなど)の設置状況が分かる写真等
・宿日直日誌(日ごと・時間帯ごとの実働・仮眠・休憩・自己研鑽の状況の記録)
・宿日直に関するルール
・宿日直を行う医師に関する労働者名簿・賃金台帳・出勤簿
〇 また通常、監督署による実地調査や対象医師等へのヒアリング調査が行われます。
Q_医師の年俸制については下記の判例を承知していますが、制度化や導入・運用上の実務的な進め方や留意点等についてアドバイスお願いします。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/348624.pdf
A_以下に実際の導入事例に基づいて留意点を記します。
(1)年俸制の対象者を明確にすること
先ず、労基法上の「管理監督者」に該当するか、またはこれに準じるような立場の医師なら、まさに「年俸制」の趣旨に相応しいと言えるでしょう。導入事例の病院では「診療各科の部長以上の医師」としました。
つまり、導入事例の病院では、研修医・医員・主任医員・医長については、年俸制の対象者とはしませんでした。やはり「指揮命令に基づいて労務に服する」立場の医師には、実働時 間どおりに、法令どおりの時間外割増賃金を支払うほうが良いと思います。
また、診療各科の繁忙状況によっては、実働時間どおりに、法令どおりの時間外割増賃金を支払うほうがフェアであり、本人の希望にも沿う場合がありますので、部長医師については個々に繁忙状況と希望を聴取して適用判定しました。
(2)法定の割増賃金制との「比較」をしながら適正な導入と運用を行うこと
明らかに「管理監督者」と言える対象者の場合以外は、「もしその対象者に法定の割増賃金を支払うとすればいくらになるか?」という比較検討を年俸制の導入前・導入後に行いました。
つまり、現に今まで法定の割増賃金制の適用対象者であった医師に、新たに年俸制を適用しようとする際には、今までの時間外勤務の実績と割増賃金等を含む年間の給与総額に応じた年俸設定をすべきです。
その水準は、診療科によって、また医師によって異なるのが当然です。(だからこそ年俸制の意義がある。)また、年俸制に移行した後も、時間外勤務の実績自体は引き続き管理が必要であり、問題があればいつでも法定の割増賃金制に復するようにしました。
(3)年俸改訂は目標管理制度における実績評価を通じて
導入事例において年俸制の対象とした医師は、「診療各科の部長以上の医師」としましたので、同時に目標管理制度の対象者でもありました。その際に留意した点は下記のとおりです。
① 導入事例においては、理事長・病院長と話し合い、目標管理制度における目標軸および評価軸を次のように設定しました。
基本的な目標軸・評価軸 『病院事業への貢献度』
より具体的な3つの目標軸・評価軸 1)医療業績への貢献度
2)医療の質への貢献度
3)組織運営への貢献度
② 目標設定は日次・月次・年次の業務報告とリンクして診療各科の責任者に行っていただきました。その病院では主要な管理部門長による毎日の報告や、毎週の経営会議、毎月の運営会議が実質的に定着・機能していましたので資料や指標をリンクさせました。
③ 上記に加えて毎年1回、理事長・病院長と、診療各科の責任者との間での、個々に業績レビュー面談の場を設定し、当年度の実績評価、次年度の目標設定について、お互いの認識合わせを行いました。
④ 上記の面談を通じて、理事長・病院長に、前記①の評価軸による五段階評価を行ってもらい、その評価に応じて、あらかじめ想定した年俸改訂原資を次のように傾斜配分しました。(「一人当たりの平均原資」は評価分布に応じて総原資額内で算定。)
S評価 一人当たり平均原資×1.2
A評価 同上×1.1
B評価 同上×1、0
C評価 同上×0.9またはマイナス改定
D評価 同上×0.8またはマイナス改定
⑤ 賞与や退職金の扱い
上記によって年俸額が決まれば、あとは年間を通じた支払時期と支払い金額の問題ですので、導入事例の病院では、年俸額÷16の額を毎月(月給制職員の給与支給日)、年俸額÷16×2の額を年2回(月給制職員の賞与支給日)に支給しました。
退職金制度は年俸制導入後も、敢えて旧制度を存続させました。つまり、旧制度における「基本給」は「退職金算定基礎額」として年功的に改定し、退職時の勤続年数と退職事由に応じた係数を乗じて算定することとしました。
Q_定額時間外給制の実務的な進め方や留意点等についてアドバイス願います。
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/000660810.pdf
A_以下に実際の導入事例に基づいて留意点を記します。
(1)対象者の選定を慎重に行うこと
新人または業務習得レベルにある職員は、そもそも定額時間外給制の対象とすべきでなく、時間外勤務の命令そのものを指導・育成・管理責任者たる上司が個別具体的に行ない、実績通り・法定通りの支払いを行うべきです。
時間外勤務の要否判断や時間外勤務のコントロールをある程度自分自身で適正にできることが、定額時間外給制の対象者たる者の必要条件です。そうであってこそ、定額時間外給制の意義(時間外勤務の効率化など)が生かされるはずです。
(2)時間外勤務の実績の管理と、それに応じた法定時間外給の算定自体は常に行うこと
定額時間外給制の対象者に対しても、以下の区分に応じて、時間外勤務の実績の管理と、それに応じた法定時間外給の算定自体は常に行うべきであり、支給額が法定額を下回った場合には直ちに差額を支給できるようにしておくべきです。
ア)平日の労働時間(所定および法定)を超える実働時間
イ)平日の深夜時間帯における実働時間
ウ)休日(所定および法定)における実働時間
Q_年次有給休暇を半日取得した当日の時間外勤務の取り扱いについて疑義があります。
A_ご存じの通り、法定の割増賃金の対象となる労働時間は、法定労働時間( 1日8時間・1週40時間)を超えて労働させた時間、法定深夜時間(午後10時から翌朝5時)、法定休日(1週1回または4週4回)に労働させた時間です。
法定の割増賃金は、実働時間が法定の労働時間を超えた場合に支給されるべきものであって、遅刻や早退や私用外出等の不就業時間は、本来、実働時間から除外されるべきです。このことは、例えば年次有給休暇を半日取得した場合でも同じです。
年次有給休暇は労働者の当然の権利ですので、事業主としては「通常の賃金」を補償しなければなりませんが、法令はそれを「実働時間と同一視する」ことまで求めているわけではありません。
例えば所定労働時間が9:00から17:00の8時間(休憩1時間)で、午前休を取得したのち13:00から19:00まで実働した場合、当日の実働時間6時間ですから、17:00から19:00までの労働には割増賃金の支払いは不要です。
ただし、就業規則や給与規程において、労働外労働が、上記のとおり「法定労働時間外」の労働時間として規定されず、「所定労働時間外」(または「所定就業時間帯以外」の労働時間)として規定されている場合は、規定通りの取扱いを行って下さい。
Q_職場におけるパワハラ(いじめ・嫌がらせ・仲間はずれ)が疑われる状況で、職員が精神疾患を発病したとして医師の診断を得ました。本人は現在休職中ですが、そろそろ休職期間も満了に近づいています。復職可否判定はどのように行うのが良いでしょうか? また、本人は精神疾患の原因は職場のパワハラであるとして労災申請を検討しているようですが、今後どのように対応すれば良いでしょうか?
Q_就業規則等の規定を行う上で、「および」「または」「もしくは」等の用法について、また、「日数」や「期間」の計算方法について、整理しておきたい。
A_就業規則等を規定するうえで、よくあるお問い合わせの例を紹介します。
(1)「及び」と「並びに」
単純に「AとB(AandB)」を言うときは「A及びB」です。3つを接続するときは「A、B及びC」です。4つのときは「A、B、C及びD」です。
(ちなみに「及び」か「および」かについては、「公⽤⽂における漢字使⽤等について」をご参照下さい。)
「AとBとC」を2段階の接続に分けて言う場合、「A及びB並びにC」のように最下位の接続関係に「及び」を用い、それ以外の接続関係には「並びに」を用います。3段階の接続関係なら「A及びB並びにC並びにD」です。
(2)「又は」と「若しくは」
単純に「AかB(AorB)」を言うときは「A又はB」です。3つのうちから1つを選ぶなら「A、B又はD」です。段階を分けて言う場合は、大きい選択関係に「又は」を用い、それ以外の選択関係には「若しくは」を用います。
例えば「A若しくはB又はC若しくはD」というのは、「AとBのいずれか1つを選ぶ」か、「CとDのいずれか1つを選ぶ」かの選択です。(実際の規定では、選択肢を箇条書きにするほうが分かりやすいと思います。)
(3)「期間の計算」と「初日不算入」の原則について
民法第140条には「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」と規定されています。これが「初日不算入の原則」です。
ですから例えば、単に「**から2週間以内に…」などと規定する場合には、特に「**の日から起算して2週間以内に…」というように「起算日」を明示しておかないかぎり「初日不算入の原則」によって「**の翌日」が起算日になります。
(4)「満**歳に達する日」は「誕生日」の前日
例えば「満65歳に達する日をもって定年退職とする」と規定すれば「満65歳の誕生日の前日付で定年退職とする」という意味です。4月1日生まれの人が「満65歳に達する」のは、前年度の3月31日です。
(5)「以前」と「前」、「以後」と「後」の違い
以前の「以」は、「基準となる日を含む」という意味です。「基準となる日を含まない」なら、単に「前」と言います。つまり「**の日以前2週間」と言えば「**の日」を含み、「**の日前2週間」は「**の日」を含みません。
以後の「以」も、「基準となる日を含む」という意味です。「基準となる日を含まない」なら、単に「後」と言います。つまり「**の日以後2週間」と言えば「**の日」を含み、「**の日後2週間」は「**の日」を含みません。