20200310_他者肯定&自己肯定

 

1.自己肯定は人間の本性

 

 マズローの説を待つまでも無く、人間の欲求および動機付け要因の根底には「自己生存」「自己保全」「自己尊厳」、総じて「自己肯定」の欲求が強固に横たわっており、これを自他から否定されることに対して強く反発するものであるように思います。

 

 特に幼少期の育成においては周囲がその子の「自己肯定」感を健全に育てることがきわめて重要であり、成人においても安定においても「自己肯定」感を健全に保つことが精神的な健康の基礎であるように思います。

 

 そしてもちろん、相互の「自己肯定」感を損なわないこと、つまり「他者肯定」と「自己肯定」を同時に保つことこそが、良好な人間関係を保つうえでの最も重要な基礎であることは言うまでもありません。

  

2.「自己肯定&他者肯定」は全ての人間関係の基本

 

 個人間でも上司-部下間でも、労使間でも、国家間でも、「争い(不和)」は相手のそれ(「他者肯定(他者の正しさ)」)を無視・否定して「自己肯定(自己の正しさ)」を押し通そうとするから起きるのです。

 

 そして、凶悪な犯罪の場合でもない限り(たとえそうであったとしても)人間どうしの関係において「正が悪を打ち滅ぼして勝利する」などということは現実にはあり得ず、人間どうしの争いは「和解(互譲して争いを止める)」こと以外には「解決」しません。

 

 つまり、「正義は常に相対的」であり、「共通的な正義」はあり得ても「一方にのみ絶対的な正義」などあり得ない。「他者肯定&自己肯定」以外に人間どうしの「問題」は「解決」しない、と筆者は信じます。

 

* 他者を否定することによっては何も解決しない。

* 他者に不満をぶつけ、他者を攻撃しても何の解決にもならない。

* 他者を否定することによって自己を肯定しようとしてはならない。

* ただし自己を否定しすぎないように気をつけなければならない。

* 他者肯定と自己肯定を同時に実現すること以外に解決はない。 

 

3.「問題職員」の「問題」を解く鍵は「自己肯定&他者肯定」

 

 いわゆる「問題職員」の問題は、本人自身が、具体的な場面や状況で、自分のどのような感情や発想や思考や行動や態度や反応が、相手や周囲の人間にとって、なぜ「問題」となるのかについて「自己認識」を高める必要があります。

 

 また、「問題職員」自身が、「自己否定&他者否定」という「二重の否定」に陥っている場合があるので、先ずはカウンセリングとコーチングのスキルよって、少なくとも「自己肯定」の感覚を取り戻させてあげる必要があります

 

 相手や周囲の人間が「問題職員」に対して、否定的ではなく、一旦(一歩退いて)肯定的に受け止め、本人の「自己肯定」感を回復させ、同時に「他者肯定」の意識を持つように導けば、「問題職員」の「問題」は必ず解決します。

 

4.「不満のマネジメント」の鍵も「自己肯定&他者肯定」

 

 職員の「不満」は正面から受け止めるべきであって、無視も回避もしてはならないと思います。正面から受け止め、正面から回答し、改善に取り組むべきです。「満足度調査」は毎年または隔年で、定期的に行い、その経年変化に注目すべきです。

 

 但し、「不満」の中には匿名性に自己の身を隠した、「他者否定」的な、無責任で心ない「誹謗」や「攻撃」に類するコメントもあるでしょうから、その点は真(ま)に受けすぎて、調査する側が「自己否定」に陥らないように注意が必要です。

 

 また、「不満」の中には実は、「他者否定(他者に対する不満)」だけでなく、「自己否定(自己に対する不満)」が隠れている場合があるので、「他者否定」の側面にだけ注目せず、先ずは「自己否定」を「自己肯定」に導く働きかけが必要です。

 

 さらにまた、「満足度」の状況は「意欲度」の状況と併せて経過観察する必要があります。不満要因を改善して「満足度」を高めることは大事ですが、それ以上に「意欲度」を高めることのほうがもっと大事で有効です。

 

 「不満」は、「自己否定」または「他者否定」から生じますので、「自己否定」が原因になっている場合は先ずそれを「回復」すること、同時に「意欲度」を高め、「他者肯定」を引き出すことによって「解決」すべきです。