20201001_ファクトとロジック

  

1.ファクトやロジックに基づかない議論には与(くみ)しない。

 

 筆者にとって「聞くに堪えない」ことは、事実(ファクト)に基づかないことや論理(ロジック)が通らないことです。たとえば、いわゆる「ディスる(事実と論理を無視した誹謗中傷の類)」ことは、その典型だと、筆者は思います。

 

 日常生活や日常会話の中には「事実に基づかない」ことや「論理の通らない」ことのほうがむしろ多く、それでこそお互いに「成り立っている」のかも知れませんが、少なくとも人事の実務ではそうは行きません。

 

2.「争いのない」ファクトを積み上げる…

 

 何が「事実」なのか、「事実」関係そのものに「争い」が有るのか無いのか、もし「争い」があるとしたらお互いに「証拠」を示して、お互いに「争い」の無い事実関係をふまえて「論理」的に議論するのが、裁判でも人事でも共通の原理だと思います。

 

 また、事実は断片的や部分的なもので満足してはならず、自分に有利な事実だけを取り上げ、自分に不利な事実を無視したり隠蔽したり無視したりしてはならないと思います。(裁判にも「証拠の両面性」があるし、人事はそもそも基本的に「争いごと」ではないので。)

 

3.「信頼性」と「妥当性」と「納得性」の高いロジックを繋ぎ合わせる…

 

 争いの無い事実(ファクト)をある程度積み上げたら、次に「それをどう評価し、判断して、結論や解決や提案につなげるか」という論理(ロジック)を積み上げる(重ね合わせ、繋ぎ合わせる)ことになります。

 

 何をどう評価し、判断するかは、お互いの目的観や価値観や経験則によって違う(「共有化」しにくい。事実とは違って「争い」が尽きない。)だろうと思いますので、その絶対的な正否を問うのでなく、相対的な信頼性と妥当性と納得性を求め合うべきでしょう。

 

 信頼性 … 何度考えてもそのとおり。

 妥当性 … 誰に聞いてもそのとおり。

 納得性 … 本人の思いもそのとおり。

 

4.ファクトとロジックで解けることと解けないこと

 

 さて、人事労務上の諸問題の多くは「ファクトとロジック」で解けます。当事者間の争いの無い事実関係に、労働諸法令の目的と価値と趣旨と内容を当てはめれば、たいていの問題は解決します。(それが出来ないのは「ファクトとロジックの詰めが甘い」からです。)

 

 しかし、筆者が「それだけでは解けない」と言っているのは「その先」のことです。たとえばそれは「感情」であったり、「政治」であったり、そうでなくても「理解」「納得」「共感」「協力」であったりします。

 

5.人事評価におけるファクトとロジック

 

 人事評価においても「ファクトとロジック」に基づく評価が基本だろうと思います。ただし評価者が観察しえたファクトが常に客観的で必要十分であるとは限らず、評価者によるロジックが常に偏りや誤りの無いものであるとは限りません。

 

 評価者に対する信頼観(=評価に対する信頼感)とは、評価におけるファクトの確かさとロジックの適切さ、そもそも、評価者のファクトとロジックに対する謙虚さ(自分が見誤り、考え違いをしているかも知れないという畏れ)、評価に対する謙抑性でしょう。