Proactive_備えあれば

1.「~してから」の仕事の習慣の人

 

 筆者自身が企業で働き、いわゆる「上司」として多くの「部下」の働きぶりを観察し、指導もしてきましたが、いわゆる「仕事ができない人」とは、例えば次のような人のことを言います。(少なくとも筆者は経験上、そのように思います。)

 

例1)「仕事のスピードが遅い」だけではなく、「来るのが遅い~仕事が遅い~帰るのが遅い~報告が遅い~」と、「遅いほうにタイミングが合っている」人

 

例2)「指示されて慌てて仕事を始める(指示されなければ何もしない)」のが習慣化し、普段から仕事への勉強も準備も足りない人。

 

例3)仕事の計画や進捗が「~してから」「~してから」という「積み上げ式」になっており、仕事が完成するのしないのか、いつ完成するかも分からない人

 

例4)仕事上の困難があるとすぐに「厳しい」「難しい」とできない理由や言い訳で終わり、「ではどうするか」への具体的な提案も意欲もない人

 

例5)何のため、誰のための仕事かという、仕事の目的や目標、相手や真のニーズへの想像力を欠き、指示された作業だけをする人。

 

2.「~ためには」の仕事の習慣の人

 

 これに対して上司の目から見ても、周囲の目から見ても、明らかに「仕事ができる人」とは、例えば次のような人のことを言う、はずです。

 

例1)「仕事のスピードが速い」だけではなく、相手の求めるタイミングに合わせることができ、組織全体の仕事の速さをリードすることができる人。

 

例2)普段から仕事への勉強や準備を怠らず、急なオーダーにも(多少無理のあるオーダーにも)迅速かつ柔軟に対応できる人。

 

例3)仕事の計画や進捗が「~ためには」「~ためには」という「逆算式」になっており、仕事の完成時期、完成状態、進捗状況が常に明確になっている人。

 

例4)仕事上の困難があっても「できない理由や言い訳」でなく、「何とかやり繰りしながらやり遂げるための努力や工夫」をする人。

 

例5)仕事の目的や目標、相手や真のニーズへの想像力Imaginationが高く、どんな仕事や問題にも最適な現実解Solutionをもたらすことができる人。

 

3.プロアクティブで計画的な仕事の習慣

 

 「速さは強さ」という言葉のとおり、仕事の「迅速さ」は競争優位にも付加価値にもつながりますが、仕事の着手や進行だけでなく、仕事の完成が迅速でなければどうにもなりません。

 

 すなわち、「継続は力」という言葉が示すように、目標とする仕事の完成状態(目的の達成や価値の実現)に向けた持続的で計画的な力(速力だけではなく持久力や計画性)が必要です。

 

                     C:目標の状態

               B:現在の状態

          A:当初の状態 

 

 「継続的(持続的で計画的)」であるためには、上図で言えば、常にA、B、Cの状態がそれぞれ明確であることと、Aに達するのに何をいつまでにしなければならず、その進捗(B-C)/(C-A)が常に明らかであることが必要です。

 

 また、「計画的」であるためには「~してから」「~してから」という(いつになったら出来るか分からない)積算的計画ではなく、所定の期限までに目標の状態に達する「~ためには」「~ためには」という逆算的計画であることが必要です。

 

   ×「~してから」        ○「~ためには」 

 

4.あと回しにせず、言い訳をせず、人のせいにしない仕事の習慣

 

 自分は何もせず、人がやったことにあとからもっともらしい一般論やべき論を言うだけの「評論家」のような人は、実務では通用もせず、誰からも信用されません。また出来ない言い訳ばかりでやり抜く努力も気力も知力もない人は直ぐに見抜かれます。

 

 出来ない言い訳を人のせいにする人、自己の境遇に不満や不平ばかりを言う人も論外です。達成すべき目的や、実現すべき価値を明確にイメージし、その「ためには」「ためには」と日常の努力を重ねる人が信用され支持されます。

 

<「~のためには」「~のためには」「~のためには」と3回繰り返す>

 

 当たり前ですが、どんな人でも、どんな仕事でも、その時いきなりそれが出来るようになるわけではなく、それができるようになるための、それ以前の(その前提となる、普段からの)ぼう大な「積み重ね(練習・鍛錬・準備)」が必要です。

 

 具体的にどのような「積み重ね」が必要かは、「~のためには」「~のためには」「~のためには」と最低3回繰り返して話し合ってみると良いでしょう。(問題の原因を「それはなぜか」「それはなぜか」「それはなぜか」と最低3回遡って話し合うのと同じです。)

 

 例えば利害を争う当事者間の和解を実現しようとするときに、「和解する」ためには「互譲する」ことが必要であり、そのためには「何が争点であり、何が争点でないかを明らかにする」ことが必要であり、そのためには「事実関係を共有化する」ことが必要です。

 

 プロジェクトチームで何らかの業務を完成するためには、メンバー間の理解と協力が必要であり、そのためにはメンバー間の状況認識と目的意識の共有化が必要であり、そのためには日常的なコミュニケーションとそれに基づく信頼関係の構築が必要です。

 

 「ローマは一日にして成らず」と言いますが、どんな人でも、どんな仕事でも「一日にして成らず」です。あらゆる仕事は「既に始まっている」のであり、それが出来る人か(仕事か)どうかは、そのための準備や勉強を既にしている人か(仕事か)どうかを見れば判ります。