hrms-jp  人事労務マネジメント研究会
  • ホーム
  • 医師の働き方改革の進め方
  • 人事マネジメントのAtoZ
  • 仕事のしかたのAtoZ
  • コラム_人事の悩みごと
  • 働き方改革懇談会
  • 人事労務実務セミナー
  • 人事労務実務のQ&A

1_5 採用ミスを防ぐ ☆

 

設問)「採用ミス」を防ぐにはどうすれば良いか?

 

A1)ポジティブチェック_「この人となら一緒に仕事をしたい」と思う人を選ぶ。

 

 企業の人事管理という職業に30年以上も携わってきた筆者がまだ若いころ、採用選考基準に関して先輩社員に教わった言葉が「自分が、この人となら一緒に仕事をしたいと思うような人を選べば良いんだよ」という言葉です。

 

 採用選考基準としてそれ以上に的確な言葉に、筆者は未だ発見できていません。「自分自身が(他人事でなく)」「一緒に仕事をしたい(=組織的協働)」「と思う(主観と経験)」「人(人間性)」を選べばよい、という意味です。

 

 上記の前提で筆者が推奨する選考要素は「資質・能力・指向・行動」の四適性になります。四つの適性において「この人となら一緒に仕事をしたい」と思う人を選べばい良いのです。(詳しくは「こういう人を採ってはいけない」を…。)

 

□ 資質適性 … その候補者が「どのような人か」ということ。

□ 能力適性 … その候補者が「何ができる人か」ということ。

□ 指向適性 … その候補者が「何をしたいと思っている人か」ということ。

□ 行動適性 … その候補者が「どうのような行動をする人か」ということ。

 

A2)ネガティブチェック_「この人とは一緒に仕事をしたくない」と思う人を避ける。

 

 ネガティブチェックのポイントについても「こういう人を採ってはいけない」の稿のとおりです。①年齢不相応に未熟に感じる人、②パーソナリティーに偏りがある人、③採用後の育成ではどうにもならない人を採ってはいけません。

 

<ネガティブチェックのポイント>

未熟性

□ 受動的

□ 依存的

□ 単純な行動

□ 浅く移り気な興味

□ 短期的展望

□ 従属的

□ 自己認識の欠如

【A群パーソナリティー障害】奇妙で風変わりに見える。

□ 親密な関係で急に不快になる。認知的・知覚的歪曲、行動の奇妙さ。

□ 社会的関係からの遊離、感情表現の範囲が限定される。

□ 他人の動機を悪意のあるものに解釈するといった、不信と疑い深さ。

【B群パーソナリティー障害】演劇的で、情緒的で、移り気に見える。

□ 他人の権利を無視しそれを侵害する。

□ 対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性。

□ 過度な情動性、人の注意をひこうとする過度の言動。

□ 誇大的で、賞賛されたいという欲求、他人への共感の欠如。

【C群パーソナリティー障害】不安・恐怖を感じやすい。

□ 困難や他人との密な接触を回避する。他人からの否定的評価に対して過敏。

□ 世話をされたいという全般的で過剰な欲求のために従属的でしがみつく。

□ 秩序、完全主義、コントロールすること、に非効率的なまでにとらわれ。 

【採用後の育成ではどうにもならないこと】

□ 著しい社会的未熟性(「まともなコミュニケーションが成り立たない」)

□ 絶対的な「論理的」能力の欠如(「何を言っているのかわからない」)

□ 基本的に組織的協働になじまない指向や言動(「唯我独尊」)

 

A3)ネガティブチェックのポイントを面接で見逃さない。

 

 また、これらのネガティブチェックのポイントを、面接選考でスルー(無視する、見逃す、そのままにする)してはいけません。面接のポイントについては既に述べた通り(「こういう面接をしてはいけない」)です。

 

 どんな候補者でも面接選考や観察選考を通じて「ちょっと気になる点」はあるはずです。「採用ミス」のほとんどは「そう言えばあのときちょっと気になっていた」という場合がほとんどです。(「採用ミス」の「兆し」)

 

 「何とかなる」「皆が言うならそれでいい」「一人でも多く採用したい」などと、受動的・依存的・短視的な判断や選択をしてはいけません。「ちょっと気になる」点を大事に、複数の面接者間で共有し、責任ある採否判断をして下さい。

 

<こういう面接をしてはいけない> 

□ 候補者が極度に緊張し_ほとんど何も話せない。

□ 候補者が「台本」を読み上げる_候補者の本音が見えない。

□ 話がかみ合わない_面接でコミュニケーション自体が成立していない。

□ 候補者に「はい」「いいえ」しか言わせない。

□ 候補者の適性を候補者自身に聞いても無駄。

□ 採否がはっきりしない_「どちらとも言えない」で採用してはならない。

 

A4)「採用ミス」から「学習」する。

 

 採用選考の場で最も重要なことは、面接者の「気付き」です。それは必ずしも何らかの技術や理論で解決するものではなく、多くは面接者側の経験、とくに「今までの採用ミスから学んだこと」の多さに依存します。

 

 「採用科学」の立場からは採否判定が主観的であることや経験的であることを慎まなければならないかも知れませんし、「採用技術」の立場からは、統計的手法による選考プロセスの合理化を追求すべきかも知れません。

 

 筆者自身は、採用選考は候補者一人ひとりとの丁寧な面接を通じて、大いに面接官どうしで、お互いの主観(「自分はこう感じる・おもう・考える」)と経験(「**の場合はこうだった。」)をぶつけ合うべきだと思います。

 

A5)一人で決めない、一度で決めない。

 

 人事評価と同様に、採用選考でも「一人で決めない、一度で決めない」という原則が通用します。面接選考においては、候補者1名に対して複数の面接者で行う「1対Nの面接」が基本であり、段階的な「N次面接」が、やはり基本です。

 

 面接者に人事部門の責任者だけでなく、配属予定職場の責任者に参加してもらうのは当然です。候補者から上手く話を引き出すことができる人、特に「採用ミス」の経験知を共有化できる人を面接者に選ぶべきです。

 

 一人の候補者に対する面接がおわったら、その都度、面接者間で意見交換を行うことをお勧めします。(候補者が2~3人程度なら、全員の面接がおわってからまとめて面接者間での意見交換を行ってもかまいませんが。)

 

<追記事項_20170205>評価の「信頼性・妥当性・納得性」

 

 筆者は「主観と経験」を重視(関係者間での着眼点と結果の相互理解による信頼性・妥当性・納得性の向上が必要)しますが、いわゆる「客観テスト」による学力や能力や適性の判定の結果を無視して良いとは決して考えていません。

 

 「客観テスト」による学力や能力や適性の判定の結果が良いならそれに越したことはありませんが、それだけで測ることなく、それと同時に面接官の「主観と経験」に基づく評価の着眼点・理由・結果を重視して欲しいという立場です。

 

 「IQ」を横軸、「EQ」を縦軸として考えた場合と同じように、「IQの高さは、EQが高ければ高いほど良く発揮される」と考えて、客観テストの成績の良さが、その人となりを通じて社会的に有効に発揮されるかどうか…。

 

<追記事項_20170205>学歴重視の立場

 

 中途採用では「職歴重視」が多数派なのに、新卒採用では「学歴重視」が多数派でないとしたら不思議です。そのうえで主体性や実行力(いずれも企業が最も重視する特性)を判断すると言っても、「いったいどうやって?!」です。

 

 今まで数年から十数年以上も学んできたことについて、どういう点に興味を持ち、どういうことを感じ、思い、考え、学んできたかを問うことは、当たり前であり、そのことを通じて候補者の主体性や実行力が「推定」されるのでしょう。

 

 もちろんそれは決して「証明」ではなく、あくまで「推定」です。採用選考のプロセスにおいて候補者の主体性や実行力は「証明」できません。それを「証明」できるのは、採用後の実績評価においてでしかありません。

 

<追記事項_20170412>採用選考では「育成ではどうにもならない」要素に着眼する。

 

 例えば「専門的な知識や技術」なら、採用後の育成過程で「何とかなる」ので、採用選考ではあまり重視しすぎないほうがよく、むしろその人の「パーソナリティー」など、採用後の育成ではどうにもならない要素に着眼すべきです。

 

 採用した以上は、企業や職場に育成責任があり、育成努力をするのは大切なことですが、前述の、①年齢不相応な未熟さ、②パーソナリティーの偏りは、おそらくどのように育成の手を尽くしても「何とかなる」問題ではないでしょう。 

  

 採用選考で重要なことは、面接者が何を感じ、気付くかであり、特にそれが候補者のネガティブな要素である場合に、「それが採用後の育成プロセスで何とかなる(する)要素なのか、「どうにもならない」要素なのかの見極めです。

  • こういう採用をしてはいけない
  • こういう面接をしてはいけない
  • 採用選考が全てではない
  • 採用力を高めるには
  • 採用ミスを防ぐには
  • 採用ミスに気付いたら
  • 人と組織の成長を促進する
  • 何が人と組織を成長させるか
  • 人と組織が成長するとは
  • 成長を促進するマネジメント
  • それでも人が育たない?
  • 日常的な部下指導
  • 人と組織を動機付ける
  • 動機付けの人事マネジメント
  • MBOで動機付ける
  • 仕事に動機付けられない?
  • 目標管理制度の有効性
  • 目標管理制度の形骸化
  • 何のための人事評価か?
  • 人事評価は何を評価する?
  • フェアな人事評価とは?
  • 人事評価を反映させる…
  • 人事評価への不信と不満
  • 人事評価制度の有効性
  • 人事評価制度の形骸化
  • 何をもって人を処遇する?
  • 能力主義から役割主義へ
  • 報酬設計
  • 同一労働同一賃金の実務
  • 人件費を管理可能に
  • モラールマネジメント
  • メンタルヘルスマネジメント
  • 時間外勤務の規制
  • パワハラを防ぐ
  • 組織の設計と人の処遇
  • 選択と集中
  • 組織の方向付け
  • 組織の動機付け
  • 組織のコミュニケーション
  • 組織のPDCA
  • 組織の成長
  • 組織化と承継
  • 退職のマネジメント
  • 解雇と退職の悩み

hrms-jp  人事労務マネジメント研究会

代表 特定社会保険労務士

河北 隆 

〒270-1357

千葉県印西市牧の木戸1-7-4

mail    hrms@grace.ocn.ne.jp

 一般企業や医療機関等での人事実務経験と特定社労士としての専門性に基づき、主に医療・福祉・介護分野の人事労務マネジメントを支援しています。

<資格>

特定社会保険労務士

衛生工学衛生管理者

情報処理技術者

医療労務コンサルタント

産業心理カウンセラー

概要 | プライバシーポリシー | サイトマップ
All rights reserved by hrms-jp
ログイン ログアウト | 編集
  • ホーム
  • 医師の働き方改革の進め方
  • 人事マネジメントのAtoZ
    • こういう採用をしてはいけない
    • こういう面接をしてはいけない
    • 採用選考が全てではない
    • 採用力を高めるには
    • 採用ミスを防ぐには
    • 採用ミスに気付いたら
    • 人と組織の成長を促進する
    • 何が人と組織を成長させるか
    • 人と組織が成長するとは
    • 成長を促進するマネジメント
    • それでも人が育たない?
    • 日常的な部下指導
    • 人と組織を動機付ける
    • 動機付けの人事マネジメント
    • MBOで動機付ける
    • 仕事に動機付けられない?
    • 目標管理制度の有効性
    • 目標管理制度の形骸化
    • 何のための人事評価か?
    • 人事評価は何を評価する?
    • フェアな人事評価とは?
    • 人事評価を反映させる…
    • 人事評価への不信と不満
    • 人事評価制度の有効性
    • 人事評価制度の形骸化
    • 何をもって人を処遇する?
    • 能力主義から役割主義へ
    • 報酬設計
    • 同一労働同一賃金の実務
    • 人件費を管理可能に
    • モラールマネジメント
    • メンタルヘルスマネジメント
    • 時間外勤務の規制
    • パワハラを防ぐ
    • 組織の設計と人の処遇
    • 選択と集中
    • 組織の方向付け
    • 組織の動機付け
    • 組織のコミュニケーション
    • 組織のPDCA
    • 組織の成長
    • 組織化と承継
    • 退職のマネジメント
    • 解雇と退職の悩み
  • 仕事のしかたのAtoZ
    • 仕事の能力_Ability
    • 仕事の適性_Behavior
    • 組織的協働_Cooperation
    • より良い明日_Development
    • 自己育成_Education
    • 誠実と勤勉_Faithful
    • 和顔愛語_Gently Speaking
    • 人間関係_Human Relation
    • 想像力_Imagination
    • 巧遅より拙速_Just on Time
    • 丁寧で親切な仕事_Kindness
    • 仕事のイロハ_Literacy
    • 自己管理_Management
    • リーダーとは_Noblesse Oblege
    • 目標を持って_Objectives
    • 備えあれば_Proactive
    • 品質・コスト・納期_QCD
    • 報告・連絡・相談_Report to
    • 仕事は「解決」_Solution
    • 思慮深さ_Thoughtfulness
    • 一義性を重んず_Unique
    • 仕事の価値_Value
    • 心の健康_Work Life Balance
    • 仕事したくない_X-theory
    • 仕事したい_Y-theory
    • 筆者の思い_Z-theory
    • 上司から部下への願い
    •  コミュニケーション
    •  イマジネーション
    •  コ・オペレーション
    •  モチベーション
    •  PDCAとQCD
  • コラム_人事の悩みごと
    • イヤで悲しくなったら
    • そのひと言あるかないか
    • 尽くせば叶う
    • 人は変わるか、変えられるか
    • とことん否定しないこと
    • 時空一体に見れば
    • 言動と態度の合理的選択
    • どんな人とでも三年我慢
    • 自己肯定と他者肯定
    • 相手への(からの)視点
    • いつも忙しそうな人
    • 決められない人
    • 同じことを繰り返し言う人
    • 利他の人(公の人、私の人)
    • 指導もせずに懲戒をするな
    • 人から言葉を奪うな
    • 平和祈念の日に思うこと
    • 一緒に働くということ
    • 分かり合える職場
    • 職場コミュニティーは幻想?
    • 困った人は困っている人
    • 働く人たちの未熟性
    • 全体的人間関係
    • 前面の理、側面の情
    • ノーレスポンスの闇
    • 言葉がいちばん嘘をつく
    • 一方を聞いて沙汰するな
    • 多忙は多くを亡(うしな)う
    • 仕事は能力よりやり方次第
    • 人事評価は「難しい」か?
    • 組織であるがゆえの悩み
    • 自己管理と相互支援
    • PDCAは1日1回廻す
    • 揺るがない目標
    • 働き方そのものの改革
    • 思いて学ばざれば
    • 成長には苦悩と苦闘が伴う
    • 言動と態度の合理的選択
    • 今さらながらのコーチング
    • 人と仕事の好き嫌い
    • 会議のムダは組織のムダ
    • 労務に服して賃金を得る
    • 組織に依存しない働き方改革
    • 組織が人体に学ぶこと
    • 協調性と協働性
    • リーダーシップより大切な
    • プロジェクト型組織
    • 個人と組織の最適関係
    • 相手の立場と視点で仕事する
    • 自分の手間を惜しまず
    • 言い訳せず、人のせいにせず
    • ものの言い方に人格が現れる
    • なぜ会話がかみ合わないのか
    • 仕事の早さは七難隠す
    • 仕事は作業ではない
    • 毀誉褒貶は人の世の常
    • ファクトとロジックとその先
    • 意思決定は優先順位の決定
    • 悪く思わず、悪く言わず
    • 働く人たちの心を守る
    • 非常時のリーダー
    • 育てることは信じて待つこと
    • 其れ恕か_相互リスペクト
    • 人事も歴史に学ぶ
    • 人を見る眼、育てる眼
    • 人間機械論なんて
    • 過去を言うように未来を言う
    • 評価よりも承認と感謝
    • 争わず、戦わず、働くこと
    • 人事という仕事
    • 人を動機付けることは難しい
    • より良く働きより良く生きる
    • 変わらなければ意味がない
    • 成長の三段階悦
    • 誠実で勤勉であることの尊さ
    • 仕事をする上で一番大切な事
    • アウトプットよりアウトカム
    • たった3つの習慣化で出来る
    • マズロー五段階説の読み替え
    • 違いは間違いではない
    • 全ては肯定に値する
    • 交流が進化につながる
    • 気付くことは教えらえるか?
    • 何もしないという仕事もある
    • 管理職が言ってはいけない…
    • 上司が部下の意欲を損なう
    • 必要なのは指導より支援
    • 下事よりも下情に通じる
    • パワハラ_自己尊厳の壁
    • パワハラ_正義は人を虐げる
    • パワハラ_自己肯定の凄まじさ
    • パワハラする側の心理
    • パワハラする側の心理
    • パワハラと注意指導の境界線
    • 二次主義・商業主義を排す
    • コロナを言い訳にするな
    • 働きすぎ改革と休み方改革
    • 同一労働同一賃金なんて?
    • ゴーンの後にゴーンを言うな
    • 電通事件に思う
    • 遊びをせんとや生まれけむ
    • 人間の天性_既に知っている
  • 働き方改革懇談会
    • 両立支援と改正育児介護休業法
    • 離職防止について
    • 職場の中の困った人たち
    • 時間外規制だけじゃない
    • 発達障害的な部下を持ったら
    • 最賃労働と同一賃金
    • 今さら聞けない病院経営
    • 医療人としての生き方…
    • 病院の問題職員と解雇問題
    • 医療機関の外国人雇用
    • 病院の経営企画
    • コロナ下の今こそ働き方改革
    • 働き手不足時代の確保と定着
    • コロナ下での職員の定着
    • 働き方にかかわる発達障害
    • 目標管理と人事評価
    • コロナ禍に打ち克つ病院経営
    • 医師の働き方改革の実践
    • 医療従事者のメンタルヘルス
    • 同一労働同一賃金への実務
    • 病院の同一労働同一賃金
    • 医師の働き方改革
    • 人事組織と病院経営の観点
  • 人事労務実務セミナー
  • 人事労務実務のQ&A
    • 育児休業取得と不利益取扱い
    • 雇用区分の変更と年休繰り越し
    • 退職間際の年休取得
    • 所定始業時刻前の時間外勤務
    • 変形労働時間制と時間外勤務
    • 労基署調査と必要帳簿類
    • 待機時間(手待時間)の賃金
    • 医師の宿日直勤務
    • 医師の年俸制の実務的留意点
    • 定額時間外給制の実務的留意点
    • 半日休暇取得日の時間外勤務
    • パワハラによる精神疾患
    • 就業規則の記述法
閉じる