5_3.報酬設計

 

 基本給与については、かつては「年齢給」(年齢に応じて支払う)」が実在し、やがてそれは「職能給」(能力レベルに応じて支払う)」に移行したり、別に「職務給」(担当職務のレベルに応じて支払う)が導入される等の変遷を辿りました。

  

 遂行職層については、遂行-判断-指導という「成長段階」に応じて支払うのが良いでしょう。その金額は、人事評価(態度-能力-実績の総合評価)に応じて一定レンジ内で定期昇給させると成長の促進につながります。

 

 管理職層や専門職層については、「役割給」(課レベル-部レベル-事業部レベルという役割の重さに応じて支払う)に統合するのが合理的です。またその金額は、単一レート(定期昇給しない)とすべきです。

 

 (給与月額のレートとレンジの設定例)

  等級  職位        最低 - 中間 - 最高

 <管理・専門職層>

  6級  事業部長級         600,000

  5級  部長級            550,000

  4級  課長級            450,000

 <遂行職層>

  3級  係長     300,000  325,000  350,000

  2級  主任     250,000  275,000  300,000

  1級  主事     150,000  200,000  250,000

 

  賞与はこれを「企業の業績および個人の成績に応じて支給する」ものとして、例えば給与月額(手当を除く、いわゆる「本給」の額)に、毎年度の企業の業績に応じた係数×個人の成績に応じた係数を乗じた金額を支給すれば良いでしょう。

 

 手当は通勤手当など必要な手当、遂行職層に法定の時間外給を支給するほかは、支給要件を明確に定めて支給すべきです。(「扶養給」や「住宅手当」などの「生活給」は本来「給与月額」に含められるべきです。)

 

<追記事項>「功」の観点と「徳」の観点

 

 「功(大きな実績をあげた人)には厚く(より多くの報酬を)」、「徳(高い人間性を示した人)には高く(より高い職位を)」という意味です。「徳」とは、言い換えれば「人と組織からより多くの支持や信頼や協力を引き出せる」という意味です。

 

 「人事評価」においても「処遇報酬」においても、「功(実績を評価し厚く遇する)」という観点と「徳(人徳を評価し高く処遇する)」というふたつの観点が必要だと思います。(「功」多き人が「徳」が高いとは限らず、「徳」の低い人を高い職位につけてはならない。)

 

<追記事項>短期的応報的観点と長期的育成的観点

 

 もうひとつの観点は「短期的応報的観点」と「長期的育成的観点」です。ある人が一時期に大きな成果を挙げたからと言って、その人が将来に亘って大きな貢献をもたらし続け、さらに当該組織や企業を率いる立場に立ち続けるべき人であるかはどうかは判りません。

 

 また逆に短期的には目立った定量的成果を出すことができなくても、人と組織から広い理解や支持や協力を引き出し、組織や企業の経営の質の向上に長期的に貢献することができる人がいるはずで、そういう人も有能であり有望であるはずです。

 

<追記事項>配分の観点と選抜の観点

 

 評価も処遇も、有限の経営資源(賞与・昇給・昇格・昇任という有限の経営資源)の配分のひとつです。信頼性・妥当性・納得性を持たせ、対象者を動機付け、意欲を高め、その成長を促進しながら適正に配分することが必要です。(配分の観点)

 

 また、評価も処遇も、採用や育成と並んで、当該組織や企業の将来を託すべきリーダーとして誰が相応しいかという選抜を行う人事マネジメントの共通的な機能の一端を担う重要なプロセスでもあります。(選抜の観点)