20170704_部下に必要なのは指導より支援

 

1.先ずはオーソドックスな部下マネジメントの「七つ道具」から

 

 上司として部下をマネジメントするための、オーソドックスな「七つ道具」を挙げるとしたら、一般的には次の通りだろうと思います。しかし、現実には必ずしもその通りには行かないこともあり、それ以外にも大事なことがあるはずです。

 

① デシジョン(意思決定)

② オリエンテーション(方向付け)

③ モチベーション(動機付け)

④ エデュケーション(成長の促進)

⑤ エヴァリュエーション(評価)

⑥ オーガナイゼーション(組織作り)

⑦ サクセッション(継承)

 

2.部下からは、部下の「育成」や「指導」が必ずしも期待されているわけではない。

 

① 部下自身は「育成」や「指導」を期待していない

 

 「上司」という言葉や「育成責任」という言葉を聞くと、「上司は部下を管理監督し、指導育成するのが仕事だ」と言いたくなる(思いたくなる)かも知れませんが、現実にはそんなことが部下から期待されているわけでも現場で奏功しているわけでもありません。

 

② 期待されているのは「判断」と「責任」

 

 ちなみに筆者がある企業で行った人事マネジメントセミナーにおいて「上司に最も期待する役割機能は何か?」と問いかけたところ、「判断(Decision)」や「責任(Responsibility)」が上位を占め、「育成(Education)」は選択肢の中では最下位でした。

 

③ せめて「お互いの」仕事が「しやすく」なるように

 

 実は、部下が上司に期待していることは(上司が部下に期待していることも)、「自分の仕事がしやすくなるようにしてほしい」ということであり、上司は行うべき判断を行い、負うべき責任を負うことで部下が仕事をしやすいようにするのが仕事なのです。

 

3. 部下マネジメントの新「七つ道具」(案:順不同)

 

① 指導より支援

… 上司として「部下を指導・育成すること」が役割だと信じている人たちが多いかも知れませんが、、部下に必要なのは上司による指導や育成よりも、上司による支援です。上司の知見や経験に基くアドバイスです。

 

② TeachではなくCoach

… Educationは「教育」と訳されていますが、本来Educateとは「引き出す」という意味です。コーチングとは、部下から内発的な発意や発想を「引き出す」ことであり、ティーチングやインストラクションやトレーニングなどの教育手法とは異なります。

 

③ 知識や技術よりも仕事の進め方

… ほとんどの「仕事」は知識や技術を当然の前提に、現実的な問題や課題を「解決」することです。また、多くの問題や課題は「人と組織を通じて」解決するものです。部下に「教える」ことがあるとしたらそうした「仕事の進め方」です。

 

④ コミュニケーション阻害要因の排除

… 部下との間の双方向のコミュニケーションに基く信頼関係を築くことは部下マネジメント成立の必須条件です。上司の言動や態度は、コミュニケーションの阻害要因になっている場合が多いはずです。そのことを振り返り、気付き、改めることが先決です。 

 

⑤ 丸投げはタブー

… 上司は「部下という人を通じて」、また「職場という組織を通じて」仕事をする人です。このことを勘違いしてどんな仕事でも、それに対する理解も考えもなく「部下に丸投げする」だけの上司がいるとしたら、既にその存在意義を問われています。 

 

⑥ 評価より感謝

… 人事評価は企業経営上の有限資源です。分布制限も意識せずに高位に偏った評価を行うことはやがて被評価者の不満や不信を招きます。これに対して「褒めること」「感謝すること」「励ますこと」はほぼ無制限にして良いはずです。

 

⑦ 上司の気付きが大事

… 上司に必要な能力や適性のうち、最も重要なことは「気付き」です。特に部下がメンタル的な不調に陥ろうとしていないか、「目をかけ、気にかけ、声をかけ」という日常的な習慣を通じて早めに兆候に気付き、対処すべきです。

 

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