医療・介護・福祉の経営・人事労務の実務経験を有する講師陣が、一般的な教科書では分からないこと、今さら他所では聞けないことを、リアルな実務感覚でお伝えします。
hrms-jp 人事労務マネジメント研究会
代表 特定社会保険労務士 河北 隆
第13回:2023年2月15日(水)18:30~20:30 zoom <有料>
【テーマ】合理的配慮について
【発 表】鳥飼総合法律事務所 小島健一弁護士
【趣 意】
「合理的配慮」という言葉は、耳慣れないものかもしれません。わが国が障害者権利条約を批准するために、最近、障害者関連の法律で導入したアメリカ由来の概念(原語は、reasonable accommodation)です。医療機関であれば、患者様等の利用者に対するコンテクストでは障害者差別解消法が、一方、自らが雇用している医療職等の労働者に対するコンテクストでは障害者雇用促進法が、それぞれ合理的配慮の提供を法的に義務づけています*。
* 差別別解消法の方は、現時点では努力義務ですが、遅くとも2024年5月頃までには法的義務になることが決まりました。雇用促進法の方は、初めから法的義務として導入されたので、すでに労働紛争や裁判では頻繁に権利主張がされています。
もっとも、合理的配慮を提供しなければならない相手は、障害者手帳を持っている人には限定されていません。心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受けていれば、合理的配慮を提供すべき対象になります。障害者とは認識されていない一般の従業員の休職からの「復職支援」、さらに、がん等の治療と仕事の「両立支援」も、合理的配慮の一環と捉えられます。
端的にお伝えしたいことは、事業主の健康・安全配慮義務が、労働者の雇用契約上の「債務の本旨」に沿った労務提供を“制限”しうるのに対し、合理的配慮提供義務は、「債務の本旨」に沿った労務提供が実現するよう事業主にも“工夫”を求めるものなのです。
今回は、患者様らの利用者との関係でも早急に真剣な対応準備をしなければならなくなった「合理的配慮」について、先行して義務づけられている雇用の場面での考え方を中心にお話します。
【申込み】下記宛てご参加予定者の所属・氏名と、「2月15日のセミナーに参加します」旨ご一報ください。折り返し、ZOOM案内状をお送りします。
【参加料:改定20230110】
1月18日開催分と2月15日分の両方に参加される場合は1施設(3名様まで)あたり5,000円、1月18日開催分か2月15日開催分のいずれか一方に参加される場合は1施設(3名様)あたり3,000円を、ご参加後に請求させていただきます。
第14回:2023年3月15日(水)18:30~20:30 zoom <無料>
【テーマ】なぜパワハラがいまだに克服できないのか、具体的に何をどうすれば良か?
【発 表】全員参加型のパネルディスカッション
第15回:2023年4月12日(水)18:30~20:30 zoom <有料>
【テーマ】不本意な離退職を防ぎ、職員の定着率を高めるキャリアカウンセリング
【発 表】キャリアコンサルタント 藤好 直美 氏
<<今までの開催記録>>
第12回:2023年1月18日(水)18:30~20:30 zoom <有料>
【テーマ】就業規則と休復職制度を対話で運用する
【発 表】鳥飼総合法律事務所 小島健一弁護士
【趣 意】医療や介護、福祉の業界に限ったことではありませんが、自らの事業と職制、働き方にマッチし、メンバーが納得できる労使や職場のルールを作り、それを「就業規則」へと落とし込んでいる事業所は、決して多くありません。特に、メンタルヘルス不調等の傷病による要療養の労働者の解雇を猶予する「休復職制度」は、就業規則に定めが置かれることによって関係者を法的に拘束しているのですが、法令があるべきルールを教えてくれていないため(それどころか、裁判所の判例もバラつきが大きく、流動的に見えます)、社労士や弁護士であっても、そのルールづくりや運用を苦手とする方が大多数でしょう。
しかし、昨今の職場トラブルや労働紛争のかなりの割合が、自分たちのものへと消化できていない就業規則とメンバーの認識・期待との間に大きなギャップがあること、とりわけ、ルールと言うには余りに抽象的で、行動の拠り所にもならない休復職制度の定めをめぐって発生しています。私、小島も理事を務める日本産業保健法学会は、このような積み残しの現場課題を解決する知恵を多職種(研究者、産業医、精神科医、産業看護職、心理職、人事労務担当者、社労士、弁護士等)による対話・交流によって紡ぎ出すべく設立されました。
“人事労務×産業保健×労働法務・・・”の総合格闘技である現代の労使・職場問題は、専門家に丸投げしては解決できません。当事者同士が「対話」することによってルールを作り、ルールを自分のものとするしかありません。外部の専門家がやるべきことは、チームの一員として、当事者同士の「対話」を支援することなのです。
今回は、不十分な就業規則の定めであっても、運用の仕方によってそれを補強する工夫、とりわけ、メンタルヘルス不調をめぐる労務・健康の管理や休復職制度を規律するプログラムづくりについて、ご紹介します。
【当日資料】
第1回:2022年2月16日(水)
・医師が人事労務管理の対象であるということ(河北)
第2回:2022年3月16日(水)
・看護職の定着と確保のためにできること。(河北)
第3回:2022年4月13日(水)
・人員配置と報酬基準が収益のアップセルを生む根幹(冨士本社労士)
第4回:2022年5月18日(水)
・介護施設あるある ~介護付有料老人ホームとは?(谷岡社労士)
第5回:2022年6月15日(水)
・労働法と民事法の接点から人事労務問題を解く(小島弁護士、河北)
第6回:2022年7月13日(水)
・今さら聞けない病院経営の基礎の基礎( 公認会計士 石井 知浩氏)
第7回:2022年8月17日(水)
・「パワハラ」から生じる諸問題への法的対応(小島弁護士、河北)
第8回:2022年9月14日(水)
・医療機関における医療従事者のメンタルヘルスマネジメント
(メンタルサポート&コンサル沖縄 代表 佐藤 恵美 氏)
第9回:2022年10月12日(水)
・独立開業5年度目の人事コンサルビジネスの実態と本音(河北)
第10回:2022年11月16日(水)
・病院の給与人事プロセスと会計及び医師の働き方改革の動向と収支への影響
(公認会計士・医療経営士 佐々木 智弘 氏)
第11回:2022年12月14日(水)
・院内を社労士目線で見ると、とんでもないことが多すぎて…
(社会保険労務士 北 千陽 氏)